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ツラナと魔法の話し


 ウキウキとしたツラナの隣で俺は緊張を隠せないまま周りの警戒をしていた。


 「大丈夫ですよ?

 この辺は魔物の森からたまに迷子になった子供の魔物くらいしか出ませんから」


 ツラナは緊張している俺に笑顔で話し掛けて来る。

 

 「ありがとう。

 その迷子の魔物が出たら魔法で追い払うよ」


 「はい頼みます。

 ボクは戦闘はあまり得意では無いですから。

 その代わり魔法は火、水、土、全部の回復魔法が使えので怪我をしたらすぐに治しますよ!」


 「回復魔法?」

 

 『初耳だ。確かにゲームでも回復魔法はとても便利なのにこの世界では教えてもらった事が無い?

 ホチネは使えるのか?

 そもそも俺達って魔物との戦闘で怪我した事無い!

 これからの強い相手との戦いで回復魔法は必須だよ!』



 「フゥ君?どうかしましたか?

 馬車酔いですか?」

 ツラナが心配そうに俺の顔を覗く。


 「イヤイヤ違うよ。

 俺、回復魔法を教えてもらった事が無いんだよ。

 回復魔法って誰でも使えるようになるの?

 出来れば俺に教えてほしいんだけど」


 「誰でも使えるかは解りませんが教えるのはいいですよ。

 フゥ君はどの属性魔法が使えますか?」


 「本当!ありがとう。

 俺は水と火と土と風!」


 「あぁ…エルフみたいな………ボクよりケレリス教授に習った方がいいのでは?」

 少し引き攣った顔でツラナが答えた。


 「俺、あの人苦手なんだよね。

 俺のことを魔法神と関係あるみたいに言ってくるから」


 「あぁ、魔法神様はエルフ神話では四本腕の変なローブ姿で描かれていますからね。

 それに魔法を四属性も使えるのも確かに魔法神様と共通点があります」



 『変なローブって言われた。

 やっぱり変なローブか!』



 「魔法の属性って全部でいくつあるの?」

 俺は恥ずかしさと魔法神の話しをそらせつつ気になっていた事を聞いてみた。


 「魔法の属性ですか?

 それはですね。

 まず無属性といって魔力を流すだけの魔法は人種であれば全員使えると思います。

 魔法石やギルドカード他にも契約書や受付端末など魔法道具を使う時に必ず必要なので」

 

 『確かに無意識に無属性魔法を使ってるかも』


 「そして火、水、土の基本の属性魔法です。

 これはその人の種族や個人によっても使える属性や数が違います。

 ボク達魔道士族は三属性を使えますが竜人族は一つの属性しか使えませんね。

 他の種族もだいたい一つか二つの属性を使えますよ。

 親からの遺伝などで使える属性が増えたり減ったりしますが」


 『へー、遺伝とかあるんだ』


 「最後に特殊な属性の風と雷です。

 この二つはエルフしか使えません。

 エルフでもこの二つの魔法を覚えるには基本属性の魔法を二つ犠牲にして一つを覚えるそうです。

 エルフの秘密なので詳しくは解らないですが。

 そして魔法神様も使えたようですが情報が無いので解りません。

 魔法神様もどんな魔法が使えたか神話や伝説しか資料が無いのですよ。

 フゥ君も何か魔法神様の情報があったら教えて欲しいです!」

 キラキラした目で俺を見てくる。

 やっぱりツラナも俺の事を魔法神と関係あると考えているのかも。


 「俺が知ってる魔法神は翼のある猫だって事だけだよ」


 「翼のある猫?」

 

 ツラナもケレリスと同じような反応をしている。


 やっぱりアイツは魔法神じゃないのかな?


 「その猫さんは今どこにいるのですか!

 会いたいです!」


 「わかんない!

 俺の方が知りたいわ!」


 「そうですか。

 そんなに興奮しなくても。」

 

 俺は無意識に苛立っていたようだ。

 

 「ごめんごめん。

 ちょっとその猫に苛ついただけだから」




 しばらく御者台の二人は無言で馬車は走り続けた。


 どちらもお互いに話しかけ辛く無言の時間は昼過ぎまで続くが荷台からケレリスの声が聞こえた。


 「そろそろお昼ご飯にしませんか?」


 沈黙に耐えかねていた二人は二つ返事でその提案を受け入れて馬車を道の脇に寄せて駐めた。




 昼ご飯を俺の袋から出してホチネと二人で食べ始めるとツラナは魔法道具を使い料理を始めた。


 「昼間から料理するの?」


 「冷たい物ばかりだと旅は辛いのでスープを温めるだけですよ?」


 ツラナがそう言ってこちらを見ると俺達二人は温かいスープと焼きたてのパンを食べている。

 


 ツラナのうらやましそうな顔を見ながら昼ご飯を食べ終えて俺とホチネは晩ご飯の足しになる物が無いか周りを探索する。

 

 道の周りは草原になっていてとくに食べれそうな物は無いようだ。



 「そろそろ出発しますよ!」


 馬車の方からツラナに呼ばれ馬車に戻る。


 昼からもケレリスは馬車の荷台で過ごすらしい。

 ホチネがすかさず荷台に座るとケレリスはがっかりしたように、

 「フゥ君の話しを聞きたいのに!」


 「あたしがフゥのことを話してあげるよ!」

 

 「ホチネ!変なこと言わないでよ!」

 俺は御者台からホチネに叫んだ。

 

 「ヘヘヘッ」

 ホチネは悪い顔をしていた。



 出発した御者台ではまたツラナとの気まずい沈黙の時間が訪れようとしていた。


 「そうだ!回復魔法を教えてよ!」

 昼前に回復魔法の話しをしていた事を思い出し俺はツラナにお願いした。

 

 ツラナも夜まで沈黙が続かなくてよかったと頷いた。

 

 「そうしましょう!」

 

 



 『回復魔法を覚えるぞ!』


 俺は少しわくわくしていた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 思ってた以上にギルドランクのアップが早いですね。 種族や宗教の概念もしっかり設定が練られていると思います。 世界設定や魔法の概念も細かく描写されてるので分かりやすいです。 [一言] 世界設…
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