エルフの森に帰るケレリス
ケレリス視点のその後の話しです。
ケレリスはエルフの森へと向かっていた。
魔法神様であるラィ様に敵対しその眷族と思われていたフゥ君を殺したエルフ達に正当な裁きを与える為に。
あの後の私は国境の町に来ていたエルフの長老や代表達に今回の事件にどれだけのエルフが関わっていたのかを聞いて回った。
しかし、どの長老や代表達も、
「全く知らなかった」
その言葉を言うだけだった。
そしてラィが本当に魔法神様だったのかを疑っている話しまで飛び出して来た。
「そもそも猫の姿をしいるモノを魔法神様として扱っているケレリスの方がオカシイ」
そんな意見が多く私の言葉は聞く耳を持たれていないようだ。
更にヒラネス達は魔法神様を名乗る魔神を倒した英雄のような扱いを受けて町では称賛の声まで聞かれるほどだった。
そんな中リス妖の長老コアリスだけはケレリスの話しを信じてくれているようだった。
コアリスはエルフの森と連絡を取り合い私の話しとヒラネス達の行動のどちらが正しかったのか会議を開いてくれる事になった。
ハス妖の長老ヨールハスも今回の件に関していくつかの不審な点があって調査に協力してくれるらしい。
事件の後処理が粗方終わりエルフの代表団もフゥが消えてしまって猫の姿の魔法神様を名乗るラィも見つからず、この町に留まる意味がなくなった為にエルフの森へと帰る事に決まった。
私もコアリスと一緒にエルフの森に行くと決めてツラナやホチネと別れる事にした。
ホチネは結局エルフの森に入る事は認められず、一部のラィを魔神と信じる者達の目もある為にこの町にも居辛くなってツラナと一緒に三日月国に帰る事になった。
「元気で。ツラナの事を頼むよ。
私達の寿命は長い。きっとどこかでまた会えるだろう。
その時はまた一緒に旅が出来るといいね」
「そうだね。また会えるよね。
それまでお互い元気でいようね」
私はホチネと握手を交わした。
「最初はケレリスとこんなに仲良くなれるなんて思わなかった」
「そうだね。私もホチネと別れるのが淋しいって思う日が来るなんて思わなかった」
最後はお互い笑顔だった。
「ツラナ、この旅に着いて来てくれてありがとう。
絶対に研究所の町に帰るからその時までしっかり研究を進めてくれよ!
私がビックリするような成果があったら今度は私がツラナの教え子になるからね」
「それはちょっと緊張しますね。
でも、研究はしっかり続けていきますよ!」
私は笑顔でツラナを抱きしめ頭を撫でた。
二人が町から旅立ったのを見送って私もコアリスの護衛の一人としてエルフ領へと足を踏み入れた。
百年以上ぶりのエルフ領は相変わらずの姿をしていた。
『三日月国や中立国、黒魔どワーフ国はこの数十年で大きく変わっているのにエルフ領は変わらないな』
久しぶりにエルフの剣を腰に差し私はこれから何と闘っていくのか本当の敵が見えないでいた。
『またエルフの長老達と対立してしまうのか?』
心の中に不安と緊張、そして大切な仲間のフゥ君がなぜ殺されなければならなかったのかその真相を知らなければならないと心に誓った。
エルフの森に着くまでに何度か魔物の襲撃はあったが特別危ない事は無かった。
この旅の間コアリスは私にエルフの森の外について知りたがり毎晩話しをする事になった。
コアリスは興味深そうに私の話しを聞き質問をして来る。
私はそんな時間がとても有意義に感じていた。
『エルフ達にもっと外の事を伝えなければ。
エルフはどんどん他の人種から懸け離れた存在になってしまう。
……でも魔法神様はエルフと竜人は他の人種と違うと言っていたな。
私の考えの方が間違っているのか?』
私はコアリスにこれまで調べて来た歴史や他国の事を説明する中で改めてエルフが全く違った時間や価値観の中で生きている事に気が付いた。
『もっとラィ様と話しがしたかった。
もっと聞きたい事が沢山あった』
そんな事を思いながら私はエルフの森に到着したのだった。




