世界のこと フゥのこと
白月に入ってミユネとこの世界のことを勉強することになり知識が増えていった。
この世界の成り立ち
最初に三柱の龍の神により熱い炎の塊が造られその周りに大地が覆いその周りに海が溢れた。
次に四柱の妖精の神により昼と夜、四つの季節と月が造られた。
最後に二柱の魔法の神により生命とその死が生まれた。
『よくある創成の神話だな』
「そしてわたし達の水龍神様がその一柱なのね!」
ミユネが誇らしそうに言った。
「へー。それじゃ他の神様も何処に居るのか?」
「居ますよ。わたし達竜人族の棲む三つの聖域に龍の神様である火龍、土龍、水龍の三柱がいらっしゃいます。
そして月に妖精の四柱の神様が棲むと伝えられています。
なので月の色は季節毎に青、赤、白、黒と変わるそうです」
ラミネが説明する。
「それじゃ魔法の神様は何処に居るの?」
ミユネは魔法神に興味を持ったようだ。
「魔法の神様は世界中を旅して回っていると伝えられています」
「ラミネは他の神様に会ったことあるの?」
「土龍神様と火龍神様にはお目にかかりました。
ミユネも来年からの研修でお目にかかれますよ」
「俺は会えないの?」
「フゥは解りません。
黒猫のラィ様が戻られてからでないと水龍神様でも勝手に決められないのです」
「それじゃラィが戻らないとずっと俺はここにいるって事なのかな?
…………そういえばラィが魔法神なのか?
旅して回ってるし!」
「わたし達もそう考えていますが水龍神様もはっきりとは仰らないので解りません」
『神様は秘密主義なのか?
ラィが魔法の神なのか?
俺を転生させたのもアイツだったしな。
でも魔法が使えるようには見えないよな?
猫だし』
この世界の授業はそれからも続き地理やそれぞれの地域に住む種族や動物と魔物。
友好的な国や危険な場所など俺は知識を魔法石に貯めていった。
一緒に勉強しているミユネの魔法石には水竜人族の知識としてすでにほとんど入っていたらしい。
そしてなぜかある日から訓練の内容が変わった。
武器の訓練では盾の練習が新しく増え魔法も風魔法の練習の時間が追加された。
盾の練習は俺の持つ神の盾を使うがこのチートアイテムは盾が勝手に動き攻撃を全て防いでくれる。
なので練習の必要はないのにホチネは練習させたがる。
たぶんこの盾を観たいだけの気がする。
風魔法の訓練はシイバと二人ですることになっている。
ラミネとシイバ、ホチネの前以外では風魔法は使ってはいけないと約束させられた。
風魔法と雷魔法は特別でエルフ族以外は使える種族があまりいないらしい。
エルフ族と仲があまり良くない竜人族の棲むこの聖域では俺が風魔法を使えることは秘密だ。
風魔法は他の魔法と違いシイバも教え方が解らないらしい。
その為風を強く吹かせたり弱くしたりするだけの単純なものしか教えてもらっていない。
白月はこうして過ぎて行き季節は黒月に代わった。
黒月になるとミユネは研修に行く準備を始める。
俺は一人の時間が増えた。
ミユネとガーネやトンバは魔法の練習の時間に仲良くなり三人で昼ご飯食べたりするようになっていた。
これも土の聖域や火の聖域に行った時に少しでも知り合いが多くなるようにする為の昔からの習慣らしい。
俺は一人の時間を持て余して禁止させられていたはずの一人での北区の訓練場でこっそり魔法の練習をしていた。
その日も水、土、火と基本魔法から一度出した魔法を魔力に戻す練習。
更にそれぞれの中級魔法、上級魔法と練習をした。
風魔法は風を刃にして飛ばす『風の刃』を前世の知識から使えるようになっていた。
そして訓練場の隅にある椅子で風魔法で疲れた体にそよ風を当てて休憩をしていた。
その時突然、訓練場の入り口の扉が開き四人の水竜人が入って来た。
そしてその一人と目が合いその男が俺の風魔法に驚いて叫んだ。
「おいコイツ!風魔法使っているぞ!」
ザワザワする四人の中に困った顔をしたホチネの姿があった。
「みんな一度外に出ようか?」
ホチネが他の三人を外に出そうとする。
「アイツ!オマエが監視しているヤツじゃないのか?」
竜人の男に詰め寄られホチネはあたふたして俺に、
「何で一人でここにいるの!」
そう言い目で外に行くように合図した。
俺は訓練場の外に出ようとしたのだが、
「待て!オマエ!エルフの仲間なのか?」
さっきの男に肩を掴まれた。
ホチネがその男の手をつかんで俺を自由にすると背中を押して部屋の外に出してくれる。
そして俺は急いで部屋に帰った。
『一人で訓練場に行ったのはまずかったな』
部屋でホチネのことが気になって様子を見に行こうか悩んでいると、
「何があった!」
シイバが部屋に入って来た。
「一人で訓練場で魔法の練習をして………休憩の時に風魔法を使ってるところをホチネと一緒に入って来た三人に見られた。
それでホチネは大丈夫だった?」
「そうか。今ホチネ達はラミネと長老達の所に行ってる」
「長老達は?俺のことは知ってるの?」
「お前のことはだいたいの人は知ってるけど……
能力とか特別な持ち物のことはオレとラミネとホチネあとは水龍神様以外は知らされてない。
特に風魔法は厄介だ。
風魔法を使える種族は限られている。
更にお前がエルフ族の血を引いていると噂されれば聖域に居られなくなる可能性もある」
しばらく二人の沈黙が部屋に流れ空気が重くなっていた。
数時間後。
部屋の扉がノックされラミネとホチネが訪ねて来た。
「フゥ。あなたは聖域から出て行ってもらうことになったわ」
ラミネは悔しそうに言った。
「まだ無理だ……
フゥ一人では聖域の外で生きていけないだろ!
それに………
オレ達は…………
水龍神に……………」
シイバは上手く言葉に出来ずに壁を叩いた。
「一人じゃないよ。
あたしも一緒に行くから!」




