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genoside berserker  作者: 兎鈴
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プロローグ:全てが始まる前

 黒衣を纏い、頭をフードで隠している。背中に縦長のケースを背負う女は、先ほど通りの向こう側の宿にチェックインした。それを見ていた男は、さっと身を翻して走り去って行く。


「行くぞ」


 男は路地に入るや否やそう言うと、細い裏道のような場所で待機していた10人くらいの男たちが、一斉に動き出す。全員が腰に短剣(ダガーナイフ)を隠し持っている。

 こいつらは盗賊で、さっき宿にチェックインした女が背負っていたあのケースを狙っている。

 盗賊たちは難なく宿へ潜入し、先に部屋を特定していた別の盗賊に招かれ、2階にある個室の前に立った。そして、事前に作成しておいたこの宿のマスターキーを使い、音を立てずに全員が部屋に入る。奥に行くと、ケースが立て掛けられている。ベッドでは、その持ち主の女が眠っているのか、布団が盛り上がっていた。


「へへっ、悪いな。これは俺たちがいただく。その前に、死んでもらう」


 鋭い音を立てて抜いた短剣は、ベッドの中に入っている持ち主の首と思われる部分を穿つ。だが、血は出ない。それどころか、刺した感触さえない。


「馬鹿だな」


 バチ!という音と共に、二振りのロングソードを構えた、黒衣を纏った女が部屋の隅に出現した。盗賊たちは振り返り、目を見開いた。


「死ね」


 慣れた手つきで、一番前の短剣を持って唖然としている盗賊の1人の首を右の剣で叩き落とした。そのまま回転しながら左の剣で後ろにいた2人の首も同様に落とすと、一旦下がり、剣を収める。

 盗賊たちは一瞬の出来事に、何をされたか分かっていない奴もいたが、戦い慣れているのか、既に短剣を抜いて猛然と走り寄ってくる1人の男がいた。

 瞬間、発砲音が響き渡る。それとほぼ同時に、突進してきた男の眉間を45口径の弾丸が貫き、男は鮮血と脳漿を撒き散らしながら絶命した。


「冥土の土産に、教えてやろう」


 銃を仕舞い、代わりとばかりにまたロングソードを抜く。悲鳴を上げようとしていた3人の首を右の剣で一薙ぎで叩き落とすと、左の剣で奥にいた盗賊の胴体を両断。そのまま流れるように回転し、右の剣で1人の心臓を突き刺すと、最後に残った1人の盗賊の首筋に、左の剣を突き付けた。


「私の名は、霧裂アリス。今宵、お前たちの盗賊組織は壊滅するだろう」


 小気味よい音と共に、最後の1人の首が刎ねられた。


「・・・・・さて、どうするか」


 アリスと名乗った女は剣を収めると、ケースの中に入っていた携帯を取り出す。そしてどこかに電話をかけようとしたが、よく見ると表示が圏外となっている。

 思わず溜息をついたアリスは、ケースに付着した血を落とすと、服を着替え、廊下の様子を確認する。先ほどの騒ぎは外には全く聞こえていなかったらしく、警備隊が来た様子もない。

 確認が終わると、特殊な加工が施されているマントを羽織り、外に出た。やがてバチッという音がしたかと思うと、アリスの姿が消えた。


「さて、移動するか」


 音もなく、アリスは宿から大通りへと出る。しばらく歩くと、携帯の電波が元に戻ったのか、1通のメールが受信される。


『場所が特定できた。ここから南に向かって20キロ先の街《クロス》だ。また追って指示を出す』


 アリスは鼻で笑うと、携帯を仕舞い、街の門を抜けると、ただひたすら南に進んだ。

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