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Lost fragment ーロスト・フラグメントー  作者: Konori
第2章 黒翼島跡地編
36/37

2週間後(1)

「あ゛~もー無理。

身体中痛ぇ」


第一翼島・フェルガリア近郊。


小高い丘の上で、体のあちこちに浅い切り傷を負った宵闇は、だるそうな声を上げながら仰向けに寝転んだ。


ドス!


寝転んでから3秒と経たない内に、頭の横で鈍い音がする。

目線を向けると案の定と言うべきか、髪の毛すれすれの場所にやや細身の白い剣が生えており、さらに刀身にそって視線を移動させると自分を見下ろす翡翠の瞳に行き着いた。


「頭の横に剣刺すな。怖ぇから」

「この程度で音を上げて寝るからだ、軟弱者」


至極まともな抗議に、白い剣と翡翠の瞳の持ち主は平坦なアルトの声でそう返した。


名前はリーク。見た目は宵闇より少し若い、長い白銀髪をうなじで纏めた中肉中背の青年なのだが・・・・・

術でそう見せているだけで実は女性だったりする。


父親が翼島を納める王で、自身は武力の象徴『幻将』と言う立場。

その関係から公で産まれた時から男と言うことになっているし、当人も女性らしさは微塵もない。


「早く起きんと大怪我をするぞ?」


頭の上に薄青の円が見え、宵闇は慌てて起き上がる。


「わかった、わかったからソレはやめろ!」


青ざめる相手を見て、リークは鼻を鳴らした。


「単なる脅しだ。本気にするな」


「脅しでも使うな。間違って発動したらうっかりじゃ済まねーだろうがっ。

俺の頭消す気かお前はっ!」


宵闇が慌てるのも無理はない。

先ほどの円は、リークの剣が持つ『空間破砕』と言う能力発動の前触れなのだ。

発動すればどうなるかと言うと、丘に点々と穿たれた大小の穴が物語っている。


そんなモノをポンポン使うこの物騒な人物と会ったのは二週間ほど前。

それまで護衛専門の傭兵として大きなトラブルもなく過ごしていたはずが、色々あって組む事になったのだ。


「お前は気楽すぎる。

何の為にこんなことをしていると思っている」


「本当に気楽でいられたら、こんな危ねー訓練からはとっくの昔に逃げてるよ」


苦い顔をする宵闇の脳裏には、彼女と組む理由。そして空間破砕の的にされると言う危険な訓練をするハメになった原因の出来事が思い出されていた。


正直、思い出したくもないのが宵闇の本音だが。


青年の反応を見たリークは、はっきり聞こえるぐらいの大きなため息を吐き、剣を腰の鞘に戻した。


「今日はこれで終わりにする。必要性を理解しているならもっと真剣にやれ。

まぁ、すぐにその力を使いこなせる様になるとは私も思っていないがな」


「先に城に行っている」と言い残して丘を下りていく白い背中を、宵闇は黙って見送った。


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