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19話 同じ設定が多い

目が覚めた。

外はまだ暗い。

周りを見てみると数人の男が床に転がっている。


「そういや泊まったんだった」


それを思い出すと同時に朝から修行の可能性も思い出す。

敵がいるわけでもないのに、なんで強くなろうとしてるんだろう。

俺が知らないだけで強大な敵とかがいるのだろうか。


「それは嫌だなぁ」


外に行こうと歩きながら敵がいた場合を考える。

今は楽しく過ごせている。その幸せを壊されるのは嫌だ。

そう考えて少し笑ってしまう。


「あれだけの人を不幸にしておいて、幸せを壊されるのは嫌とか何を抜かしてんだか」


外に出て森に入る。

だんだんと気分が悪くなってきた。


「二日酔いか……?気分悪い……」


「何が二日酔いじゃ。婆さんにアルコールを中和してもらったじゃろ」


「師匠……」


後ろから鬼玄師匠の声がした。

師匠が気配を消したら俺の索敵では気付けない。

達人のこういうところは厄介だ。


「早起きですね」


「モノのほうこそ早起きじゃな」


「目が覚めたんです」


俺と師匠はそんな会話をしながら森を歩く。

この世界に来てからずっと森にいるが、まだ暗い森は怖い。


「モノは後悔しとるのか?」


師匠が唐突にそう言ってきた。

後悔はしてる。するべきなんだ。


「してますよ。後悔も反省も」


「何故じゃ?」


「何故って……悪いことをしたと思ってるからですよ」


そうだ。悪いことをしたんだ。

何人も不幸にした。だから後悔してるし反省もしてる。


「ほんとにそう思っとるのか?」


「思ってますよ。だからこの世界に来てからそれほど自分勝手なことを言ってないじゃないですか」


「そうじゃったか?」


「え?いや、言ってないですよ」


「修行したくないとか、色々言ってる印象なんじゃが」


言ってたな。いや、自分勝手ではない……よな?

強くなりたい理由がないのに修行するのが嫌なだけなんだよ。


「モノの話をまとめるとモノは昔は悪いことしてた自慢が好きなんじゃな」


「まとめるの下手なんすか?」


「間違っとるか?」


今までの俺の話はそんな感じだったのか。

もしかして昨日もそう思われてたのか?

通りであいつらが興味なさそうにしてたわけだ。


「間違ってないです……」


「そうじゃろ?」


これからは人に話すのは控えよう。

興味ない話をずっと聞くのは嫌だよな。


「まあ、あれじゃ。後悔して耐えられなくなって死にたくなったら殺してやる」


「殺すって……そこまで思い詰めてないんで大丈夫っすよ」


「思い詰めてない?後悔してないということか?」


「また自慢とか言う気ですよね?」


「そうじゃな。まあ、楽しく生きたほうがいいじゃろ。もちろん人に迷惑をかけない範囲でな」


「昔の俺は人に迷惑かけた上で楽しく生きてないんで最悪っすね」


「「あっはっはっはっは」」


笑い話にするのは良くない気がするがもうあんな事しないと誓った。だから大丈夫だ。

俺はちゃんと後悔も反省もできていないだろう。

だけど頭の片隅に置いておく。

それだけでもする事にした。


「家族の話でも聞かせてくれんか?」


「いいですよ。まず息子からいきますか」


俺の頭をぶち抜いた息子は元気にしてるだろうか。

あいつは優秀だったからな。

良い統治者になっただろう。

まあ統治者になってない可能性も全然あるんだが。


「息子はジディって名前でしてね。俺が名付けたんですよ」


「自分を殺した相手のことをよく楽しそうに話せるのう」


「色々あったとは言え一人息子ですから。それに原因は俺にあるんで恨む気もないですし」


「死んだのにあっさりしとるもんじゃな」


「一周回って冷静なんですよね。大切な人が死んだとかでもなく死んだのは自分だから」


俺の場合は即死だったから焦るとかなかったんだよな。

この世界に来た時は絶対死んだと思ってたから新しい人生をすんなり受け入れれたし。


「モノはすごい精神をしとるんじゃのう」


「俺的にはみんなの精神のほうが余程すごいですけどね」


「そうかのう?」


「魔力があるとは言えよくあんな戦いできますよね」


「慣れじゃよ」


慣れってことは俺もいつかああなるってこと?

なるんだろうな。異世界に来て戦わないは難しいか。


「で、その息子の話は他にないのか?」


「それが話せることが全然ないんですよ。俺は仕事ばかりだったし、たまに話をしても印象に残るほどの会話じゃないので覚えてないんですよ」


「そんなもんかのう?」


「そんなもんですよ。ジディとは殺された事でちょっと仲良くなれた的な感じっすよ」


「仲良くなっても関われないがのう」


というか俺が仲良くなったと思っていてもジディのほうが嫌ってたら意味がないな。

まあ、師匠の言う通りもう会うこともできないけどな。


「じゃあ次は嫁さんの話を」


「そっすね。と言っても同じくらい話せることがないんですけど」


「よく儂らと仲良くなれたのう」


「別に話すのが苦手って訳じゃないので。それで嫁とは上層部が結婚しろって言ってきまして紹介されて出会いました」


懐かしいな。あの時は上層部の奴らが血を残せだのうるさかったんだよな。

俺が王なのによく文句を言えたよ。


「上層部ってモノは独裁者だったんじゃろ?無視できたんじゃないか?」


「俺は独裁者……というか酷い王様でしたけど、俺一人に権力があった訳じゃないんですよ。先代の王の時から居た人もいるのでずっと無視するのは難しかったんですよね」


そんな理由で結婚したはいいけど何もなかったな。

何もない事はなかったか、子供いたし。


「次は親の話を」


「親ねぇ……俺が言えた話じゃないですけど最悪でしたよ」


最悪は言い過ぎだな。

というか王家であることを考えたら普通かもな。


「何があったんじゃ?」


「ちょっと王になるために色々と叩き込まれまして」


「王族に生まれたらそうなるじゃろ」


「そうですけどねえ……」


師匠の言う事は正論なんだけど納得できるかは別なんだよ。

多分だけど俺は王の器じゃないし。


「炎華ちゃんはもっと楽しそうじゃったな」


炎華?なんでそこで炎華の話が?

いや待て、出会った頃にそんな話をしたような……


「炎華ちゃんも王族じゃからな」


「あ、あー……ありましたね。そんな設定も」


「モノは人の特徴を設定と言うのか」


「というか王族とか言う設定はどこで役に立つんですか?俺も炎華も活かせてないですよその設定」


「そりゃあれじゃよ。お前は……いや、あなた様は的な展開になるんじゃろ」


師匠は思ったよりノリが良い。

というか王族キャラが多すぎるな。

待てよ、じゃあ俺と炎華ってキャラが被ってるのか?


「そういえば炎牙も王族と言っとったな」


「いや、多すぎるわ。え?ちょ……マジっすか?」


「マジじゃ。前に話した時に言ってただけじゃが」


「マジかぁ……じゃあ炎牙は元王族系?それとも現役で王族系?」


「現役じゃろうな」


現役の王族が何してんだよ。

家出か?今ごろ捜索隊とか動いてんじゃねえの?

炎牙が帰らないとか言ったら国と争いになるのかな?

友達が嫌と言うなら黙って渡す気もないが国が本気で来るならちょっと怖いよね。


「俺はみんなのこと全然知らないんすね」


「家族とすら仲良くなれてないのに、いきなり他人は難易度が高いじゃろ」


「なかなかに抉ってきますね」


師匠は言葉の斬れ味も高いなぁ。

俺って人の上に立つ人物としてある程度のコミュ力はあると思ってたんだけどな。

実はコミュ障なのかもしれない。


「そろそろ戻るとするか」


「そっすね」


俺と師匠は来た道を戻り始めた。

あれだな、森は時間が分かりにくいな。

時計が欲しい。

俺はそんな事を考えながら薄暗い道を歩き続けた。

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