聖女は誓う
――――その後、取り敢えず使ってもらう部屋を案内し、それから一応屋敷にも案内して挨拶をしてもらった。今はその後で、彼女はもう部屋に戻ってる。
「…そんなに強くなさそうだよぉ?シー君本当にあれ雇うの?」
「覚醒済みだぞ彼奴」
「へ?」
「レベル1000を超える資格を持ってる。若干の阿保とは言え、少なく見積もったとしてもラオと同等かそれ以上だ」
「「えぇ!?」」
「ラオに苦戦してたお前等だと瞬殺されかねんぞ」
「し、シー君はどうなの?そもそも資格あるの?」
「無いわけないだろぉ。無かったらとっくに死んでるさ」
そう言いながらワールスとエトワールの頭を撫でると、若干不服そうにしながらアルスが膝上に座って来た。ラストは俺の背中でぐっすり寝てる。可愛い。
「だが安心しろ。ワールスは後日俺と一緒にタルタロスの館に行って特別な魔法を施してもらう。とは言え施すのは俺だけど」
「?」
「やり方がよく分からないから教えてもらいながらやるだけさ。ラオが魔人になってただろ?最初は人だったのに」
「お~!遂に私も魔人デビュー!」
「その後にエトワールとアルスと共にサクリスと戦ってもらう。模擬戦だがな」
「「なんで~?」」
「実力チェックさ。…覚醒の条件は分かってないが、まず覚醒者はなんと三種類いる。一つは生まれた瞬間に覚醒し、尋常じゃない強さを持ってる生粋の覚醒者達。主にパルやジェネシスといった初期から居る人達だ。もう一つは生まれた瞬間から覚醒してるが、能力の開花が少し遅い奴等」
「ふむふむ」
「最後は生きてる過程での覚醒。原因不明だが、全ての覚醒者に共通してるのは覚醒者に本気で挑んだ事があるって事。勝敗関係なく己の全力を出したことがある筈だ。まぁ…だからこそ覚醒者は少ないんだがな」
「「???」」
「覚醒者に挑む馬鹿は少ないし、挑めば9割9分死ぬ。生かしてもらえること自体が少ないと思う」
「シードはどうして覚醒を?」
「ハハッ…良い質問だエトワール。俺が覚醒者になったのはな、実は11の頃なんだ。お前等が知ってるかは分からんが、ヴェルロイド王国の首都にとある魔人が住んでてな」
「おぉ…」
「俺等が攻め込んだ時もやっぱ跡地しかなかったけど、そいつは俺が死霊魔法を始めたきっかけだ。名前はアリエナだったかな。6の頃から死霊魔法を習い始め、11の頃…卒業試験が突然始まり、その最後に覚醒」
「「アリエナ…?」」
「まぁ知らんよな。一つ言えるのは今の俺でも絶対に勝てないって事だ。死霊魔法に於いては勝てるビジョンすら見えない。…格闘、剣、持久力、そして他の魔法でもな。卒業試験の時、初めて彼女の皮膚をちょっと切れただけ」
「そんな相手が…」
「居るんだよなぁ、それが。んまっ、何時か会えると思ってる。取り敢えずそれが俺の覚醒した理由さ。彼女が少しでも力を出せば俺は瞬殺されてたと思うよ」
そう言いながらラストに触れ、ちょっとずつ移動させて斜め右う後ろに。それからゆっくり倒し、ワールスに膝枕をしてもらった。
「俺はそろそろ行くから、アルス降りてくれるか?」
「え~」
「また後でな」
「ん!行ってらっしゃい!」
「おう」
「また後で~」
「迷子にならないでくださいね」
「ハハッ、それは分からん」
そう言いながら出ていくと、聖女が後を付いてくる。まぁ付いてくる分には良いだろうと思い、取り敢えず中庭に。
「あ、あの!」
「どうした」
「一つお願いがあります」
「言ってみろ」
「…私に力を貸してください。聖王国を変えます。それが無理と判断すれば国を―――破壊します」
「当面は無理だぞ。兵も居ないしな。出来るとすればお前をこうして預かる事ぐらいだ」
「何時かで良いんです」
「…そうか、なら良いぞ。その間に能力が覚醒すると良いな」
「………」
「おっと、誰にも話したくなかったか?」
「いえ、私はそれで弄られてきたので…なんか…」
「ハハッ…俺等は別に弄らないさ。逆に羨ましい。努力をすれば才能と言う名前の花は咲く」
「努力してもダメなんです!」
「そりゃお前、今してないからだろ。そもそもな、お前は束縛された生活を送っていた。聖女としての規則正しい生活を。だが実際に必要なのはそれじゃない。お前がすべきこと、それはあの三人の様に地道に努力する事だ」
「………頑張ったら…強くなれますか」
「さぁな。だが努力しなきゃ一生弱い。…それとお前は戦闘じゃなくてサポートに専念したほうが良いと思うぞ。その才能の蕾は戦闘系の聖女じゃなくて支援が得意な聖女だ」
「戦闘…支援…???」
「聖攻撃を馬鹿みたいに放って敵を撃退するのが戦闘特化の聖女。聖攻撃で退治も出来るけど、回復や状態異常の治癒を得意とするのが支援系の聖女。お前は後者。前者はそもそも聖女なのか怪しいがな」
「前者の聖女って居ますかね…」
「過去には多かったらしいぞ。まぁ過去の聖女は支援も戦闘も両方特化型の変態が多かったらしいが。…取り敢えずお前は支援方面を頑張れ」
「はい!」




