規格外vs規格外
「し、師匠!?」
「びっくりしたよ、熱線がこっちに進んでくるんだから。せめて別の方角向こうよ、海が多少蒸発しちゃったじゃん」
「メンゴメンゴ!でもルナテクスならすぐ戻せるでしょ?」
「そういう問題じゃないの、この馬鹿オメガ!」
「っと…」
思いっきり魔力光線を放ってから、バカ弟子の後襟を掴んで思いっきり上に飛ばす。その刹那、紅炎で出来た槍がその場所を通過し、その場所で爆発。
「久々にやろ!」
「僕は面倒事が嫌いなの。…でもまぁ新年一発目の戦いがオメガとなら…うん、ありだね。シード、君は僕の近くに居て。邪魔になってもいいから至近距離でこの戦闘を体験すべき」
「えぇ…?」
「大丈夫、守ってあげる。それに君の死霊魔法はかなり上出来。その辺のノーライフキングより遥かに上手く扱ってる。怨念も扱える子はレアだからね。ゼノとかしか無理だよ。だからある程度は守れる」
ゼノはノーライフキングの中でも異常な存在だからね。異常な奴だから扱えてる。逆に言えば異常じゃない個体は扱えてない。
「彼は人間、というか冒険者の中なら彼の右に出る者はいない。それほどまでに上手く扱えてる。だけどバリエーションに欠ける」
「うぐっ…」
「ただスケルトンキングの使い方は誰よりも上手いと思う。部分的に生み出して攻撃したりするでしょ?さっきもあれで防御してた。…凄いよ」
「へへっ…ありがと」
「もっと上手に扱えるようになって。じゃないと僕は認めないよ」
「鬼畜師匠の一面が…」
「行くよ…!」
彼女は思いっきり跳び上がり、そして天から無数の紅炎槍を放ってくる。それらを自身を覆う程度の結界を張って軽く防ぎながら一気に上昇していく。
その途中で飛んでくる槍を手に取り、思いっきり投げ返した。
「気狂ってるでしょ、やっぱ」
「そうでもないよ。一時的に魔力を手に目一杯込めれば掴める」
「普通は無理だし、危なすぎる」
彼女は紅炎で壁を作ってそれを防ぎ、その壁から無数の紅炎の弾丸を放ってくる!なので此方は雷を生み出し、雷竜としてそれらを飲み込んでいった。
「プロミネンス!」
「ちっ…」
プロミネンスは彼女の技の一つ。紅炎を使ってる時しか発動してこないけど、されると死ぬほど面倒。特に火山地帯で発動されたら終焉待ったなし。
なにせ敵味方、そして自然問わず炎系統を全て意のままに操るんだから。ただし魔力で支配出来ればの場合。コラプスの終焔とかは無理だけど、でも彼女の魔力支配に抗える魔力の持ち主は少ない。
そもそもこの技を発動すると、大陸一つを覆う程の魔法耐性ならぬ魔力の支配耐性、ってか状態異常や精神干渉、魔力干渉等々、あらゆる耐性が謎に減る。
そのせいで洗脳されやすくなるし状態異常もかかりやすい。そして勿論魔力にも干渉されやすくなり、上手く扱えず、最終的に魔力自体を支配される。
自然界の魔力は操るのが大変と言われてるけど、彼女からすればそんな事は無く普通に操っちゃうから、技が発動すると本当に面倒な事になる。
まぁどこぞのシード大好き変態悪魔は逆に支配しようとしてくるけどね。そもそも私達が敵と認識するような奴の魔力を支配すること自体難しいのに、彼女はそれを普通にやる。
オメガですら耐性を下げて漸くなんだよ?どれだけあの変態が変態してるか分かると思うよ。僕?僕はまぁ…ね、天才だし。ジェネシスも出来るんじゃないかな、分からないけど。コラプスは苦手らしい、そういう系統が。
「ルナテクスへの耐性下げは相変わらず意味をなさないね」
「そもそもプロミネンスは耐性云々以前に奥義を使うための技でしょ」
「フフッ…まぁね!でも大丈夫、今回は使う気はない。流石にこの辺を破壊すると可哀想だからね、えっと…あれ、あの子…そう、フロル君が」
「っと…話しながらの攻撃は危ないよ?僕じゃ無きゃ当たってる」
謎に蛇行しながら襲ってくる紅炎を回避しつつ、近くに居るシードの手を握ってさらに上へと上昇し、彼女よりも遥か上空へ。
「シードはいざって時にしか使わない武器ってある?」
「へ?無いけど…」
「一つ用意しておいた方が良いよ。自分で作っても良いし、オメガに作ってもらっても良い。自分で作る方が良いとは思うけどね。…まぁ本当にここぞって時にしか使わない武器、あったほうが良いよ」
そう言いながら特別な杖を取り出し、彼女の方へ向けてエネルギー光線を放った。それは彼女に当たらなかったけど大地に直撃し、淵海に到達する程の大穴を開け、巨大な大爆発を巻き起こす!
「サンバルクを使うなんてね…」
「新年一発目には丁度良いんじゃないかな?」
「どうだか…」
「どうなってんだ…」
「―――わぁ、大穴だァ」
「あっ、リームング!」
「シード~!大丈夫?何かされてない?」
「うん!」
リームングはシードを抱きしめながらこちらを一瞥し、そして大穴を見てからその穴を土魔法で一瞬で塞ぎ、そして木々を生やした。
「サンバルクはそんな簡単に打つもんじゃ無いでしょうが」
「だって使いたかったんだもん」
「子供か!…まぁ良いや、流石にここら辺が消し飛んじゃうからもう終わりにしなよ」
「…仕方ないなぁ」
「まぁ楽しめたしそうしてあげる~。あっ、軍服の話は任せといて」
「うん!」




