道具屋の店主
「―――では失礼する」
「うぃ~」
「何処行くの?」
「約束の日が今日でね。彼はこの後に王城に戻るぞ」
「ズルい!」
「それとのぞき見は辞めてやれ。お前プライベートまで覗く気だろ」
「シードは私のだよ?全部私の」
「「愛が重い」」
「そんな事無いよぉ。ってか別にずっと見るわけじゃ無いさ!やる事あるもんね~!」
「そだね!早速…収穫しよう!」
「だね!本当に育つのが早い」
「私の肥料のお陰だな、感謝して?」
「感謝感激マジ感謝」
「ありがと!」
「お前もジェネシスを見なられ」
と言う事で城へと転移し、何処で待つか悩んでいるとちょうど付近にシードとルナテクスが転移してきた。
「あっ、悪い待たせた?」
「問題ない。そちらは…」
「えっと…魔法の師匠!」
「…ルナテクスよ」
「フッ…そうか、覚えておこう。話は何処でする?」
「応接室に案内するよ!んじゃまたね」
「えぇ、また」
彼女が通り過ぎるのを横目に、シードの後を付いて行く。
「知り合い?」
「いや、その名を初めて知った」
「まぁそりゃそうだろうな~」
彼はそう言いながら応接室の扉を開け、私は中へと入って行った。鍵が閉まる音を聞きながらソファーに腰掛け、中を軽く見渡す。
「綺麗だな」
「城のメイドさん達は結構細かい所まで掃除してくれるんだよ!」
「大事な部屋もか?」
「流石にそこはやらせてないんじゃないかなぁ」
「まぁ流石にか。…それで場所は取れたのか?」
「勿論!言われた通りメインストリートの中央広場付近に!」
「助かる。しかし…魔族はやはり冒険者の様な輩は居ないんだな」
「傭兵なら居るんだけどね、冒険者制度は存在してない。作った方が良いのかなぁ」
「いや、別に要らないだろう。傭兵の役割は人の言う冒険者に似ている。彼等が居るならば医療系薬品も売れる」
「結構バカ売れすると思うぜ?まぁ程々にな。他の店が売れなくなると面倒な事になりそうだし」
「案ずるな。元々商品はあまり作るつもりもない。仲の良い相手に物を売りつけに行く方が好きでな。故に店を開ける時間は少ない」
「…基本は特定の人に商品を売りに行ってるって事?」
「そうだ」
「ふぅん…」
「例を挙げるならパルパータ、ジェネシス辺りだな。まぁ売りつけるとは言ったが、無料サービスの事が多い」
「マジかよ」
「材料提供をそれなりにしてくれてるのもあるが、やはり付き合いが長いからな。友の頼みは断れんし、高いワインを貰ったりしてるからこそ、その御礼みたいなもんだ」
「ほへぇ…良いなぁ」
「…それはどの点に関して?」
「長い付き合いがある点と、そういう付き合いがずっとある点」
「……まぁ君の元には不定期で向かうさ」
「本当!?」
「私なんかと長い付き合いがあっても嬉しくはないだろうけどね」
「そんな事無いよ!だってオメガはパルが認めてるし親友って言ってたもん!ならきっと付き合ってて楽しい事がいっぱいある筈!」
「世の中はそこまで甘くない。彼女達ほどじゃないにせよ、面倒事の一つや二つは呼び寄せる」
「そりゃぁ俺だってそうさ」
「…なら宜しくね、シード」
「うん!」
彼と手を握り合い、その後数時間は雑談を交えながら道具屋について色々と説明したり、彼の理想について語って貰ったりと充実した時間を過ごした。
「―――ふぅ…そういや服のサイズ云々って話はどうなった?」
「あぁ、そう言えばそうだったな。サイズを測るとしよう。多少触れるぞ」
「問題無い。脱いだほうが良いよな」
「そうだな。パルパータのあれは触れずに彼女から教えてもらったサイズのみで作ってるが、本来は魔力の通り道やら骨の形、筋肉の形等々を加味したうえで作る」
「結構凄いのが出来そうだな。料金は?」
「値段を考えたことは無かったな…」
「え?」
「パルパータやジェネシスの私服も装束も全て無料だ。どっちもサイズしか言ってないからな。ジェネシスは一部触れたがギャーギャー煩いので私が辞めた」
「レアパターン…」
パルパータは恥ずかしいと言うよりなんか分からないけど嫌らしい。だがあの装束でもかなり十分だとは思うから、今思えばやらなくて良かった。私服は別にサイズだけで分かるから必要ないしね。
ジェネシスの場合は触らせてくれるが、エッチだとか煩いから辞めた。あれは疲れる、色んな意味で。
「私服の方にはそう言うの反映させないの?」
「流石にさせても意味無いからな。それ故に私服を先に作り、二人の意見を聞いてから徐々に調節してあの装束を生み出した」
「納得!」
「好みの素材とかがあれば先に聞いておくが」
「ん~追々渡してく感じで良い?」
「構わない。装束用の素材は出来るだけ早めがいいな。早速作り始めるから」
「マジか。…予定ではどの程度?」
「元旦に渡す感じだな」
「おっけおっけ!強化とかも出来るの?」
「無論だ。あの二人も随時強化をしてる。アルマですらな」
「凄いなそれ。…どうやって呼べばいいんだ?」
「念話で呼んでくれれば」
「おけおけ」
―――その頃、タルタロス
「………」
「腰が痛いよぉ…」
「………」
「…何を無言で見てるの?」
「オメガがパンツ姿のシードの体に触れてる…」
「………装束作りでしょ」
「…そうだけども!グヌヌ…」
「あっ、ちゃんとカギ閉めた?」
「え?あぁ、勿論閉めたよ。不法侵入とか絶対ないだろうけど、戸締りはちゃんとしないとね~」
「うんうん!」
魔道具をオフにし、アイテムボックスから数十冊の本を取り出して近くの本棚の方へ魔法で飛ばして収めていく。
「何の本?」
「主に歴史関連かな。歴史系の禁書もあるよ。載せられない情報も載ってる」
「最高じゃん!アルマが喜びそう」
「分かる」
「……ってかパルの部下は皆何処で何をしてるの?」
「ラオ以外部下居たっけ」
「えぇ…?」
「だって所詮は…誰も理解してないゴミだから。ラオとは違う」
「パルって意外に色々と気にするタイプだよね」
「まぁね。ジェネシスもでしょ?」
「まぁそだね~」




