魔法と言えば
――――12月10日、午前
「ルナテクス!」
「…図書館では静かに。って言ってもここ数週間ずっと君しか来てないけどね」
「お前、どっか行く場所とか無いの?」
「司書が消えたら本が盗まれる」
「そうかなぁ…。禁書はもう俺が全部持ってるし、他に欲しい本はどうせお前が保管してる」
「一応だよ一応。んで今日はどのジャンルをご所望で?」
「魔法だな。最近フロルに勝てなくてさ。元々魔法の才能に関しては彼奴の方が数億倍上なんだが、負けっぱなしも嫌でさ」
「才能に努力で追いつこうってわけ?」
「ちょっと違う。それにパルのお陰で俺もスキルを云々出来る能力が増えたんだ。ラオから貰った手紙曰く、ジェネシスが持つスキルと同じらしい」
内容を簡単に説明すれば、相手の承諾を得ればそのスキルをゲットできるって事だ。要するにパルに頼めばいいスキルをゲットできるかもしれない。
「ふむふむ」
「まぁ卑怯な方法で才能を得ながら、努力もするって訳よ」
「そう言うの嫌いじゃない。でも一つ教えておくね。大抵の強者は能力を持ってても使わない。あれは全て素の能力よ。能力は基本的に常時オンだけど、オフにも出来るから」
「…なら努力だけする」
「それがお勧めかな。才能を得るのも良いけど、それはあくまでも新たな何かを開拓する時に死なさい。例えば氷魔法系のユニークスキルを得たいなら、氷魔法を極めて行くときとかにしろって事ね」
「分かった!…氷魔法系のってあるの?」
「絶対零度とか冥氷っていうユニークスキルかしら。あれは普通の魔法じゃなくてユニークスキルなんだよね~。まぁ使えるけど」
「えぇ…?」
「ユニークスキルだろうが何だろうが、魔術を極めれば覚えれる。努力して得たユニークスキルだってあるでしょ?」
「もうあんま固有じゃないんだな…」
「そう言うわけでもないわよ。シードの持つ『魔王』は歴代の『魔王』しかゲットできないし、さっきの二つも氷魔法を極めたり、死界の氷を見たりして漸く入手できるの。言わば得る人ぞ得る魔法ね。…それに最初から持ってないと基本は手に入らない条件が殆どなの」
言われてみればそうか。死界になんて普通いけないもんな。最初から持ってないと絶対に手に入らない。氷魔法を極めるのも何百年以上かかるからかなり難しい筈だ。
「お前の言う通りだな…。最初から授かって無いと基本は無理なんだ」
「そゆこと。んで魔法だっけ」
「そうそう」
「私が教えてあげるよ。天才たる私がね!」
「マジ!?」
「マジもマジ。どこでやろっか」
「図書館は?」
「え?別に放置しても良いよ」
「う~ん、数分前のお前に聞かせたい」
すると転移魔法が発動し、見知らぬ森へと移動した。直ぐ近くには見覚えが無い巨大な廃城が聳え立ってる。
「ここは第二魔界の魔の森。様々な魔物が居るけど気にするほどじゃない。さて、どの部類から始める?MPの量、魔力量を増やしたいのか、それともステータスにある魔力を上げたいのか。まぁあれは熟練度だけど」
「魔法で強くなるってのはどういうことなのか聞いても良い?」
「う~ん、無詠唱で高威力で様々な種類を放てるようになる事かな。一種類の属性だとしても魔法は数千に及ぶ種類があるから」
「なるほどな。…取り敢えず種類を覚えたい」
「分かった。それじゃ最初はお手本を見せるから、それを扱えるための…」
「発想練習?」
「って思うじゃん?残念、それはしません。君には魔術を勉強してもらう。基礎の基礎から教えるから。ってわけで朝は座学、その後に実践というか私のを見て解説云々」
「大変そうだな。でも…やる!」
「フフッ…頑張ろう」
―――その頃、タルタロス
「…納得いかない!そこは私に教わるべきでしょ!」
「魔法は私の方が得意だよ?」
魔道具から映し出される映像を見ながらパルに言うと、彼女は不服そうにしながら足を組んで頬を膨らませた。ちょっと面白いなぁとか思ってると、彼女の表情が突然変化。
「此奴の名前は?」
「え?ルナテクスって言ってたけど」
「……そっか、じゃあ違うや」
「?」
「いやぁ、何か…双子かなぁ…」
「???」
―――昼時、魔の森にて
「…そういや何で魔術で魔法陣を理解する必要があるんだ?あれって無詠唱で出来ない人の為にあるんだよね?」
「君は毎度安定して槍を作れるけど、槍の形状は毎回一緒?」
「いや、ちょっと違う」
「火炎弾の大きさは一緒?」
「ううん、違う」
「そうだよね。それは脳内の想像によって魔法に影響が出てるだけなんだけど、いざって時に変なのを思いつくとどうなる?」
「あ~」
「そんな時に魔法陣を理解してて御覧。それをさっと脳内に思い描ければ直ぐに魔法が放てる。何なら大小も自分で調整可能」
「利点って結構多いんだな」
「勿論。デメリットは難しい事かな。魔法陣って結構難解でね。でも魔法陣の複数合成が出来るようになればすさまじい魔法を使える」
「龍の咆哮とかも?」
「勿論。あれはユニークスキルだけど、理論上使える筈」
「マジか」
「それをどうやって使うか、どんな魔法陣を描けば使えるかを考えるのが魔術師。でも仕事じゃない、趣味だから」
「そうだよな」
「別に私は魔法陣を作っても公表したことはない、君には見せてるけど」
「良いの?」
「まぁ弟子だし?」
「前は違ったんだけどなぁ」
「フフッ…」




