星が堕ちる日
――――一週間後、夜
「ふむ、兵の士気は変わらずか。連日雨なのによく頑張ってるな」
「案外好調だね」
「うむうむ」
「悪くはないわ。というか押し返せてるから良い」
「そうか。では引き続き頼む。…そろそろ奴も本気を出すだろうし、兵には気を付けろと言っといてくれ」
「「了解」」
―――その頃、玉座の間
「…どうして君が此処に居るのかな」
玉座の間の扉を開けて入って来たのは、長い杖を手に握る一人の魔人。知る人ぞ知る最強の魔人。私よりは弱い。
「…三度ある事は四度ある、ってことわざでも作りたくなった?」
「今日は勝たせてもらうよ」
「君と殺り合うと面倒なんだけどなぁ。…でも良いよ、余興にしては丁度良い。逃げ無視のアルマ君」
何故か知らないけど私が過去に殺した勇者に変装し、顔を見えない様にフードを深く被ってる。まぁ多少見えたから勇者って分かったんだけどさ。
でも鑑定で見るとアルマになってるし、魔力が完全に彼女のだから分かりやすいね。
「奇怪な魔剣士、それとも皇帝、どっちで呼ばれたい?」
「君は死ぬからもう関係ない」
「パルパータ…!」
「駄目だよラオ。此奴は流石に君じゃ勝てない」
玉座から立ち上がり、目の前に移動してきた彼女の拳を防ぐ。それから左手を腹部に押し付け、風球を生成して吹っ飛ばした。
彼女はそのまま開いてる扉から通路へと移動し、壁にぶつかる直前で停止。だがその頃には私も彼女の目の前に移動していたので軽く蹴飛ばし、彼女は壁を突き破って外へ!
「君じゃ相性的に勝ち目が無いと思うんだけどね!剣術は多彩なれど、私の方が多く知ってるし!」
飛んでくるでっかい火球を、引き抜いた大太刀で切断してから彼女の放った斬撃を回避。
「シードに頼まれたわけじゃないだろうし…本当にどうしてこのタイミングなんだか!」
「聖槍!」
「意味無いよ!」
複数放たれる槍を全て切り裂いてから宙を蹴って一気に接近し、左手から獄炎を放つ。しかし直前に水の膜を体の周りに張っていた様で、見事に防がれた。
「今ので蒸発しないとか、流石君の作った膜だね」
「ど~も」
「…で?最近おもちゃで遊んでるの?認めた相手以外は玩具としか思って無いんだよね?」
「そだね。認めた相手と言えば精々終焉シリーズぐらいしか居ないけど。…遊んだか遊んで無いかで言えば遊んだ」
「何したの?拷問?」
「そういうのはしてない!」
激しい斬り合いを続け、彼女がちょっと態勢を崩した隙に蹴りを決める。それからぶっとい魔力光線を思いっきり放った。
だが当然効く筈も無く、彼女はちょっと苛立った表情でこっちを睨んでくる。
「じゃあ何したのさ」
「これを防げたら教えてあげるよ!その大太刀なしでね!」
彼女が上を指差すのでそっちを見てみると、超巨大な星が落ちてきていた。しかも既に赤みを帯びてる。
「……断っても良いんだよ?」
「そうすれば知れないだけ」
「ちっ…」
宙を蹴ってから魔力を右腕に流し、それに接近してからクスッと微笑んだ。
「……私、舐められてるのかな」
それだけ言い、軽く腕を振るってからニッコリ微笑み、彼女の方に顔を向ける。
「さっ、教えて!」
背後でそれは真っ二つに割れ、直後に私の魔力とあれを引き寄せた彼女の魔力がぶつかり合って大爆発を巻き起こした!!
「……何処まで強くなれば気が済むの?」
「私が満足するまで!…で、何してたか教えてよ~。結構長い間姿を晦ませてたでしょ」
「自分自身が人の視点で過ごしてるだけだよ。それはまだ続けるつもり」
「相変わらずの気紛れ具合だねぇ」
「…君は何してんの?突然戦争おっぱじめてさぁ」
「これを破壊出来たら教えてあ~げる!」
「………は?」
無数に生み出す巨大な獄炎球。そのサイズは全てにおいて城よりも大きい。何個あるかは正直私にも分からない。
すると彼女はチラッと後ろを見てから溜息をつき、無数の魔法陣を展開。
「君は対戦相手諸共殺す気かな?」
「あっちに落ちるのは問題無いよ。ほら、もう壊れたって…え?あれって…」
「…君、あれも敵に回してるの?」
「んなわけ無いでしょ。回しても面倒なだけ」
「だよね。…まぁ良いや」
年中黒いロングコートを着てて、黒いロングヘアー、茶の瞳、黒い瞳孔の女性、んでカレーライスを食べながら宙を移動してるのを考えればもう一人しか居ない。…オメガの奴、何で此処に?
「オメガ…!!!」
「――――む?…あれはパルパータに………アルマか」
私は宙を蹴って目の前の獄炎球を蹴り飛ばして一気に移動。蹴った瞬間にそれは壊れたが、まぁ良いだろう。
「久しぶりだな」
「何で此処に居るの?」
「私は道具屋の店主だ。店を開くために色々な場所に居る」
「「意味不明」」
此奴はオメガ。遥か昔から道具屋を経営してる。口調は若干男っぽいけど、れっきとした女性。かなりモテる。
ただ彼女自身恋愛にそこまで興味が無く、恋愛より食事と常に言ってて、それを理解してくれる人物こそ真の友だ、とも言ってる。
「…アルマ、魔法発動しなくて良いの?」
「あっ、そうだった」
彼女は魔法陣を全て起動させ、降り注ぐ獄炎球全てを消し飛ばした。
「…にしても少しは女性っぽく話そうとか無いの?いや、別にその話し方を否定するわけじゃないんだけどさ」
「別に正直どの喋り方でも良い。…それより何をしてるの?遊び?」
「そんな所」
「殺し合い何だけど」
「ふぅん…。あっ、食べる?」
「折角だし私の城で食べなよ」
「良いね、そうしよう。アルマも」
「…私は用があるから帰る」
「それは残念。またね」
「バイバ~イ!」
「…バイバイ」




