アンデッドの倒し方
―――翌日、未明。要塞の北側にて
「いやぁ、暇すぎて来ちゃった」
「う、撃て!早く―――えっ」
城壁上から落ちる兵の上半身。それと同時に要塞内に次々と侵入する無数の欲望の化け物たち。
すぐさま警鐘は鳴り響き、すぐさま兵が動き出す。だが一番の強敵は城壁から動かず、ただそこから見下ろすだけ。
「巨大な要塞だねぇ。城みたいなのもあるし」
「…ラオ……」
「どうして化け物が此処に…」
「転移で皆を連れてきてあげたの!それと君達を殺す為に。…君等を殺せば戦力の大幅削減になるからね~」
「ッ…」
そう言いながら剣を引き抜き、武器を構えるエトワールとワールスの二人を見つめる。彼女達はこちらを睨みながらも武器を引き抜き、しっかり構えた。
「行くよ!」
軽く蹴って一気に接近し、エトワールの投げた短剣を回避してから懐まで潜り込んで剣の柄で一押し。彼女が後退した所で持ち方を変え、剣を振るってワールスの斬撃を防ぐ。
「御二人に当てない様に攻撃しろ!」
「…へぇ、もう全滅させたんだ。でも……」
ワールスに力で押し勝って吹っ飛ばし、風の球をエトワールの近くに放って爆発させ、彼女も吹き飛ばす。それから城壁を蹴って壊れた天井から中へと侵入。
内部構造は分からないけど、一つ分かってるのは囲まれた城壁の中に巨大な城が存在してて、かなり複雑な構造になってる事。
中庭とかもあるし、様々な施設が揃ってそうな事から実質的な要塞都市。要塞がもう一つの都市として成り立ってそう。
そりゃ一般的な都市とは違うよ?そんなデカくないもん。言っちゃえば王城に色々くっ付けて、それを囲んでみましたって感じだから。
でも50万近い兵士が住めてるんだから都市と言っても問題は無い筈。まぁ要塞は要塞なんだろうけど。
「さようなら」
中に居る兵士を次々と殺し、マントを翻しながら幹部らしき男と剣をぶつけ合う。
「何者だ!」
「パルパータ様の唯一の側近、ラオ。宜しくね、そしてさよなら」
素早く腕を斬り落とすと、彼は一歩後退。なので一歩踏み込んで首を斬ろうとするも、エトワールの刀がそれを防いだ。
「ぶっ飛べ!」
「っと…ふぅむ」
風魔法を纏ったワールスの聖剣が迫って来たので跳び上がり、屋根の穴から外へ。それから城壁上に登った兵の方に移動し、それを殺してからさらに多くの欲望の化身を召喚。
「フフッ…あれは強いよ?」
後方に居る30mほどある巨大な欲望の塊。あれはそんなに個体が居ないけど、パルパータ曰く四天王クラス。そろそろ四天王クラスが到着するだろうからその対策としてね。
「ラスハント!」
「うむ!!」
「…君が…」
「あれを倒した後、お前を殺す」
「アハハッ、こわ~い!」
そう言いながらワールスの剣を躱し、エトワールの放った獄炎をマントを使って無効化。
「アハハ、弱いね!」
「―――力を出し過ぎればこの辺が壊れる。配慮ってやつだろ」
「おぉ、そういう事かぁ!…ってシード!」
「まぁ派手にやってくれたな」
刹那、幾つもの火柱が背後に出現し、欲望共を一瞬にして飲み込んでった。
「…ワオ」
「余所見!」
「ッ…」
そっちに目が行ってたせいで、二人が目の前に来ていることに意識が向いておらず、そっちを意識した時には二人の武器が私の鎧、そして体を深く裂く!
「…こりゃ回復魔法を使わないとダメそうだ。鎧も直さないとなぁ」
「逃がさない!」
「鬱陶しい」
魔力で黒い半透明の巨大な手を生み出し、二人纏めて掴んでから思いっきり投げ飛ばした。
「……バイバイ」
「おう。…パルパータにこう言っといてくれ、会ったら殴るってな」
「アハハ、分かった!」
転移を発動し、玉座の間へと帰宅。それからソファーで寛いでるパルパータ様を見てから魔法で私服に着替えた。
「お帰り~!」
「うん!」
「どだった?」
「ちょっとした損害は与えたけどって感じかなぁ。そうそう、シードから伝言を預かってる!」
「おっ!何かな~?」
「会ったら殴るって!」
「怖っ」
「え?喜ばないの?」
「…私は別にドMじゃないんだけど」
「!?」
「え?…え?私の事をドMと思ってた???」
「シードには攻められたいのかな~って。それ以外は基本極を付けたくなるほどのドSだけど」
「……この話は辞めておこう」
「否定しないんだ!」
「ラオ?」
「はいごめんなさい!!」
否定はしてないから多分そうなんだろう。でも…多分虐めたい欲も持ってる気がするんだよね。普段がドS極だから。
「ワールスとエトワールはどうだった?」
「本気を見れなかったけど、連携は完璧だったね!」
「やっぱりか~。シードは何かしてきた?」
「火柱数本立てて化け物を一掃した」
「派手だねぇ。そう言えばあれ使ったでしょ、四天王級」
「必要だなぁと思って…」
「せめて許可の一つ位取って欲しいけど、ラオだし良いや!…それにラスハントに大ダメージを与えられたしね~」
「そうなの?!」
「うん!化け物視点で見てたけど、良い感じに戦ってた。不死身なのが厄介だけどね」
「絶対死なないよね、彼奴」
「聖なる武器を作れればいいんだけどねぇ」
「…これとか?」
アイテムボックスから、聖属性が付与されてる剣を取り出してパルパータ二渡す。すると彼女はそれを眺め、今度は私を見た。
「…そういえば聖騎士じゃん!」
「今更?!…一応聖魔法は聖騎士の中でも成績2位だよ」
「強くない?でもデュラハンは消せないんだよなぁ」
「だけど聖の鎖で拘束は出来る」
「そうそう。だから問題はどれだけ本隊と彼を離れさせるか。近くに味方が居なければ彼も…ね?」
「…上手く誘い込めれば勝ち目があるね。パルパータは聖魔法とか聖属性の武器持ってないの?」
「あんま得意じゃないんだよね~。普段は闇魔法で倒してるし」
「え?…どうやって?」
「まずレイスを除いたアンデッドは肉体を消せば終了じゃん?まぁ骸骨王クラスになると話は別だけど」
「まぁそうだね」
「んでレイスは言っちゃえば魔力で体を構成してて、薄い魔力の膜でそれを保ってるの。爆炎を球にする時は魔力で包むでしょ?」
「あ~!」
「聖魔法は関係なく破壊できるんだけど、他の魔法じゃ無理。でも闇魔法なら膜を破壊できる。…瘴気とかって草木を枯らすでしょ?」
「そういえばあれも闇魔法の一種か」
「そそそ!かなり応用の部類になるけどね!まぁ普通に瘴気を放つ魔物も居るけど。…でもデュラハンとかそのクラスになると闇魔法じゃ対処出来なくてね。どうにも復活しちゃう」
「う~ん」
「そこで聖魔法の出番!…まぁノーライフキングは倒せるけど」
「どうやって!?」
「無限に再生を続けてくるし、アンデッドは心臓なんて無い。でも精神汚染の魔法とか洗脳魔法を使って暴走させたり操って殺せばいい。自殺だね」
「前者は暴走してるだけじゃ…?」
「聖騎士が派遣されるだろうから倒されるでしょ!」
「せこい」
「うぐっ…。あ、後こんな方法もあるよ!何度も殺しまくって強制的に配下にする方法!屈服させるって事だね!」
「デュラハンには効かなそう…」
「あれはちょっとねぇ…。あのレベルになればノーライフキングと同じで殺しても復活しそう」
「わかる」
「ってわけで対策考えましょか」
「だね!」




