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親友且つ好敵手

――――帰宅後


既に五月となっているのだが、俺が居ない間に街が結構整えられていた。流石だなぁと思いつつ、取り敢えず俺は屋敷でのんびり。


「ラストぉ」


「あいあい!」


「部下居る?」


「居るよ!」


「マジで居るんだ…。サクリスって知ってる?」


「元部下!もしかして死界に行ってたの?」


「うむうむ」


「なら私に言ってくれれば良かったのにぃ」


「まぁ折角なら自分達で行きたいなぁと思って」


「なら仕方ない!」


そう言いながら、ラストが寄り掛かってるレイちゃんに目線を向けた。


「レイちゃん何してるの~」


「ん~とねぇ、書類の整理!」


「え?レイちゃんに仕事あるっけ」


「魔王秘書の仕事、誰がやるでしょーか!」


「あっ」


「デミは国造り、テンペストはバルバストと宮廷魔導士団の指導、ヴォイドとシャナリアは騎士団、アザはプレアデスと仕事、バハムートは周囲の警戒。故にパラと私だけで仕事だよ!」


「ご、ゴメン!」


「私にはわかんないからね~!」


「仕方ない!で、御礼は~?」


「ありがと!」


「うん!」


――――その後は温泉に入って気楽に凄し、気付けば寝ていたらしく、起きた頃には日を跨いで太陽が昇っていた。


「………」


最近の悩み事はレイちゃん達をあんまり頼れなくなってきた現状をどうするか、だ。それなりに頼れない状況が多い。


前はレイちゃん達にばっか戦闘とか色々と頼ってたけど、魔王を目指す今となっては話が別。でも俺、そして俺の新しい仲間ばっか頑張ると…。


「シード」


「う、うん?どうしたのボロス」


「何を悩んでるのか知らないけど、歴代の魔王達は皆揃って親みたいなもんだよ。…子に頼られるのも良いだろうけど、親は子の成長を見守ってたいもんじゃないの?」


「…ずっと待つだけ、見てるだけだよ?」


「それでもだよ。それに彼等だってシードに仕事を任されているでしょ?レイはまぁ別かもだけど」


「レイちゃんは…まぁ平和に過ごしてほしい。屋敷でまったりと訓練しながらね!」


「なら悩む必要も無いんじゃない?…まぁその事で悩んでなかったらゴメン」


「いや、その事だったよ!それで起こしに来てくれたの?」


「何時も通りね。…そういえば朝練するんじゃなかったの?」


「え?あぁ、ワールスとエトワールのか?今日は休んで良いって伝えたぞ」


「そうなの?朝からずっと戦ってるからさ」


「?」


「中庭で未明に一戦やってた。私も一回二人の相手したし」


「マジかよ」


―――数時間前、中庭にて


「ていっ!」


「……当たらないよ」


攻撃を躱しつつ、エマの動きを観察しながら素早く接近して腕を蹴り上げる。しかし彼女は剣を離さず、逆に一歩踏み込んでタックルしてきた!


「っ…」


「そこだ!」


「甘い!」


軽く仰け反りながらも、ここぞとばかりに突っ込んでくる彼女を見てから、左手に手早く生み出した風球を正面に放って吹っ飛ばす。


そして屋敷に当たる前に背後に回って抱き抱えて縁側に座らせた。


「むぅ…」


「最近強くなる事に固執し過ぎじゃない?」


「だって私だけ皆よりレベルが凄い低いし…。最初はレベルが上がり易くて、今じゃ300近いけど…こっからはなかなか上がらないじゃん」


「まぁそりゃね。でも…レベル差がいくらあっても死ぬ時は死ぬ。どんなに凄い英雄だろうと、どんなに強い魔王だろうと、負ける時は負ける」


「………」


「それが己の慢心なのか、技術の差なのかは知らないけどね。でも一つ言えるのは、どんなに強い人でも、一人で出来る事に限界はある。だから勇者は孤独では無く、パーティーを組むらしい。彼等が分かって組んでるのかは知らないけど」


「…パーティーかぁ」


「まぁシードとワールスが魔剣士、私が暗殺者…まぁ盗賊に近いのかな?だから必要なのは魔法専門と戦士みたいな高耐久系」


「シー君魔法も使えるよ?」


「戦闘で幾つかの事に集中するのはあんまり得策じゃない。複数の職業を熟せるのは大事だけどね」


「…エトワールってやっぱ凄いよね、ちゃんと考えられてる。私なんてシー君の仕事を見ててもよく分かんないだけなのにさ、いっつも意見出来てる」


「ワールスは私と違ってある程度の耐久がある。暗殺者は耐久面を削って速度に振るから。…知能が合っても壁になる事は出来ない」


「つまり私は護衛役として最適と」


「今はね。もし戦士みたいな人が来れば…」


「べ、勉強しないと…」


「シードに頼んでみようよ、教えてくれる気がする」


「確かに!」


「でもワールスの取柄は誰かの為に頑張ろうとする優しさと、クスッと笑えるような雰囲気を作れることじゃ無いかな」


「そ、そんな事無いよぉ」


「―――クソガキ共、まだ太陽も登って無いんだから静かにして。全く…」


「「あっ、ボロス」」


「起こしちゃった?」


「ゴメン」


「私はこれから仕事があるから起きてるだけ。…何してたの?取柄云々の話をしてたけど」


「これから先に必要となる人材を考えてて、今自分が何を出来るかとこれからどうするかを話してたの!」


「ふぅん…。となると…戦士系と魔法使い系か。アサシンと魔剣士居るし」


「そそそ」


「その通り」


「あぁ分かった、そういう事か。エトワールの方はまぁ良いとして、ワールス、悩んでるのはお前ね」


「そうそう」


「…知識面は知らないけど、確かに魔剣士として戦うなら色々と足りてない。戦士を入れるなら防御面は大丈夫、そう言うのは無いからね」


「無いの!?」


「まぁだってワールスも前衛でしょ?メインで戦うんだから…」


「…確かに」


「そゆこと。まぁ防御に振るか速度に振るかは個人の自由だけど、今必要なのは基礎体力。一戦やってたみたいだけど疲れすぎ」


「うぐぐ…」


「あとステータスが全てじゃないから。力がない、なら技術を磨けば良い。例え全てが駄目だとしても、数を熟せば少しはマシになる。それじゃ頑張って。あっ、此処だと煩いから闘技場で」


「一戦相手してくれたらいいよぉ?」


「ん、確かに」


「…こっちはか弱いメイド何だけど」


「「?」」


「はぁ…分かった、良いよ」


転移で闘技場に移動すると、メイド姿のままボロスは転移でやって来た。長めのスカートだがそれで良いのだろうか。動きにくそうだけど。


「服装の心配?問題無いよ、このメイド服は私の戦闘装束でもあるから。スカートの丈が長いのはこっちの方が好きだから。短いとなんか嫌」


「じゃ、じゃあ…遠慮なく!」


そう言って素早く接近し、剣に魔力を込める。その間にエトワールは背後に回り、先に攻撃を仕掛けた。


「剣の攻撃だろうと魔力を込めれば手に刺さる事はないし、こうして掴むことが出来る。ワールスは天月でも撃ちなよ」


だが彼女は短剣を軽く握ってから、一瞬でエトワールを地面に倒す。何が起きたのか、正直言って全く分からない。でも取り敢えず…やるしかない!


「天月!」


二連の斬撃。一発目は防がれると分かっていたのだが、想定外の事が起きた。何とボロスは防ぐ動作を見せず、余裕そうに見てるだけ。


そして一発目がぶつかるも、服に当たった瞬間に斬撃が消滅。二発目の音速突破の斬撃ですら…メイド服が破ける事は無かった。


「特注ってのもあるけど、取り敢えず魔力を込めれば込めるだけ服や武器は強化できる。それは知ってるよね?」


「「うん」」


「自分より魔力量が多い相手がそれで鎧とかを強化した。そういう時はどうすれば良い?あぁ、破壊魔法の魔力分解以外で」


「…一点集中?魔力で強化してても、強い攻撃をすればその部位の耐久力は減る。魔力は防御力等々を上げるだけで、武具の耐久値には関係ない」


「正解。防御力がゴブリンの攻撃力よりも上だった。でも攻撃されて体力が減らないかと言われればそうじゃないもんね。そりゃあり得ない程の差があれば別だけど」


「じゃあバレちゃうときは?一点集中と言っても時間が掛かるから鋭い人は気付いちゃうよ」


「弱者が長時間抗えば、大抵の強者はキレる。自分はこんなに弱い訳がない、って思うからね。強者あるあるだと思うよ、自らの力を信じて疑わない事ってさ」


「…生き延びて怒らせれば魔力は攻撃重視になる…」


「そゆこと。…MPはステータス分しかなくて、MPは魔力量を示してるから、それの分量を見つつ動くと良いかもね」


「「お~」」


「ただし一定以上の強者。例えば魔王クラスになればそれは通じないことが多い。ただそれに挑む時って大抵技術も力もついてるから…自信を付けて挑むことだね」


「「ん!」」


「って訳で私は仕事に戻るから。太陽が昇るまでは此処で、登ったら山で戦うと良いよ」

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