一難去ってまた一難
「…フロル、お前はもう寝てると良い。どうせ此奴の事だ、最初は何もしてこないだろうから」
「わ、分かった」
魔弾は俺の周りをクルクルと周り、やがて消滅。それを見届けてから剣を鞘に納め、魔法陣の前に立った。
その刹那、赤く輝いていた魔法陣が更に輝き、圧が収まると同時に魔法陣から爆風が放たれて一人の女性が降臨。
黒い長髪を靡かせ、黄金の瞳でこちらを見てからクスッと微笑んだ。身長が184あるエトワールよりも高そうで、高身長だからか中々圧が凄い。
「フフッ…良いね、やっぱ死体を吸収して顕現すると心地良い。さてシード少年、私と勝負しよう。あぁ勿論此処でじゃない」
「…内容は?」
「世界を賭けた戦争だよ!私は攻めないからじっくり準備したければして良いよ?ただし来年の4/7までが期限だね!そこで倒せなきゃ…世界を消す」
「そこまでに倒せば?」
「う~ん、平和が訪れる!普通は勇者にそれをやるんだけど、今代の勇者は君の味方だからさ」
「…どうして今なんだ?お前が前回出現したのは四代目魔王の時代だった。…今の今まで何故何もしなかったんだ?」
「だって人も魔族も再興するのには時間が掛かるでしょ?あの時は幾つかの国の首都以外を全て消し飛ばしたからさぁ」
…有名な話である。暦に於いて0年の1/1とされるあの日、この世界の大半が消し飛んだ。魔族、人、何方も一割まで減るという大事件だよ。
大きな国の首都以外全てに火柱が立ったのだから。本で読んだ時は本当にびっくりしたね。
「今はもうかなり昔に戻ったでしょ?当時、魔王が死んだばかりで完全に衰えてた魔王軍にとっては私のしたことも吉だっただろうしね!」
「…そうだな。五代目が頑張ってたし。まぁ結局それも無意味でこの惨状だが」
「いやぁ、今の人類並に今までの魔族は愚かだよねぇ。…君は違う、だから私はこうしてこの世に顕現した。さぁ遊ぼう、世界の命運を賭けたゲームをしよう!!」
「…嫌だと言えば?」
「え~?そんなの決まってるじゃん!世界を消す」
悍ましい程の魔力は俺達を圧倒したが、いつの間にか傍に居たデミちゃんが魔力を放って圧を消し飛ばした。
「おぉこれが噂に名高い伝説の魔王様。でも駄目だよ、このゲームは彼と彼の手駒のみが参戦して良いんだから」
「…プレアデスたちは?」
「好きにして!私が禁ずるのは君が仲間として扱う別格の奴等だけ。元魔王とか死神とかその辺がダメって事」
「なるほどな。なら元魔王軍幹部とかは?」
「そっちは良いよ。あのデュラハンも好きにすると良い。デミウルゴス、レイ、テンペスト、ヴォイド、ラスト、サタン、アザトース、バハムートがダメ」
「…ボロスは?」
「君の専属メイド何だろう?流石に構わないよ。これで説明は終了!案を聞くのは良しとするけど、前線に出てきたら駄目だからね!」
「…分かった」
「城はおっきく分かりやすいように作るから安心して!…うん、折角だしヴェルロイド王国の首都があった場所に作る!それじゃ楽しみにしてるよ!」
彼女はそう言って姿を消し、凄まじい圧から解放された俺達はその場に寝転がって息を吐いた。
「…何なんだよ彼奴…」
「これは困った事になったな。どうするレイ、テンペスト」
「私達が下手に手出しをすればそれこそ勇者との大戦よりも厄介なことになる。相手は悪魔最強と名高いパルパータだし」
「私達と戦えば負けるって分かってるからお兄ちゃんと戦おうとしてる。何せお兄ちゃんが死ねば私達は世界に興味を失うから、世界が消すのを止めない」
「「確かに」」
「…問題はお兄ちゃんがどうやって相手に勝つか。恐らくラスハントやムヴォン、バルバストにセグルスの参戦を認めたのはそれと戦える戦力を保持してるから」
「うぅむ…」
「ハハッ、皆心配し過ぎだよ、何とかして見せるから!…さっ、今日はもう寝よう!」
「「…そうだね!」」




