至高にして絶対の桜閃流
「レイちゃん!」
「ほいほい!」
「パラちゃん!」
「うぃ」
「特訓だ!」
「「ん!」」
「桜閃流!」
「…フフッ、懐かしい名前。この流派の名前だよね」
「うん!」
「暫くは無名にしてたけど…やっぱそれが良いよね」
「勿論!」
「へぇ、桜閃流って言うんだ、悪くないじゃん」
「でしょ~?シードが付けたんだよ」
「さっすがシード!」
ギュッとハグされ、胸に顔が埋まる。うん、レイちゃんよりもデカい。…ってか俺、パラちゃんにはいつ告白すれば良いんだ…?
「私の胸が小さいって思ったでしょ」
「ひっ!?」
「今日は厳しめに行こうか!」
「ぱ、パラちゃんが?」
「二人共」
「巻き添え?!」
「うっさいデカ乳」
「酷い呼び方だなぁおい!」
「うっさい!一夫多妻制じゃなかったらパラをここで斬ってる!」
「先に斬ってやろうか!?」
「うぇ!?け、喧嘩は駄目だよ!」
「…仕方ない」
「むぅ…」
「ほら、皆で仲良くやろ!」
「私もやるけど今日は厳しめね!」
「くっ、勢いで乗り切ろうとしたのに…」
「と言う訳で先ずは森に行こ~」
「「お~?」」
よく分からないまま森に移動し、よく分からないまま大蛇と戦闘に。しかも複数体相手。パラちゃんが居るとは言え…相手は強い。名前は忘れた。
「私は右の三体。シードは正面二体」
「了解!」
剣を引き抜き、取り敢えず吐いてきた炎を飛んで回避。それから斬撃を飛ばして首を切断。
それから木の枝に掴まってブラブラしながら蛇の攻撃を躱し、口を大きく開いたところで魔弾を放って倒した。
「良し!」
「天月」
「おぉ~」
蛇の体が地面に倒れ、パラちゃんがドヤ顔をしながら刀を鞘に納める。
ドヤ顔をする理由だが、最初は人の身体に慣れずスライムにすら負けていたからだろう。
「お疲れ~!まずパラは動きに関しては申し分ないかな!立ち回りも良かったよ~」
「まぁ私だからね!」
「次にシード!自然を利用した戦い方は相変わらず完璧!ただもっと動きを軽やかに!」
「精進する!」
「宜しい!ただ二人共、木の上に居る蛇に気付けてないから駄目だねぇ」
レイちゃんはそう言いながら魔弾を上に放った。その数秒後、巨大な蛇が落ちてくる!ただ一瞬で輪切りに。
「「ムムッ…手練れ」」
「いや、普通の蛇だよ?それじゃ次は…オーガの集落に攻め込もう」
「「余裕余裕!」」
ウキウキしながら移動し、何故か人が住んでそうな村に付いた。でっかい城壁に、でっかい扉。その前には兵士が二名。
「此処!」
「「?」」
「此処はオーガロードが住んでてね!この辺のオーガの長!」
「え~?それ仲間にしようよ!」
「…確かにシードの案も良いかも。話してみよっか、出来る?シード」
「勿論!」
と言う事で門兵の前に移動。そしたら案の定武器は向けられたが何かをしてくることは無い。
ただ睨んでこちらを見つめている。値踏みしている感じなのだろう。
「俺はシード。お前達の王と話しがしたい」
「…案内する」
案外すんなり入れたのだが、案内された場所は闘技場。そしていつの間にか30人ほどに囲まれていた。
「ふむ、やはり疑うか。まぁ当たり前だよな。でも…悪いが早めに戻りたいんだ、死んでくれ」
「殺れ!」
「「オォォォ!!!」」
「風刃」
風で刃を生み出し、殺さない程度に相手を切り裂いていく。そうそう、この技は剣に風属性を纏わせるバージョンもあるよ。
剣技の風刃と魔法の風刃があるというわけだ。まぁ剣技も魔法も量が多いから名前が被るのは仕方ないね。それに…これ以外名前思いつかないし。
「お前達!何をしている!!!」
「ん?おぉ、漸く骨のある奴のお出まし…いや、えぇ…?」
先ず出てきたのはハイオーガ。簡単に言えばオーガの強化版。普通に面倒な相手だろう。
そしてその後ろに居るのはオーガジェネラル、まぁオーガ将軍だな。このレベルになると苦戦するかもしれん。
その後ろで訝しげな表情をしてるのがオーガキング。オーガの王様だ。そうそう見れないし、見かけても大体大勢のオーガを連れてるから死ぬ。
まぁ…一番ヤバいのはオーガロード。至高のオーガにして、スタンピードの元凶になる事が為るほどにヤバい存在。
「其方がシードだな。…我と戦わぬか?要件は分かっている」
「では俺が勝てば軍門に下ると」
「我々は力ある者に従うからな」
「…フッ、では俺が負けたときは如何する」
「其方が連れてきた女を我々に提供せよ」
「あぁ分かった。早く来い」
「良かろう。…参る!」
大木かと思うような大剣を取り出し、闘技場の中心に飛んで来た。驚くべきことに10m近くあり、凄まじい威圧感。
ただ不思議と怖くなかった。と言うより…怒りの方が上回ってて今にも血管が切れそう。
「天地は混ざりて終焉と為す。…終極!」
「ハハッ…面白い、どうなってんだそれ」
一瞬にして黒い雲が当たりに立ち込め、闘技場は僅か一秒にして完全に崩壊。更に地面は割れ、雨が降り始め、雷が落ち、地面からはマグマが!
自然を操るだけか?にしては不可解過ぎるな。闘技場が崩壊したのには理由がある筈だ。
「そうか、スキル発動から発生まで時間が掛かるのか。詠唱と同じだな?」
「如何にも。この一太刀、受けて生き延びれば其方の勝利だ」
「ハハハッ!良いだろう、受けて立つ!」
刹那、大剣はマグマを纏い、更に雷を纏わせた。それに凄まじい魔力が込められ、流石の俺も後退り。
だが…左手で頬を思いっきり叩き、一歩前に踏み出して構えをとる。それから全身に魔力を流し、息を吐いた。
「食らえ…終極!」
「天月!」
基本の技にして至高の技。レイちゃんはよくそう言っている。基本だけど極めれば奥義よりも強い、と。
未だに完成していないからこそ基本でもあるらしい。基本の技は何が足りないか直ぐ見つけられる。理由はよく使うから。
盤石な大地も何時か崩れる。でも…その大地を毎日よく見て、しっかりと必要な事を補って言ったらどうなる?
そう、強い魔法を受けようが、邪神の攻撃を喰らおうが、レイちゃんに斬られようが傷一つ付かなくなる。
だから奥義よりも強くなる、そう言っていた。確かに奥義も凄い、でも…基本も侮るべからず。
「ぬぅ…!?」
一回目の斬撃は敢えて飛ばして奴の剣に当てたが、全く効いていない。しかし…二撃目はちゃんと剣に剣を当てた!
だが…一気に物凄い重圧が襲い掛かって足が悲鳴を上げ始める!でも勝利は確実だ。今回はね…。
「其方の……勝利か」
もうダメだ、その瞬間に奴の大剣に罅が入り、その状態では魔力に耐えきれず一気に崩壊!
「…冷静だな、シード。それが魔王の風格か」
「俺は強き者が上に立ち、弱き者の為に稽古をつける昔の時代が好き。そしてデミウルゴス、レイ、テンペストという敬意を払うべき魔王は皆どのような状況においても冷静」
「……懐かしい方々の名前だ。デミウルゴス様は嘗て私がお仕えしていたのだ。私はラスハントという男の部下でな」
「へぇ…」
「知らぬかもしれぬが、ラスハントはデュラハンなのだ。気さくな男だが信じた主には絶対の忠誠を誓う。…仲間にして損は無いだろう」
「もう居るさ、家にな」
『ラスハント、来てくれるか?』
『うむ』
近くに落雷があったかと思えば、そこからラスハントが姿を見せる。序でにレイちゃんとパラちゃんも。
「ら、ラスハント様…!?」
「おぉ、ムヴォンか!久しいな!」
「お久しぶりで御座います!!」
「うんうん、感動だねぇ~!」
「レイちゃん!パラちゃん!」
「お疲れ様!あそこで天月を選んだ理由、聞いて良いかな?」
「基本は奥義を超える!」
「…うん!オッケ~!これで今日の修行は終わりにしておこう!それじゃ帰るよ!」
「「ん!」」
「…ラスハント様、再びお仕えしても?」
「無論だ」
「お前達!我々はシード殿に従うぞ!」
「「おぉ!」」
「序でに我々はフロル派なのだが、お前はシード派につくか?」
「よく分かりませぬが…フロル派で」
「うむ、承知した」




