第五十二話 ご機嫌
中華街を四人で歩き、品定めをしつつ何処を歩いて来たのかわからなくなったボク達
お昼が近いせいか、ボクのお腹も警告アラートが鳴り止まずにいた
それを見て紗良が話しかけてくる
「千秋?なんか目が据わってるね?そろそろお腹が限界かね?ねぇ智秋、どこでもいいからご飯屋さん入ろ?」
それを聞いた智秋がボクを見て小さくため息をつくと紗良に困り顔で話しだす
「わかってる!うわっ・・これは機嫌悪くなるぞ・・?姉ちゃん腹減って目が据わると腹立つくらい機嫌悪いからさ・・リキも姉ちゃんの扱いは気を付けたほうがいいぞ?」
そう言って来た道を智秋を先頭に引き返すボク達
無言になったボクにリキが確かめるように話してくる
「千秋さん・・?怒ってる?」
それを聞いてなぜだか無性に腹が立ってきて言い返してやるボク
「別に・・」
無言で更に中華街を歩くボク達、隙きを狙ってまたリキがボクに話してくる
「千秋さん・・?お腹減ったよね?」
当たり前の事を聞かれてまた腹が立って言い返してやるボク
「見ればわかるじゃん・・」
道行く観光客をぬって中華料理屋さんが建ち並ぶ道沿いに出たボク達、さり気なくボクの隣を歩いてくるリキがまたボクに話しかけてくる
「千秋さん・・?もしかして・・機嫌悪い・・?」
気持ちを察しないリキの一言にまた腹が立つボク、無表情でリキに言ってやった
「悪くない・・いちいち聞かないで・・疲れるから・・」
ボクの言葉にポリポリと頭を掻いて遠くを見つめだすリキ、その反応にまた腹が立って今度は智秋に噛みつくボク
「ねぇ・・ご飯・・ボクお肉食べたい・・どこでもいいから列ぼうよ・・」
それを聞いた智秋が焦りながら一番近くにあった中華料理屋さんに列ぶ、他の店に比べて人がいなく、すぐに店内に入れそうだ
だが、紗良が外にあったメニュー表を見て驚愕の表情を見せると何やらボク抜きで会議を始め話しだす
「人いねぇと思ったらそう言う事か・・紗良どうする?」
眉間にシワを寄せて話す智秋、真剣な顔の紗良が言う
「背に腹は代えられないよ、千秋ってあんなに機嫌悪くなるの?一緒に今までいたけど初めて見るんですけど?ねぇ?リキ君?」
同意を求める紗良に、しょぼくれたリキが話す
「冷たい対応・・千秋さんが・・疲れるからって・・悲しすぎる・・」
半泣きなリキ、それを見て腫れ物に触るような表情で紗良が言う
「そんなことで泣かないの!あ〜もう!千秋!機嫌悪いからって無下に接しないでくれる!?面倒くさい!」
そう言って紗良がボクに視線を移すと満面の笑みのボク、ニコニコしてリキに棒読みで言ってやった
「キゲンワルクナイヨ、ムゲニシテナイシ、ホラエガオネ」
ハリボテの笑顔から3秒で無表情に戻ってお腹をさすってやるボク
それを見てる三人はため息を吐いて何やら言っている
「プロモデルも最高にお腹が減ると別人になるのね・・これからは仕事前に餌付けしとかないと・・」
呆れ顔の紗良がそう言うとショボショボリキも話す
「千秋さんの・・裏の顔を・・見た気がする・・でも・・そこがたまらん・・いいかも・・」
怪しい癖を覗かせて裏の顔を見せたリキ
引き気味の智秋と紗良が合わせて言った
「あれが・・いいの・・?」
そんなやり取りの中、順番が回ってきて名前を呼ばれると、ボク達はようやくお昼にありつけると三人はそれぞれ胸を撫で下ろすのであった
満腹になったボクはみんなと店を出てニコニコと話しだす
「高かったけど美味しかったね〜!チンジャオロースとスペアリブ絶品だったなぁ、コース料理って色々出てきて気に入ったよ!また来たいなぁ!」
それを聞いた紗良が呆れ顔でボクに言う
「あんたが機嫌悪いからここしか入れなかったのよ!高校生が修学旅行で食べる金額じゃないよね!?確かに美味しかったけどさ!」
それを聞いてボクはサイドテールの髪をサラッとなびかせてニヤッとほくそ笑むと三人に言ってやった
「たまにはいいじゃん?いつもみんなにはお世話になってるし、ボクが支払ったんだし!還元還元!」
よくわからんが迷惑を掛けてたようだからな・・
それと股間神の件もある・・
ここで徳を積んでおかなければこのボクは・・
鬼神と股間神の挟み撃ちで近いうちに祟られるかもだからな・・
お祓い料金だと思えば・・!
しかし・・うまし棒6000本分の出費は痛かったぜ・・
モデル業・・様々だな・・
脳内で祟り回避のお賽銭を寄進したところで紗良のスマホが鳴り出した
着信を確認すると急に仕事モードな真面目顔になった紗良が電話にでる
「はい、三水です・・えっ?はい!それはなぜ・・いえ、明日までです、はい、わかりました、先鋒には後日とお伝え下さい、ご苦労さまです」
ふぅ、と一息つく紗良、祟りが降りかかりませんようにとお店に向かって拝むボクに話し掛けてきた
「千秋・・?私の知らないところでなんかした・・?」
怒りか祟りか、顔を伏せてフルフルと佇む紗良、ボクは振り返ると恐る恐る返答する
「いや・・ボクなにもしてないよ・・?誰から電話・・?もしかしてアホ・・じゃなくてボスの若槻さん?」
ピクッと眉間が動いた紗良、ゆっくりと顔を上げると何故かキラキラした瞳でボクを見つめて話しだす
「そう!若槻さん!凄いよ!ビックニュース!綱島園ってお茶の大手メーカー知ってるよね?理由はわからないけどそこの会長が新製品の売出しに千秋を使いたいって若槻さんのところに直談判に来たみたいなの!」
興奮してフルフルが止まない紗良、男子二人も何やらビックリして目が真ん丸だ
そんなに凄い事か?メーカーなど、うまし棒とファッションブランド位しか覚えてないボクにはイマイチピンとこない
額に指を当て考え込むボク、そのまま四人でお土産屋さんを廻りお土産を選びながら綱島園のお茶を発見し、驚愕するボクであった




