第三十五話 帰り際の挙動不審男
ジェラート屋さんのソバみそジェラート・・食べてみたら意外と美味くておかわりしちゃったな〜
その後寄った和風雑貨屋さんのお香もいい匂いで衝動買いしちやったし
観光名所のお寺も激混みだったけどボクの全員呼び捨ての野望をお願い出来て満足できたな
遅くなっちゃって腹ペコで入ったお蕎麦屋さんもまさかの人気店で美味しかったし
締めのカラオケも散々歌い散らしてやったからストレス解消できたな
流石にハードなプライベートだったぜ・・なかなかに疲れたが良しとするか・・
満足な表情のボクはそろそろ結月を駅に送るべく昼間に歩いた道を駅へと歩く
そんなボクを見て結月が話しかけてくる
「今日は結月に付き合ってくれてちーちゃんありがとうございます!買ったり食べたりすんごく楽しかったです!」
ニパッと笑顔をボクに向ける結月、今日1日表情を見てたからなんだが可愛く妹のように思えてくるボク
人間の慣れとは怖いものだな・・
始めはアバズレとか思ってたのに・・
ちゃんと会話できるし、懐っこくて面倒見がいがある気がするし・・
このボクをここまで手懐けてくるとは・・
女子友も悪くはないな・・
そんなことを脳内で思いつつ歩いていると結月がまたボクに話してくる
「それにしてもちーちゃん歌も上手いんですね!気持ちがのりすぎててバラードの曲で結月感動して泣いちゃいましたよ!結月も歌は自信あったのになぁ!
ちーちゃんはモデルもずば抜けて技術もあるし、綺麗だし、スタイルも良くて性格もいいし、オマケに歌までプロ並みの歌い方だし・・才能って集まるところに集まるんだなって・・結月なんだが凄い人とお友達になっちゃいましたね!」
ボクをアゲアゲにあげてくる結月、前半はボクにはわからないけど、歌だけは一人カラオケで特訓もしたし、カラオケ屋さんのランキングも一位は全てボクが独占してやった実績もある、証拠にさっき出てきたカラオケ屋さんのランキングも当時のボクが一位を独占した状態のまま変わってない
結月が言う凄い人とはかけ離れているぞ?
見た目はともかく、歌は好きだったのもあるが、一重にボクの努力の賜物・・
結月のボクに対する過大評価を解くべく、ボクは頬に指を添えながら結月に話しだす
「ゆず?ボクのは才能じゃないと思うよ?見た目は自分じゃよくわからないし、モデルもたまたま近くにやってた人がいたから人より技術つくのは当たり前だとボクは思うよ?それに歌もかなり練習したし・・
才能というより努力ってやつだよ
結月が思ってるほどボク凄くないし普通の人だよ?」
それを聞いた結月は少し驚いた顔をしたが隠すようにニパッとボクに笑い掛けて話しだす
「ちーちゃんから努力って言葉を聞くとは思いませんでした!才能の塊だと思ってたし!でも努力出来るのも才能ですよ?ちーちゃんは努力の才能がずば抜けてるんですね!結月も見習います!」
ニパッと笑顔でボクの努力を認めてくれる結月、この一言でボクの結月に対する好感度はうなぎのぼりだ、ボクも自然と笑顔になってしまっている
そんなボクを見て結月が喋りだす
「そういえば喉乾きません?カラオケもヒートアップしたし少し潤いましょう!結月そこで飲み物買ってきてあげるのでちーちゃんは少し待っててください!」
そう言ってボクを置いて少し離れたところに見えるコンビニへと入っていってしまった結月
なんて気の利く娘だ・・
ボクの人を見る目もまんざらではなかったな!
結月にも光るものがあると思ってはいたがこれほどまでとは・・
人を見る選球眼がちょっとズレてる自分を棚に上げてほくそ笑んでやるボク
結月を待ってる間にコンビニ近くの木のベンチに腰掛け、今後のために人間観察を始めるボク
おっ?あそこのカップルは別れ話か?
女子が泣いてるではないか・・
悪い男よのぅ
ボクとリキを見習いたまえ!
女子の敵だな・・地獄落ちるがいい!
ん?あそこの男子は挙動不審だ・・
これは犯罪の臭いがするぞ?
段々こっちに寄ってきてるな・・
さて・・誰がカモになるか・・
ボクがマジマジと挙動不審男を人間観察していると、その男がボクの前に立ち塞がる
あれ・・?ターゲットはボク・・?
ビックリして挙動不審男に目をやるとすかした顔をしてボクに話しかけてきた
「彼女!目があったね!もしかして暇してる?よかったら一緒にご飯でもどう?」
明らかにご飯じゃないオーラ全開の挙動不審男、ボクは呆れ顔を見せてやって今まで培った女子力を発揮してやる
「生憎ご飯は食べたんだよね、別にキミを見てたわけじゃないから、お呼びじゃないよ?ママんとこ帰りなよ」
女子になってから異様に絡まれることが増えたから紗良とクラスの女子に男子撃退法を伝授してもらっているボク
今も落ち着き払ってサラッと言ってやって、そんな自分がカッコよく見え、ニヤッと挙動不審男にほくそ笑んでやるボク
そんなボクのほくそ笑みに少したじろいだ挙動不審男だったがニヤッと不敵な笑みをボクに向けて話してきた
「いいのかな〜?そんな顔見せて?ますます連れて行きたくなっちゃうな!俺一人だと思ってる?友達もいるんだよね〜!」
そう言うと、どこから出てきたのか、挙動不審男の友達らしい男女がボクの前を塞いできた
流石に3対1は分が悪すぎる・・一人は女子で非戦闘員だとしても相手は男子二人・・力では絶対に勝ち目がない
この状況・・ヤバい・・
ボクは焦る気持ちを抑えながら戦況をひっくり返す秘策を練ることにした




