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初心者女子  作者: nim
モデル女子編
29/61

第ニ十九話  千秋は家庭的

リキの家にお邪魔して5時間、お祝いを兼ねた昼食も終わり皆で楽しく談笑している、ボクもようやく雰囲気に馴れてきて話の輪に入っていた


「まさかリキの初恋の人がakiさんなんてね〜我が弟ながらよくやったわ!千秋さん!頼りないかもですけど弟を頼みますね!」


苦笑いしながらボクは最後のケーキの欠片を頬張りお姉さんの理華(りか)さんに言う


「いえ・・とても頼りがいがあってボクも助けられてます・・頼みますなんて・・」


と言いかけたところで理華さんがスマホを取り出してボクにお願いしてきた


「それと・・お願いがあります!私とツーショットで写真に写ってくれませんか?会社で自慢したいから!」


くっ・・なぜこうもみんな写真好きなのか・・

まぁしょうがない・・リキのお姉さんの頼みだからな・・

写真くらいボクは何でもないんだ・・


そう思ってボクは一緒に写真に写ってやった


立ったついでに、リキのプレゼントを思い出し、リキに声を掛けることにしたボク


「リキ君?ちょっと遅くなったけどプレゼントあるんだ、受け取ってくれる?」


ボクの声に頬を赤らめて近づくリキ、それをみんながニヤニヤで傍観している


「はい、これリキ君に似合うと思って、リキ君お財布クタクタだったでしょ?だから・・」


廻りを気にしてなかったボクだが、いざプレゼントを渡すときになって初めてみんなの前で結構凄いことしてるなと思ってしまう

無意識に顔が熱くなりうつ向くボク

スッとリキはプレゼントを受け取ってくれるとボクに話し出す


「千秋さんありがとう!めちゃくちゃ嬉しいよ!開けていい?」


その言葉にボクは頷いてやる


「うわ!?マジかよ!?これブランドのメイム・スミスじゃん!?オレすげー欲しかったやつだよ!千秋さんオレの欲しい物ドンピシャってやっぱ愛を感じるわ!」


ちょっと高かったけど世話になってるし、イベントもリキがいてこその成功

出演料もアホ若槻が満面の笑みで、始め言ってた3倍以上なぜか貰ったし高校生にしちゃ持ち過ぎなくらい手元にお金あったからな、これくらいはしてやらんと・・


そんな考えを脳内でしていると、まわりで何やら騒ぎ出す


「やっぱりモデルさんはプレゼントもセンスがいいよね!しかも聞かなくても欲しい物がわかっちゃう千秋さんが凄い!」


理華さんがそう言うと便乗して智秋も冷やかしを言ってくる


「よっ!未来のスーパーモデル!弟として鼻が高いぞ!」


ついでに紗良も便乗してきた


「トップモデルのギャラには驚かされるわ・・ポンッてお金出てきちゃうんだも の、店員さんもビックリしてたよね」


モデルモデルうるさいぞ・・

モデルと言ってもスーパーは言いすぎだ・・

せめて隅っこの端の端くらいで留めとけ!


そんなことを思っていると理華さんがスッと立ち上がり片付けを始めだした

それを見てボクは空いた皿を持って理華さんとシンクに食器を運ぶ


「いいよ?!千秋さん!モデルさんなのに怪我でもさせたら仕事に差し支え出ちゃいますよ?」


と言う理華さんだが、ボクはドンドン空いた皿を運んで理華さんが来る前にシンク前を陣どってやった


カチャカチャと丁寧にお皿を洗っていくボク


見るがいい・・!ボクは引き籠もりなんかじゃないぞ?お母さんがつきまとって逃げてるうちに編み出した食器洗い世間話の術・・

これをやってる間は無心になってお母さんと世間話が出来て話をズラすことが出来るのだ!


ボクは無心でお皿を洗っていく・・1枚1枚丁寧に・・


1枚・・2枚・・3枚・・・・

フォークが・・足りない・・・

クククッ・・ボクの洗うフォークが・・・


怪しくニヤッとほくそ笑むボクに残りの食器を持ってきた理華さんが話しかけてきた


「それそれ!その微笑み!やっぱりホンモノの微笑みは威力が違うね!この微笑みが我が家に来るかもしれない・・ふふふっ・・!」


怪しい微笑みを浮かべる理華さん

その言葉に脳内で久方ぶりに千秋ママが孫を連れて長野家に遊びにきたところで理華さんがボソッ話しだす


「千秋さん家庭的なんだね、率先して片付けして洗い物して、やっぱりモデルをこなす人は考え方から凡人とは違うね!」


ニコニコの理華さん、編み出した術が家庭的と言われて首を傾げてしまうボク

よくわからないからボクは話を反らして洗い物をしながら理華さんに話す


「そういえば、理華さんってお仕事何されてるんですか?お綺麗だしモデルさんだったりして・・」


ボクがそう言うとクスッと笑ってボクに言う


「私なんかモデル出来るような要素どこにもないよ!私、出版社で働いてるの、あの雑誌もうちで出してる書籍なんだ、だから千秋さんがリキの誕生日来てくれるって知ったときはもうドキドキで!」


その話を聞いてボクも納得する


それであの出迎えか・・ちょっと怖かったぞ・・危うく涙目になるところだったな


そんなことを考えていたら理華さんが一言ボクに言った


「やっぱり家庭的な娘は未来の義理姉の情報もさり気なく聞くのね!結婚式決まったら直ぐ報告してよ!」


夢見がち理華お姉さんに付き合いながらボクはその後も懇々(こんこん)と話に付き合わされるのであった





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