愛するものと一緒にて他(人)のことを考える(時)5
とりあえず、胎児の体を通してどの程度の力が使えるか、試してみるか。
それには、この女の力も利用させてもらおう。
「おかあさま、おかあさまがつかえるまほうをおしえて」
「はぁー、なんで?」
こいつ、生まれたら絶対、殴ってやる。
「まぁいいわ。わたしが得意なのは洗脳系魔法と回復魔法よ」
洗脳系か、精神武器の一種かな?
「試しに得意なのやってみて」
「得意なのね、いいわ。じゃ、<神より賜れし至上の贈物>」
視覚野に操作パネルが浮かび上がる。そこに使える魔法の名前が書かれている。
「規則正しい行動」
王妃が呟いた。
すると、扉が開き衛兵が入ってきた。
「ご命令を」
と、衛兵が傅いた。
「これがわたしの魔法よ」
他にも動物や無生物に対しても有効な魔法もあるという。もっとも、持続時間や、体力の関係で一回に大人数を洗脳するのは無理だという。
「これをつかえばおしろをぬけだせる?」
「無理ね、途中でわたしの魔力が尽きるわ」
そうか。僕は彼女が魔法を使った際の「力」の動きを分析してみた。
<ディアドラ>という符丁は外部に送られているようだ。
だとすると、やはり、僕の前世にあたるあのクソみたいな世界のネットワークが生きているのか?
試しに、「神より賜れし至上の贈り物」と言う符丁に霊子を含ませて言ってみた。
沈黙、・・・・。
だめか、と落胆しかけていた時だ。
<登録の資格を確認致しました。新規登録をいたしますか?>
おー、そうか。そういえば、レイが言ってたな。
「君が<たまご>を食べる。君の中で孵った<虚空>が君を喰い尽くすまで、煉獄の苦痛が君を焼き尽くす。その上、喰い尽くされた君は、この世界から完全に忘れ去られる」
前世では僕の存在はなかったことなっているから、最初からネットワークに登録するところから始めるのか。
僕は「登録する」と返事をすると、ネットワークは僕をシステムへと収納するために僕を精査し始めた。
<登録名 グレイバード 種別 特級戦士 レベル 999>
前世と同じ内容だ。
まぁ、登録は出来たけど、今の霊子量をどうにかしないといけない。