未来に向かって、take off!
一日一話目指します!
まだ、理解することが出来ない。俺は人間だったはずだ。いや、人間だ!何故なら、人間の感覚がまだある!
「ブルルルルン!ブルルルルルルルン!ブルルルル・・・・・・ブルルルルルルルン!」
そう思いながら、もう一度彼は手足を動かそうとした。しかし、動いたのは、本来体の一部ではないタイヤと、彼の下に積み上げられた鉄くずだけだった。
では、俺が喋ろうとすると、どうなるんだろうか。彼は、試しに、他の体の部位を動かしてみることにした。
意識的にやろうとすると、なかなか喋れないから、一発でいこう。
「クソッタレ!」
「・・・・・・」
きちんと言ったつもりだったが、なにも聞こえない。
「アヴァボアビアッツーチバイヤサセコッマンダー・・・・」
やはり、何度やっても駄目だった。なにも聞こえない。口パクをしているような感じだった。
喋るという行為は、手や足を動かしてタイヤが回るのとは違い、反映されないのかもしれない。
どうしてこうなった?なぜ、一体、なにが起こっているんだ?俺は生きている。しかも、人間の感覚もある。なのに、何故車になっているんだ?
過去の記憶を思い起こそうとするが、やはり何も出てこない。ただ、認識できるのは自分が人間だったということ。そして、今も人間であるということ。しかし、何かが起こって人間の感覚を残したままマリカーになってしまったということ。ただ、それのみだった。
すでに、夕焼けの空は一面闇に包まれ、銀紙のような星が、彼の行く末を照らすように粛々と輝いていた。
彼はしばらく、呆然と鉄くずの山を眺めていた。一度、どこにあるのかもわからない脳みそを空っぽにするために。
そしてふと、彼は視界の隅に鉄くずが少し崩れるのを捉えた。
人?・・・・そうか、人だ!他の人に自分の姿を見てもらえば、自分が本当に人かどうかを見てもらえる!
そう思った彼は、前に進もうと手と足に力を加えた。すると、彼のタイヤは鉄くずを巻き込みながら凄まじく回り、山を駆け上って勢いよくジャンプした。
開かれた、鉄くず以外の景色。・・・のはずが、そこには永遠と鉄くずの海が広がっていた。
驚いたのもつかの間、ライトが下を向いた瞬間、凛々しい顔をした女の子と目が合った。
三人称で書いていたつもりが、なんか所々一人称になってしまっている。けっこう文章が厳しい状態になってきているような気がする。




