解体する行為と見る男※<FA:萩尾滋さんから>
※不快な描写があります。ご注意ください。
私は無精髭を生やした中年の男性で殺人鬼だった。
日々無意味に人を殺しては、遺体を素手で解体している。
寝転んだ遺体の頭側に腰を下ろし肩に両足を掛け、上顎を掴んで無理やり引き剥がす。
大汗をかきながら、食い込む歯に苛立ちながら強引に力づくで。
指についた血は自身の傷によるものか腐りかけた遺体から流れたものかわからない。
血はあふれるたび黒い地面にすうっと吸い込まれた。
肉の繊維がイトミミズのようにひらひらする。
粘り気。
菌糸かもしれない。
見えないくらい細かな線がふわりと浮いて空気中を漂う。
いくつも、天へ向かって。
靴底によく肥えた黒い土が付き、クヌギの葉が音を立ててバリバリ割れた。
解体の音と同じように。
白いシャツをきた小太りの男がそばで立っている。
知らない男だ。
興味のままに工事現場を眺める小学生のように、ただ私の行為をじっと見つめている。
翌朝オープンカフェで朝食をとっている男を見つけた。
同じ白いシャツをきている。
カフェに入り相席した。
小太りの男はちらりと一瞥しサンドイッチを頬張り続ける。
白い丸テーブルにみっともないほどパンくずが散らばっている。
私は同じものを頼み小太りの男の前で頬張る。
男は平然としている。
私も平然とした顔で食事をつづけた。




