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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第六十六話 警備強化

 昨日、結局中級ガチャが回されることはなかった。

 やはり金貨一枚が高いのであろう。

 だが昨日は格闘場がDランク以下の初級者向けだったからな。

 今日はCランク以上の中級冒険者が多く来るだろうから期待が持てる。

 金箱の商品が口コミで多少なりとも拡散されているに違いないし。


 面倒なのはあのプリン王女か。

 なんせ彼女はこの世界で一番大きな国の王女様だからな。

 実力行使に出てくるとは思いたくはないが。


「ミア、一階の寿司屋に何匹かモンスターを配置したいんだが」

「夜の営業中にってことですか?」

「あぁ。念のためな」

「なるほど。でもこれ以上となると……」

「足りないか?」

「はい。牧畜もありますし」


 地下一階の配膳係に地下二階のリリアンヌのお供。

 さらに家畜のお世話ともなるとさすがに数が足りないか。


 となると増やしてもらうしかないよな。

 スライム使いのミアだからスライムがいいか。

 二つ名に恥じない腕を見せてもらおうか。


「夜までに仲間にできるか?」

「え……相手のレベルにもよると思いますが」

「極スライムシリーズでいってみよう」

「いやいや! 無理ですよ!」

「ケガしないようにレファに見ててもらうからさ」

「それなら……でもあの子たち強いですよ?」

「強いほうがいい。それに生成したては仲間にしやすいかもしれないし」

「それは試したことありませんね。わかりました」

「殲滅のジャスミンと戦鬼のドーラといっしょでもいいぞ」

「本当ですか!? それなら大丈夫そうです! ……なんでその名を?」

「急ぎだから早めに頼む。スライム使いのミアさん」

「恥ずかしいからやめてください!」


 ミアは純粋だからからかうのが面白いな。


 レファに頼んで極スライム九種類を用意してもらおう。

 仲間になりそうになかったらそのまま卵行きでいいしな。

 メタスラーは素早さ特化にしたほうがいいな。

 ……ポイズンスライムはやめておこうか。


 そういや極シリーズが今日から各地で出現してるんだよな。

 ボスたちや冒険者たちの評判はどうなんだろう?

 気に入ってもらえてるだろうか。

 何匹かは倒されてくれないとおいしさが伝わらないからな。

 ……わざと格闘場に出してみるか。


 色々考え事をしながら地下二階リビングに行く。

 そこではレファとマドラーナが話をしていた。


「あれ? 今日は早いな」

「ヤマト様……。お疲れ様です」

「なにかあったのか?」


 いつもならマドラーナは外にいる時間だ。


「勇者が強くなってるみたい」

「えっ!? そういや最近勇者の話聞かなかったな……」

「どうやら仲間ができたっぽいね」

「へぇ~」


 そりゃ勇者といったら四人くらいのパーティを組むものだろう。


「で、どうしたんだよそんな深刻そうな顔して?」

「中級ボスが次々倒されてるんです」

「中級? 初級じゃなくて?」

「はい」


 そんな飛び級みたいなことができるのか?

 こないだ強くなるにはまだ何年もかかるみたいなこと言ってなかったか?

 いきなり強くなったとしたら……


「仲間が強いのか?」

「そうなんです。上級者二人が仲間になったようで」

「なるほど」


 ズルくないか?

 でもそれじゃ面白くないだろう。

 ストーリーを楽しみたくないのかな。


「上級ボスじゃなくてなぜ中級ボスを?」

「おそらくですが、勇者に経験を積ませているのだと」


 レベル上げか。

 さすがにいきなり上級レベルには挑まないんだな。

 死んだら復活できたりしないからな。


「モンスターたちは本気なんだよな?」

「もちろんです。殺しにいってます」

「それでも倒されてるのか」

「上級者二人が強いですからね」

「有名なやつらなのか?」

「それなりにはって感じですね」

「クレアばあさんならそのパーティのランクをどうすると思う?」

「Aランクでしょうね。勇者の成長次第ではSランクも考えられます」


 ほう。

 今はまだ勇者が足を引っ張ってるって感じかな。


「あっ、邪魔して悪かったな。レファに少し用事があったんだが……」


 仲間モンスターのことを言い出せる空気じゃないよな。

 レファたちにとっては一大事だろう。

 倒された中級ボスの穴埋めの生成も忙しくなるだろう。

 近いうちに上級ボスと戦うようにもなるだろうし。


「なに用事って?」

「いや、やっぱりいいや」

「気になるから言って」

「……一階とかの警備強化のために仲間モンスターを増やしたいなと」


 レファの顔色を窺いながらおそるおそる言った。


「わかった。なにがいい?」

「えっ!? いいのか!?」

「家になにかあると嫌だし」

「そうだよな! 極スライム一種類ずつ欲しいんだ」

「すぐ作るからあっち行こう」

「あっ、ポイズンはいいからな」


 レファに連れられて二人で作業部屋に入る。

 この部屋に入るのは部屋を作ったとき以来だな。

 極シリーズのための装備品もいっぱい置かれているようだ。


「武器とか防具選んで」

「了解。メタスラーは素早さ特化にしたいんだけど」

「ならこれとこれ」

「ミスリルのブーツと杖?」

「その杖は素早さ上昇の魔法がかけられるの」

「なるほど」


 組み合わせは無限にできそうだな。


「モンスター同士は配合できないのか?」

「それはできない」

「なんで?」

「自我がぶつかって魂ごと消滅する」


 やったことあったのか。

 装備品には自我なんてないもんな。


「じゃあやるよ? 他は装備品ランダムでいい?」

「ん? あぁ、それでいい」


 レファは俺がいるのも気にせずにモンスターを生成しだした。

 ……魔法を唱えているようだな。

 いや、ちょっと待て。

 俺はここにいて大丈夫なのか?

 それに俺が仲間にするわけじゃなくてミアが……


「はい。極メタスラー」

「あ……うん」


 はいどうぞ、みたいに差し出されても……。

 両手で抱えられるサイズなのが可愛いけれども。


「色はどうなんだ?」

「う~ん、変わりそうで変わってない」


 なんだ、全部のモンスターの色が変わるわけでもないのか。


「時間がかかったりするとか?」

「どうだろ。ジェルとサクラのときはパッと変わってたんだけどね」


 まぁモンスターにだって好き嫌いはあるだろうからな。


「俺が触っても襲ってきたりしない?」

「たぶん大丈夫だと思うけど……」

「じゃあ少し貸してくれ。ミアに会わせてみる」


 レファから極メタスラーを受け取る。

 ペットみたいだな……。

 そして作業部屋を出た。


「あっ! ヤマトさん! 準備できました!」

「ふふ、久々に腕がなりますね」

「楽しみで仕方ないぜ! って旦那それ!?」

「ミア、どうだ? 仲間にできるか?」

「え……」


 三人は固まってしまった。

 まさかここで対面することになるとは思ってなかっただろうからな。

 だがミアだけはすぐに気を持ち直した。


「……揺れてますね。大丈夫だよ。誰も襲ったりしないからね」


 ミアは俺の腕の中の極メタスラーに目を合わせて話しかけている。

 なんて優しい顔なんだ。

 こんな表情もできたんだな。


「ほんとですか? こわくないですか?」

「!?」

「うん。ここにいるみんなは仲間だよ」


 ボスでもないのに喋ってるぞ!?

 これが知性が身につくってやつか?


「私も仲間なんですか?」

「もちろん。でも仲間を守るために戦わないといけないときもあるよ?」

「はい。みんなといっしょなら大丈夫です」

「ありがとう。他にも仲間はいっぱいいるからね」


 極メタスラーはミアの胸に飛び込んだ。

 ……なぜかフラれた感じがする。


「あの……私たち必要でした?」

「戦うんじゃなかったのかよ……」


 残念がる二人をよそめにミアは極メタスラーを可愛がり続けている。

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