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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第三十七話 ガチャ屋リニューアル

「おお!? 中が変わってる!」

「ガチャも二つになったっぽいな!」

「あれが広告に書いてた交換所ね!」

「それより新商品の情報はどこに書いてある!?」


 酒場に貼る広告を新しくしてみた。

 目玉は新商品と交換所だ。

 背景色はピンクから黒に変更して闇っぽくな。

 でもこのガチャ屋は決して闇ではないからな。


 久しぶりに広告が貼られている壁を見たら前とはずいぶん様変わりしていた。

 どれも凄くカラフルで大きさも様々。

 大きい広告ほど金がかかる仕様に変更されてたし。

 なので今回は銀貨三十枚も払うことになってしまった……。


 だが今回も早速広告効果があったようだ。


「いらっしゃいませ」

「お姉さん! 新しい商品はなんだ!?」

「そちらの掲示板をご確認ください」


 冒険者たちは掲示板前に集まる。


「鋼装備実装か!」

「しかも武器と防具でガチャが分かれたらしいぜ!?」

「新しい杖も入ってるじゃない! 魔力が大幅に上がりそうだわ!」

「交換所の情報は……銀箱以下の物しか交換できないのか」

「それは確かに残念だが、商売としては仕方ないだろ」

「そうよ! 私たちの中で勝手に交換すればいいだけだし!」

「いらない商品は二割で買い取ってくれるらしいぞ!」

「確か武器屋とかだと新品同様でも一割だったよな?」

「一度でも所持してると難癖つけてくるからね。それに比べたら良心的じゃない!」

「そうだな。完全な初級者からしたら交換所のシステム自体は嬉しいしな」

「グローブとかブーツなら予備で皮装備を持っててもいいわね!」


 うん、ほとんど自分たちで理解してくれたようだな。

 でも隅々までよく読んでくれ。

 小さな文字もな。


「なぁ、ここに確率が書いてあるぜ……」

「えっ!? ガチャの確率ってことか!?」

「……見てみろ」


 そうだ、確率表記をしてみたんだ。

 そんな決まりはないんだけどな。


「えっと、銅箱が七十%で銀箱が二十二%」

「……金箱七%で虹箱が一%」

「一%!?」


 だって銀貨五十枚以上の価値がある商品だぞ?

 それが銀貨一枚で当たる可能性があるんだからな。


「百連で一つ虹箱が出ればいいほうってことか……」

「百連だと銀貨百枚……つまり一つじゃ銀貨五十枚の損失ね」

「完全に闇だな……」

「闇ね……」

「闇ガチャだ……」


 ……もしかして闇って言ってる?

 ここは闇ガチャ屋じゃないぞ?

 なんで虹箱の価値しか考えないんだ?

 百連もすれば副産物が大量なのに……。

 

 誰かそこのとこを詳しく説明してやってくれないかな~。


「これ金箱に入ってる商品は先週までの虹箱の商品ですよね?」

「はい、その通りです」

「先週までの虹箱の確率をお聞きしても?」

「……三%です。私から聞いたってことオーナーには内緒でお願いしますね」

「ふむ。つまり金箱の商品が出る確率は先週から四%増えたわけですね?」

「……」

「百連したとして、金箱の商品を全部交換所で売るとしてもそれだけで銀貨二十一枚にはなる計算か」

「……」

「同様に銀箱は……銀貨二十二枚、銅箱は最低でも銀貨二十一枚相当ですよね?」

「……」

「虹箱が出なくても銀貨六十四枚相当の期待値、そこに虹が一つでも当たれば元は取れますよね?」

「……」

「仮に虹が二つ以上出たら大儲けだし、もし虹が出なくても損失は銀貨二十六枚くらいか」

「……」

「銅箱からポーションやエーテルが出まくれば虹が出なくても損はしないんじゃ?」

「……」

「正直このガチャ屋、利益はほとんど出てないのでは? というより最初から赤字前提では?」

「……」

「私は金箱の商品で欲しい物あるからプラスになる期待値のほうが高いしなぁ~」

「……どうされますか?」

「まず十連お願いします! 防具ガチャで!」

「では右側のガチャレーンにどうぞ」

「よーし、あの可愛いローブ狙うぞぉ!」


 非常にわかりやすい説明をありがとう。

 さっき闇って言ってた人たちも引く気になってくれればいいが。


 そして女性が一番乗りで十連ガチャを引く。


「あっ、金箱二つもある! えっ!? 十一個ないですか!? 」


 演出は今までと変更はない。

 女性の周りを宝箱が取り囲んだ。


「やっぱり十一個ありますよ!?」

「以前ご好評いただきましたので今日から正式に十連ガチャだけの特典で十一連になりました」

「おお!? つまり十回引けば百十連になって十連分得するわけですね!?」

「はい」

「そんなん引かなきゃ損じゃないですか! もう十連お願いします!」


 結局女性は五十連も引いてくれ、虹箱も一つ引き当てた。


「やったぁーこのブーツ欲しかったんです! 暖かいですし素早さも上がるんですよね!」

「おめでとうございます。あちらの交換所もご利用くださいね」

「はい! ありがとうございました! 今度また武器ガチャも引きに来ます!」

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


 女性は交換所に行った。

 ドーラもちゃんと対応してるようだな。


 交換や買取が終わると女性は満足気にガチャ屋を去っていった。


「おい、さっきのあの子の話を整理してみたんだけど間違いないぞ」

「そうか! 虹箱が出なくても損失がそれだけですむならやらない選択肢はないよな?」

「そうね。虹箱一つでも出れば勝ち確定なんだし」

「誰だよ闇ガチャとか言ったやつ?」

「闇じゃなくて神だよ! 神ガチャ!」

「確率や商品を変更されないうちに早く引こうぜ!」

「バカ! そういうことは大きな声で言うもんじゃない!」

「そうよ! 今のうちにこっそり回しなさい!」


 悪いが今の確率でも儲けは十分に出る計算なんだ。

 なにしろモンスターたちからは町の店での買取価格よりもさらに低価格で買い取ってるからな。


 ……寿司屋にも来たようだな。


「いらっしゃいませ! こちらにどうぞ! 松セットお願いします!」

「はいよ」


 席に着いた女性客はニコニコして俺が作る寿司を待っている。

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