第三十五話 運命の再会
「こんな姿になっちまいやがってよ! このバカ姉貴!」
「ごめんなさい……でも会えて嬉しい。もう二度と会えないと思ってたから」
感動の再会ってやつだな。
そういやドーラは家出した姉貴を探してるって言ってたな。
闇堕ちしてたなんてのは聞いてなかったが。
いや、なんとなく重そうな話だったから詳しくは聞かなかったんだった。
「でも元気そうだな!」
「えぇ。昔の私とは違うからね」
さっきの話の中に妹の話題なんて出てこなかったよな?
両親を手刀で倒した……気絶させたってのが最後の別れだったはずだ。
もしかしてドーラはサーラさんがダークドワーフになってたことを知らなかったのか?
……知らなかったらもっと驚いてるか。
で、この状況からどうしたらいいんだ?
ジャスミンとマドラーナを見るが二人とも泣いているようだ。
女性はすぐに泣くからな。
……そろそろ喋ってもいいかな?
空気を読めない男とは思われたくないぞ?
「ドーラ、お姉さんが見つかって良かったな」
「おう! 旦那のおかげだぜ! ありがとうな!」
なんで俺のおかげ?
ただの偶然だろう?
「そうです。きっとヤマトさんが私たちを結び付けてくれたんです」
いやいや、勝手に押しかけて来たのはあなたでしょ?
それにドーラとは昨日出会ったばかりだぞ?
再会が早すぎるよな……。
まぁ異世界ならなんでもありか。
「魔王城下町なんて一生行くことはなかっただろうからな!」
「私も一生あそこから外に出ることはないと思ってましたから」
他に魔族の町はないのか?
ダークエルフやダークドワーフの町もあってもよさそうだが。
「アタイ決めたぜ! これからはここで旦那のために生きるぜ!」
「それなら私もヤマトさんの言う通りにします」
うん、店のために頑張って働いてくれよ。
そういえばまだ修理の件が残ってたな。
「そういやなんでドーラはここに来てるのがサーラさんだとわかったんだ?」
「裁縫ができるドワーフなんて姉貴しか聞いたことねぇからよ!」
やはり珍しいのか。
ドーラは自分にはできないって言ってるようなもんだ。
「それにしても案外普通なんだな姉貴は」
「うん、根本的なものはなにも変わった感じはしないからね」
変わったのは見た目だけなのか?
魔力が黒くなるっていうのはどういう意味なんだろう。
というか闇堕ちっていうのは結局人間側か魔族側かの違いだけなんじゃないの?
人間の町に入れるか入れないかみたいなさ。
このサーラさんが危険だとは到底思えない。
闇堕ちさせたのも神様の恩情なんじゃないのか?
きっかけを与えるためだけのさ。
「仕事の話はまた今度にするか?」
「そうだった! でも旦那、正直アタイじゃあ姉貴には敵わねぇよ」
「ドーラと勝負ですか……」
サーラさんのほうが腕は上ってことか。
それと勝負はしないって言ったよな?
「ドーラは今後も冒険者として活動するのか?」
「う~ん。続ける理由がなくなっちまったからなぁ」
「……もしかして私を探してくれてたの?」
いや、もう感動はお腹いっぱいだから。
「なぁ、鍛冶の件だけど……姉貴といっしょにやったらダメか?」
「私も勝負するくらいならドーラといっしょがいいです」
それしかないよな。
作業を分担してやってもらおうか。
「じゃあそれでいいよ。作業はどう分担する?」
「それは姉貴に任せるよ。場所は……ここしかないよな?」
「ここでもいいがレファがいないときにしかできないぞ?」
ここはレファの作業部屋でもあるからな。
店の営業時間中や夜中はモンスターがいっぱいだ。
サーラさんは大丈夫だろうがドーラは襲われるだろう。
「日中は大丈夫ってことだろ?」
「あぁ。でも冒険者の活動ができなくなるぞ?」
「それはもういいや! 昼間はここで鍛冶をして夜は交換所の店番だ!」
納得してるならそれでいい。
「ヤマト様、私からもご相談がありまして」
マドラーナが相談?
珍しいな。
ってついさっきこの件を持ち込んできたばかりか。
「なんだ?」
「買取所のことなんですが……サーラさんにやってもらうわけにはいかないでしょうか?」
……買取所っていつもマドラーナが買取してるあのカウンターのことだよな?
買取所って名前がついてたんだ。
それをサーラさんに?
確かにそれができたら楽だな。
マドラーナの仕事も減るしな。
「いい案だが、サーラさんはやってくれるのか?」
「やります!」
俺はマドラーナに聞いたつもりだったんだが。
まぁやってくれるならいいか。
声のトーンはいつもそれくらいで頼むよ。
「じゃあお願いするよ。給料は鍛冶の件と合わせて別途相談させてくれ」
従業員になるんなら言葉遣いも普通にしよう。
「ヤマトさん、サーラさんにも地下二階に住んでもらったらどうでしょうか?」
ジャスミンがまた面倒なことを言いだした。
そういうのは周りに誰もいないときに言ってくれ。
……ほら。
サーラやドーラ、マドラーナまでも期待する目で見てくるんだから。
「……住む?」
「はい!」
「やったな姉貴!」
即答じゃないか。
そんなに魔王城下町とやらは住みにくいのか?
「城下町での仕事はいいのか?」
「あっ……。忘れてました」
「大丈夫です。レファ様に転移魔法陣を繋げてもらいますから」
「自由に使っていいんですか?」
「はい。といっても使うのはお客様のほうですが」
マドラーナは俺を見てくる。
ここで魔族たちの依頼も受けれるようにしろと言ってるんだな。
「わかったよ。考えるから少し時間くれ」
結局は拡張することになるのか。
アイリがまた文句言ってきそうだな。
ジャスミンやマドラーナのおせっかいにも困ったもんだ。
「ついでだからベルネッタの部屋も作るか?」
「いいのですか? できるならお願いしたいです」
面倒事はまとめて片付けるに限るからな。
地下二階がどんどん凄いことになっていくが気にしないことにしよう。
どうせ人生はゲームみたいなもんだ。




