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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第二十話 とある国の異変

 世界で二番目の人口を誇るガナッシュ王国。

 その国の中心、ガナッシュ城にて緊急会議が行われていた。


「つまりモンスターが異常発生していると?」

「はい! しかも数か所同時にです!」

「ふむ。でも雑魚モンスターなんだろう?」

「そうですが……数が多すぎて初級冒険者では太刀打ちできません」

「それでもスライムやゴブリン程度に勝てないようなら冒険者として失格です」


 会議室にはこの国の偉い人たちが集まっていた。

 一人だけ立って報告をしているのは中級レベルと思われる冒険者だ。

 だが偉い人たちの多くは退屈そうに聞いてるだけである。


「まぁまぁ、最後まで話を聞こうじゃないか」

「ありがとうございます……それが、少しおかしな点もありまして」

「おかしな点?」

「はい。その……誰も死んではないんです」

「どういうことだ? 初級者がやられてるんじゃなかったのか?」

「敗北してるのは間違いないのですが、死んではいないんです」


 この場には十人の人がいるが、発言をしているのは冒険者を含め三人だけだ。


「……わざと生かしているというのですか?」

「状況からしてそうとしか思えません」

「雑魚モンスターにそんなことができるのか?」

「どうやらお金や装備品が目的みたいなんです」

「なんだと? ……ボスが指示しているのか?」

「おそらくですが……」


 話を聞いていた二人は考え込む。

 冒険者はその二人の次の言葉を待っているようだ。


 とそのとき、会議室のドアが勢いよく開いた。

 それと同時に一人の少女が入ってきた。


「話は聞かせてもらいました!」


 いきなりの登場にも関わらず冒険者以外は誰も驚いてはいないようだ。


「お、王女様!?」

「あら、あなた私のこと知ってるんですか? なかなか見どころありそうですね」


 王女は少し嬉しそうだ。

 冒険者も驚きはしていたが王女に会えて嬉しそうだ。


「ティラミス王女、また盗み聞きですか」

「ティラミス王女、おやつは食べたんですか」


 冒険者以外は呆れかえっている。


「ちょっとみなさん! もっとしっかり話を聞いてあげてください!」

「聞いてますとも」

「そうです。今対策を考えていたところです」

「私が思うに冒険者はモンスターに完全になめられています!」


 王女は自信たっぷりに言い放った。


「でしょうね」

「カモネギってやつですかね」

「こうなったら私が直接出向いて殲滅してきます!」


 王女は腕に自信があるようだ。


「はいはい、もっと強くなりましょうね」

「王様がなにか美味しい物食べに行くって言ってましたよ」

「えっ!? それを早く言ってください!」


 王女は慌てて会議室から出ていった。


「……今のはいったい?」

「気にしなくていい」

「さて、まずは対策を立てましょうか」


 何事もなかったかのように会議は再開した。


◇◇◇


「お父様! どこに行くんですか!?」

「お~来たか! ちょうど探させてたおったところだ」


 ティラミス王女を探していたのはこの国の王様、ガナッシュ三十三世だ。


「ちょっと会議が気になったものですから!」

「ワシもあの話は聞いておる。でもここはあやつらに任せてみようじゃないか」

「いいんですか!? 一刻も早く対処すべきかと思いますが!?」

「誰も死んでないってことだしな。それより出かけるぞ」

「そうでした! なに食べるんですか!?」

「寿司だ」

「すし!?」


 王女は寿司という言葉を初めて聞いたようだ。

 よくわからないまま王様の後に続いて歩き出した。

 途中で二人が合流する。

 若い男性騎士と年配の女性魔道士だ。


「別に二人は来なくてもいいんですよ?」

「そんなわけにはいきません!」

「私は行きたくないよ」


 いつものやり取りらしく王様は気にする素振りすら見せない。


 移動にはもちろん転移魔法陣を利用する。

 一瞬で違う景色の場所に辿り着いた。


「ここどこですか? 初めて来ました」

「後ろを見てみろ」

「え?」


 王女は振り返る。

 目の前には港町、そして海岸線が一望できる景色が広がっていた。


「わぁ~! 海ですか! きれいですね!」


 この町の転移魔法陣は少し小高い場所にあるようだ。


「まだ明るくて良かったな。では案内を頼む」

「はっ! 少し下に行きます!」


 騎士を先頭、魔道士を最後方に一同は歩き出した。


 それから五分ほどで目的地の店に着いたようだ。


「ここです。十七時からなのでそろそろ開きますね」


 王様は寿司が楽しみなようでウキウキしている。

 王女は港町が気に入ったのか、ずっと周りをキョロキョロしている。


「あっ、店員が出てきそうです」


 店の中から女性店員がドアの鍵を開ける。

 すると自動でドアが開いた。


「いらっしゃ……!」


 女性の言葉が途中で止まる。


 女性の喉元には騎士の剣が突きつけられていた。

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