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闇ガチャ、異世界を席巻する  作者: 白井木蓮


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第十話 異種族

 酒場にて、俺とアイリは驚愕の事実を知ることになった。

 なんとこの世界にはエルフやドワーフといった種族が存在しているのだ。


 アイリは依頼書を見ているときにエルフやドワーフといった存在に気がついたらしい。

 俺は依頼書を出した後に、酒場の様子を端から見ていて気がついた。


 エルフは耳が長く、ドワーフは背が低い。

 イメージ通りの姿だった。


 特にドワーフは酒場に小さな子供がいると思ったくらいだ。

 背は低いのに顔には立派な髭が生えていたから少し驚いたが。


 だがエルフもドワーフもそれ以外は人間とたいして違いがないように見える


 というか俺はこの世界に一か月もいてなぜ気付かなかったんだろうか。

 ……毎日三十分ほどしか外出しないからか。

 しかも家と市場との往復のみ。


 店に食べにきてくれてたらさすがに気付くと思うんだけどな。


「えっ!? もう依頼出してきたの!?」

「あぁ、声かけられたもんでついでにな」


 俺とアイリは酒場内の飲食スペースと思われる一角にあるテーブルで話をしていた。

 どうやらなにも注文しなくても利用していいらしい。

 さすがに朝から酒を飲んでる人は……少しいるな。


「ガチャのことは話したの?」

「話したんだが、なにも聞かれなかったな」

「ふ~ん。特に決まりとかはないのかもね」


 エミリアさんはガチャという言葉を知らなかった。

 だけど内容を説明したらすぐに理解してくれた。

 もしかすると似たような商売があるのかもしれない。


「で、種族は問わないってしたのね?」

「そうだが、特に問題はないだろ?」

「うん! というよりもどういう立場なんだろう」


 人間じゃないとダメという依頼主がいることはわかった。

 エルフやドワーフは迫害されている可能性もある。

 でも少なくともこの酒場内ではそんな様子は見られない。


 今すぐにはわからないことかもしれないな。

 それにエルフやドワーフがウチで働くことになるとは思えない。

 彼らはなにか特殊な技能を持っているイメージだしな。


 人数的なことから見ても圧倒的に人間のほうが多いようだし。


「帰ってひと眠りしよう」

「そうね!」


 俺とアイリは酒場をあとにし、家に帰ると再び眠りについた。


◇◇◇


 十四時過ぎ、いつもより遅めに起き、そのあとはいつも通り買い出しに行った。

 そして仕込みをしつつ、ご飯を作っていたときだ。


「ヤマト! 下に従業員希望の人が来た!」

「なにっ!? 早いな……」


 今朝依頼書を出したばかりなのにもう来たのか。

 わざわざ夜営業に合わせてきてくれた可能性もあるか。


「お茶を出しといてくれ。すぐに行くから」


 まだ寿司屋の営業までは一時間ある。

 俺は仕込みをキリのいいところまで終え、地下へ向かおうとした。


「おはよ~」

「ん? あぁレファか。悪いが下で用事があるから先に食べてていいぞ」

「うん。なんの用事?」

「従業員希望者が来てるんだ」

「……エルフ?」

「えっ?」


 俺はレファの言ったことが一瞬理解できなかった。

 だが客人を待たせるのは悪いと思いそのまま下へ行く。

 するとそこには一人の女性が座っていた。

 アイリはテーブルの横に緊張した面持ちで立っている。


「お待たせしてすみません」

「いえ、急にお訪ねしたのは私のほうですから」


 若いな。

 アイリと同じくらいだろうか。


 とても冒険者には見えないが……。


「早速ですが、面接希望ということでよろしかったですか?」

「はい。よろしくお願いします」


 少し話しただけでも礼儀作法がしっかり身についていることがわかる。

 冒険者相手の仕事だから少々荒いくらいでも良かったんだけどな。


「依頼書を見てここに来てくれたんですよね?」

「はい。ですが依頼書が貼り出される前にエミリアさんが紹介してくれました」


 エミリアさんが?

 依頼書は貼り出さずにこの人に直接声かけたってことだよな?

 だからこそこんなに早く見つかったのかもしれないけど。

 でもそれってエミリアさんの贔屓とか入ってるんじゃないのか?

 

「アイリ、とりあえず椅子持ってきて座れ」

「え!? あ、うん!」


 とここで、アイリが緊張していた理由がわかった。

 それとさっきレファが言ったことも。


「エルフですか?」

「はい……やはりダメでしょうか?」


 やはりダメでしょうか?

 そんな聞き方をするということは他では断られるケースが多いってことだよな。

 耳以外にも人間と違う部分があるのか?

 さっきレファに聞いておくべきだった。


「いえ、実は今まであまりエルフの方と面識がなかったものですから」

「そうですよね。エルフなんかと関わりたくないですよね」


 そんなこと一言も言ってないよな?

 なにか理由がありそうだな。


「ここはそんなくだらない理由であなたを雇わないことはない」

「レファ!?」


 いつのまにかレファまで来ていたようだ。

 髪ボッサボサだけど。


「……魔族……ですか?」

「うん。だから?」

「え……だからって言われましても……」


 やはり魔族だってわかるのか。

 ん?

 人間とエルフが共存してるんならエルフからしても魔族は敵だよな?


 ……もしかしてマズイ状況なのでは?

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