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邪神排除は密偵のお仕事  作者: ヴルム
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アレンシアという国

目を開けると、そこは森の中だった。

木々の間から射し込む光と鳥の綺麗な鳴き声が森の美しさを際立てていて、本当に異世界に来たのだなと自覚した。

ふと、目の前の地面に手紙が落ちているのが見えた。拾い上げてみると、そこには大きな文字で「レフォーテより」と書かれている。早速、手紙を開封して目を通す。


『無事に着いたようですね。そこはアレンシア帝国の首都、ランバルザに程近い森の中です。木々の隙間から巨大な外壁が見えますか?あれがランバルザです。貴方には今からあそこに行ってもらい、外壁の門番に「旅人だ。ランバルザに入る許可が欲しい」と言って、魔力結晶系クリスタルを触ってもらいます。後は流れに身を任せていれば帝国への潜入は成されます。最後に、貴方に与えた力の確認を行ってください。能力は使おうと思えば使えるようになります。他の二つはそこらの木の棒でも振っていれば確認できるでしょう。ああ、読み終えたらこの手紙はネックレスへと変化します。ネックレスには私の加護が掛けられていますので、気休めぐらいの気持ちで持っていてください。では、御武運を』


読み終えると、手紙に書いてあった通り手紙はネックレスへと姿を変えた。


「試すか………」


能力を使ってみると、辺りが闇に包まれた。

………ああ、光を遮断したのか。


再度狭い範囲に能力を使うと、透明な壁のようなものができた。これが『遮断』という能力らしい。

次に木の棒拾い、振るう。木の棒は凄まじい速さで風を切った。試しに跳躍してみるとかなり高く跳べる。身体能力も上がっているようだ。

………さて、検証は終わった。

首にネックレスを掛け、ランバルザを目指して歩く。


ランバルザに着いたのは一時間後ぐらいだった。門に近づくと、門番が出てきて話しかけてくる。


「ん、見ない顔だな。旅人か?旅人はこっちの列に並べ、簡単な審査を受けてもらう」


どうやら旅人だと言う必要は無かったらしい。言われた通りに旅人の列に並ぶ。しばらく待っていると、俺の番が回ってきた。

兵士から質問される。


「名前、年齢を答えろ」


こちらの世界では日本の名前は聞き覚えがないだろうから新しい名前の方がいいだろう。


「ジェイト・レガン、19歳だ」


「ランバルザに来た目的は?」


「一時的な滞在だな。あと、旅費を稼ぎたいと思っている」


「なるほど………質問は以上だ。後は魔力結晶系クリスタルに触れるだけでいい」


いわれた通りに手をクリスタルに当てる。クリスタルは明るく光り輝き、辺りを照らした。

目の前では兵士が唖然としている。

振り返れば、俺の後ろに並んでいた他の旅人や誘導している門番も唖然としていた。


「のッ…『能力持ち』だぞ!すぐに皇帝陛下に知らせろ!」


隊長らしき兵士が指示を出すと、数人の兵士が急いでランバルザに入っていった。


「レガン様、少しの間お待ち下さい。すぐに皇帝陛下の迎えが到着します」


隊長らしき人物にそう言われたのでしばらく待っていると、豪華な馬車が門を開けて外に出てきた。

中から、執事のような格好の老人が出てきた。


「ジェイト・レガン様ですね?城まで同行願えますか?」


「ああ」


「ではお乗りください」


乗った馬車は走り出し、石畳の道で蹄の音を鳴らしながら駆ける。道の両脇には色々な店があり、とても賑わっている。


しかし、もっと揺れるかと思えばそうでもないな。馬車から道を覗いたら理由はすぐに判明した。道が磨かれているのだ。


「随分と綺麗に道が磨かれているんだな」


「ええ、先々代の皇帝陛下の指示です。これのお陰で色々便利なんですよ。まぁ、すぐに磨り減るので頻繁に整備する必要がありますが」


確かに、道の整備は大変だがこれは効率的だ。潤沢な資源と労働力がある帝国だからこそ可能なのだろう。


「そろそろ着きますよ」


御者がそう言って馬車を止める。

城門はすぐ目の前にあり、その奥には巨大な城があった。

馬車から降りると、目の前に兵士が立っていた。


「御案内させていただきます」


「ああ、すまない」


城の廊下は調度品や装飾がたくさん並んでおり、かなり綺麗だった。階段を昇り降り城の最奥まで着くと、前に巨大な扉が見えた。


「くれぐれも無礼のないようにお願いいたします」


扉が重々しい重低音を響かせて開く。


豪華な装飾がこれでもかと付けられた玉座に座る太った男、あれがアレンシアの皇帝だろう。隣には白髪の女と兵士が立っている。


「ご苦労、下がってよいぞ」


「はっ」


ここまで案内してくれた兵士が退室する。皇帝が口を開いた。


「余がアレンシア帝国第120代皇帝、アルゲート・ラハ・アレンシアである。お前、能力を持っているようだな。まずはそれを見せて貰おう」


「はっ、分かりました。では、そこの兵士の方、私に向かって剣を振り下ろしてくれませんか?」


兵士は皇帝に許可を取った後、こちらに向かってくる。兵士は剣を振り上げ、こちらに言った。


「本当に大丈夫なのか?」


「ええ、本気でやってもらって大丈夫です」


「では………」


兵士が剣を振り下ろした瞬間遮断を展開する。剣は甲高い金属音を響かせて止まった。


「これが私の能力、『遮断』です。ありとあらゆるものを遮断することができます」


「それは凄いな………それで、帝国で働く気はないか?余は歓迎しよう」


「帝国に仕えることができるなど身にあまる光栄です」


「そうか、では、お前には最初小隊を任せる。能力持ちは自分の部隊を持つのが帝国でのしきたりなのでな。そこで指揮を磨くがよい」


「お言葉ですが陛下、私には密偵を任せてもらいたい」


「ほう………何故だ?」


「私の能力は音を遮断して消したり気配を遮断したりすることができます。潜入で見つかることは無いかと」


「そうか、ならば密偵としよう。仕事は後日伝えるから今日は休むが良い。兵士に部屋まで案内させよう」


皇帝のお言葉に甘えて部屋から退室する。次は何をするべきだろうか。




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