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今の世
白い空間、清潔な空気、汚れないふかふかなベッド。
マイホームでの目覚めは最悪だ。何しろ、
いつもぼくを起こしてくれていた姉はもういないのだから…。
あれから数世紀たっている世界だった。
何回も起こった戦争などで、世は廃れきっていた。魔法も今じゃ失われつつある。
姉の植物状態は解けないのだろうか…。
「登録をお願いします」
いささか見えないカウンターの向こうに向かって、ぼくは話しかけた。
「ぼうや、ここは遊ぶ場所じゃないのよ」
そう言いながらカウンターから出てきたのは女の人だった。メタリックブルーの艶やか中身に、陶磁器のような白い肌が印象的だった。とても綺麗な人だ。ぼくはその人へ手のひらを見せた。
「・・・分かりました。登録ですね」
クラスAのギルド章を見て、女の人は営業スマイルをとった。何よりぼくの目にも残像が写る速度が怖いと思った。