第4話
室内に流れていた緊張感は、フィニスの一言で少しだけ和らいだ。
「紹介するわね」
フィニスはラビィの隣に立ち、部屋にいる四人へ視線を向けた。
「このプロジェクトのサブリーダー、ナナミ・バーチェ」
長い髪を後ろでまとめた女性が、柔らかく微笑む。
「よろしくね、ラビィちゃん」
優しそうな雰囲気に、ラビィの肩の力が少し抜ける。
「データ関連全般を任せているのが、努・暁」
少し猫背気味の男性が、気まずそうに軽く手を上げた。
「よ、よろしく……」
「プログラミング担当、アルバート・ショーン」
腕を組んだ金髪の男性が顎を上げる。
「ショーンと呼んでくれ」
自信に満ちた視線がラビィに向けられる。
「そして、演算処理や数値計算の要が——」
最後の一人、メガネの女性がクイッとフレームを上げた。
「マヤ・タチバナっス。数字のことはなんでも聞いてほしいっス」
少し砕けた口調に、ラビィは思わず小さく笑った。
「改めて、ラビィ・ルナファです。よろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる。
するとナナミが、ふと思い出したように首をかしげた。
「ラビィちゃんって……クロノス・レガリアのトッププレイヤーと同じ名前ね?」
ラビィの耳がぴくっと跳ねた。
「あ、あれ……」
頬がみるみる赤くなる。
「わ、私です……」
数秒の沈黙。
「えっ」
「は?」
「マジで?」
「本人っスか!?」
室内が一気にざわつく。
努が目を見開き、マヤは前のめりになり、ナナミは口元に手を当てる。
ショーンだけが、納得したようにフィニスを見る。
「なるほど……室長」
その言葉に、ラビィはきょとんとする。
「だから新人をこのプロジェクトに加入させたんですね?」
フィニスは静かに微笑んだまま、否定も肯定もしない。
ラビィは首をかしげる。
「え? だから……?」
フィニスはラビィの肩にそっと手を置いた。
「なんでもないわ」
そう言って、空いている椅子へと優しく促す。
「まずは座って」
ラビィは戸惑いながらも椅子に腰かける。
四人の視線が再び集まる。
フィニスはゆっくりとラビィの正面に立った。
さっきまでの柔らかい空気が、少しだけ引き締まる。
「ラビィさんに、最初に話しておかなければならないことがあります」
ラビィの喉が小さく鳴る。
「ごくり……」
その音が静かな室内にやけに大きく響いた。
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平日:7時頃、19時頃の1日2話
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です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




