第31話
ウェスタリアのギルドで、赤兎馬と白龍のデータ登録を済ませたラビィとロラン。
メンバー編成に追加した瞬間、端末に注意表示が現れる。
【人型メンバー以外は街での表示は不可】
「えーっ!街中を連れて歩けないんだ…ちょっとガッカリ」
ラビィが口を尖らせる。
「まあ、馬くらいなら何とかなりそうですけど、ライオンとか虎とか…もっと大きい生き物だと怖いですからね。仕方ないですよ」
ロランは苦笑いする。
「あっ!もうこんな時間!?」
ロランが慌てて端末を見る。
夢中になりすぎて、半日以上が経過。現実世界では日付も変わっていた。
「僕、明日仕事あるのでそろそろ落ちます。今日は本当に楽しかったです。また一緒に旅してくださいね」
そう言ってラビィへフレンド申請を送り、ロランはログアウトした。
同時に、ロランのメンバーである趙雲も光に包まれて消える。
「明日仕事って、ロラン社会人なんだ……もしかして年上なの?」
素朴な疑問を持ったラビィだった……
静かになったギルド内で、ラビィはロランからの申請を承認した。
「呂布さん、疲れた?」
「大したことはない」
「じゃあ、私まだまだ元気だし付き合ってね!」
ラビィはくるりと向きを変え、受注端末へ向かう。
「そういえば私、このゲーム始めてから呂布さんと以外、ちゃんと戦ってないな…。よし!戦闘系いこ!」
選んだクエストは――
【クエスト名:魔物に占拠された村を救え】
【内容:占拠している魔物の討伐】
【報酬:武器強化素材】
受注完了の通知が届く。
「……で、村どこ?」
少し考え、ハッとする。
「そうだ、街で情報集めるんだった!」
ロランのやり方を思い出し、ギルドを出て聞き込み開始。
集めた情報によると、さらに西の海にある小さな島の村らしい。
渡し舟の手配もできた。
「私もやれば出来るじゃん!」
元トッププレイヤーとは思えないレベルの感動をするラビィ。
……だがツッコミ役はいない。
「……ロランいないと静かだな」
少しだけ寂しくなる。
舟に乗り込むラビィ、呂布、そして赤兎馬。
明らかに重量ギリギリだが、船頭NPCは無言で必死に漕いでいる。
「着きました…お気を付けて」
「ちょっと待っててね!」
笑顔で言いながら、ラビィは二刀を抜いた。
その目が、戦闘の色に変わる。
呂布も赤兎馬に跨り、戟を肩に担いだ。
小さな村の中には、およそ二十体の魔物の姿。
「呂布さん、入口側お願い!」
そう言い残し、ラビィは単身、村の奥へ駆ける。
「やっぱり居たね」
奥には一際大きな魔物。手下を従えたボス格。
「ラビィ、行きます!」
一瞬。
手下二体が斬り裂かれ、光に変わる。
ボスが咆哮し、大きな斧を振り上げる。
「楽しませてよ!」
ラビィは笑う。
斧が振り下ろされる――
「遅いよ…もう…」
声はボスの背後から聞こえてきた……
自分が斬られたことに気付く間もなく、光の粒子となって消えた。
「……あーあ、終わっちゃった」
ラビィは肩を落とす。
呂布もすでに全滅させたらしく、赤兎馬に乗って戻ってきた。
「あっ、お疲れ様!すぐ終わって面白くなかったね。残念…」
ピコン!
【クエストクリア】
【報酬はアイテムBOXに送られました】
舟へ戻る二人と一頭。
船頭は目を丸くする。
「えっ…もう戻って来たんですか…?」
「うん!じゃあ次行ってみよー!」
まったく疲れた様子のないラビィに、船頭はただ黙って舟を出すのだった。
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更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




