第15話
ギルドを出た一行は遡行施設へと向かう。
討伐対象の居る時代へと。
《クエスト:荒ぶる戦神》
《時代:古代中国 三国時代》
《討伐対象:呂布奉先》
「これが今回のクエスト内容ね」
ナナミが端末を確認し小さく呟く。
呂布奉先――
その名前に、ラビィの目が細くなった。
「……強かったなぁ、呂布さん」
数年前。
レガリア一周年記念祭の闘技大会。
個人戦を圧倒的武力で制し、《最終兵器》の称号を得た武人。
「アースくんのメンバーだったよね……。元気でやってるかな、アースくん」
ふと、かつての仲間を思い出しながら笑う。
遡行施設へとたどり着き時代とエリアを合わせる。
「いざ、クエストへ」ラビィの一声に全員が頷き遡行を開始する。
遡行が完了し目を開くと、目の前には荒れた大地。
遠くに燃える砦。
風に混じる血と火薬の匂い。
その瞬間。
空気が張り詰めた。
ラビィの表情が変わる。
「……居ます」
「えっ?」
ナナミが顔を上げた、その刹那。
「危ない!」
ラビィがナナミに飛びかかり、地面に伏せさせる。
ヒュンッ——!!
さっきまでナナミが立っていた空間を、見えない斬撃が切り裂いた。
地面が遅れて爆ぜる。
土煙の向こうから、低い声が響いた。
「ほう……楽しめそうだ……」
現れたのは、一人の武人。
右手に方天画戟。
赤兎馬に跨る巨躯。
——呂布奉先。
「あんな攻撃見えないっスよ……」
マヤが思わず後ずさる。
ラビィは一歩前に出た。
「大丈夫です」
静かに言う。
「皆さんには攻撃させません。私が呂布さんのヘイトを全部受け切りますので!」
その目は、完全に戦闘モード。
そこへ並ぶ影が一つ。
「流石にラビィさん一人に活躍されたら、室長の面目丸潰れしますからね」
ラストだった。
二人は視線を交わす。
言葉はいらない。
レガリアで幾多の死線を越えた者同士の、無言の呼吸。
ラビィが叫ぶ。
「皆さんはスキがあったら攻撃してください!無理はしなくていいので!」
呂布が馬を駆る。
地面が爆ぜる速度。
見えないほど速い戟の連撃。
だが——
キィンッ!!
ラビィのナイフが火花を散らして受け流す。
横薙ぎを回避し、懐に潜り込み一撃。
即離脱。
「すっげー……」
ショーンが呆然と呟く。
「生で見るトッププレイヤーの戦い……」
呂布の背後に回った斬撃。
「ラストさん!」
「分かってます!」
振り向きざまの一閃を、ラストはノールックで回避。
カウンターを叩き込む。
「し、室長もあんなに凄かったんだな……」
努が唾を飲む。
二人のヒットアンドアウェイ。
完璧な距離管理。
徐々に、確実に、呂布の体力を削っていく。
やがて呂布の動きがわずかに鈍った。
それを見て——
「今っス!」
マヤが飛び出す。
「マヤさん!」
ラビィの叫び。
呂布の目が光る。
方天画戟が振り上げられる。
回避不能の間合い。
(普通じゃ間に合わない……)
ラビィの思考が加速する。
(行けるか……お願い!)
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更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




