済 第43話 両想いになるには
橘、赤城夫妻、コマチ会長を乗せた一台のアルファードが、案内役の兵士と共にアルメリア領聖なる泉の地を後にした。
「また来るにゃー!」
パンダ、深雪、ポルガンの三人は、車が見えなくなるまで手を振って見送った。
「いいなぁ。」
深雪が大きく伸びをする。
「俺もポルガンとかレオンとか、パンダの所へ一瞬で飛べたらなぁ。凄い魔法だよな。」
ポルガンは笑って小さな皮のポーチから、二つの小箱を取り出した。四次元ポシェットと似た道具らしい。
「深雪、お前にもやるよ。いっぱい作ったからな。」
「え?」
最初の箱を開けると、美しい銀色のヘアピンが六本並んでいた。
「これは二本で一組だ。」
「互いの髪に挿すことで魔法が発動する。」
「三組あるから、好きに使え。互いに好意が有るもの同士なら使える筈だ」
「へーっ!? もしかしてポルガンの手作りなのか!」
「そうだ。俺は未熟者だから、作るにはかなり魔力を消費するがな。」
深雪は目を輝かせた。
「手造りか、なんか嬉しいなぁ。ありがとう!」
「パンダには安物って言ってたにゃ」
「は、恥ずかしかったんだ。アクセサリー作りが趣味と思われるのが。」
「なんか可愛いな、ポルガン。今度、日本でエオンモールを案内するからな!」
「そうにゃね。」
「楽しみにしている。」
続いてポルガンはもう一つの箱をパンダへ差し出した。
「これはペンダントだ。」
箱の中には四つの首飾りが入っていた。
「レオン。」
「パンダ。」
「リア。」
「ナル。」
「家族四人分だ。」
「家族同士なら、一日に十回まで行き来できる。」
パンダは驚いて目を丸くした。
「四つもくれるにゃ!?」
「ああ。」
「家族は離れて暮らすこともあるだろう。」
「その時のためだ。」
「ありがとう、ポルガン!」
パンダは嬉しそうに箱を抱きしめた。
「レオンも喜ぶにゃ!」
深雪は感心したように頷く。
「お前、本当に魔道具作り凄いよな。」
「魔道具師に弟子入りでもしたのか?」
「いや。」
ポルガンは苦笑する。
「全部、独学だ。小さい頃少しだけ、父の護衛のモンクに教わったがな」
「この細工とか、天才じゃねぇか……。」
深雪は思わず呟いた。
その時、パンダが少し残念そうな顔をした。
「でも、ポルガンの所にももっと行けたら便利なのになぁ。」
ポルガンは肩をすくめる。
「正直言うと俺からパンダの所へは何度か飛べるだろう。」
「だが、パンダから俺の所へは一回が限界かもしれない。」
「えー。」
パンダは肩を落とした。
「俺はポルガンの事、結構好きだぜ?」
「光栄だ。」
ポルガンは微笑む。
「だが、友として好きなのと、恋人として好きなのは違うらしい。」
「この魔法は、その想いに左右される。」
深雪は腕を組んだ。
「なるほど。」
「じゃあ試してみようぜ。」
「試す?」
「簡単だよ。」
深雪はニヤリと笑う。
「お前が俺に惚れればいい。」
「……は?」
「冗談だって。」
そう言いながら深雪はポルガンの肩を強く引き寄せ、片手で後頭部をがっしり押さえた。
息が混じり合う至近距離で一瞬見つめ合い、次の瞬間——
熱く貪るように唇を重ね、すぐに舌を滑り込ませた。
深雪の舌がポルガンの唇を割り、ぬるりと絡みつく。
甘く湿った感触が一瞬で広がり、軽く吸うような動きも加わって、
ほんの一瞬のはずが、明らかに長く、濃厚なキスになった。
離れた瞬間、ポルガンは耳まで真っ赤になり、息を荒げて後ずさった。
「深雪! もうやめてくれ!」
「あちゃー。」
パンダは両手で目を隠した。
「まきちゃんに怒られるにゃー。」
深雪は満足げに大笑いする。
「一回くらい飛べるようになったか?」
ポルガンは照れながら青い方の目を閉じ、魔力を確かめる。
「……一回どころじゃない。二回、いや三回くらい飛べそうだ。」
「おお!」
深雪はガッツポーズをした。
「やっぱり想いで変わるんだ!」
「いい実験だった!」
「まきには言うなよ、パンダ!」
「わかったにゃ。」
「……多分。」
「おい!」
三人は思わず笑い合う。
その時、ポルガンがふとパンダの方を見た。
「……パンダ。」
「にゃ?」
「少し、いいか。」
「え?」
ポルガンは一歩近づき、パンダの肩にそっと手を置いた。
「さっきの話だが……。」
「想いで変わるなら、確かめておきたい。」
「え、え?」
パンダが戸惑う間もなく、ポルガンは優しくパンダの頰を両手で包み込み、
顔を近づけた。
熱い吐息が唇に触れる。
そっと、しかし確かな情熱を込めて——パンダの唇に自分の唇を重ねた。
柔らかい感触を味わうように押しつけ、軽く吸う。
さらに少しだけ角度を変えて、優しく何度も唇を啄むようなキスを繰り返した。
「にゃっ……!?」
パンダは全身をびくっと震わせ、顔を真っ赤にして固まった。
唇に残る熱さと、胸の奥がざわつく感覚に、耳まで火照ってしまう。
ポルガンはゆっくりと顔を離し、わずかに息を乱しながら呟いた。
「……これでどうだ。」
再び片目を閉じ、魔力を確かめる。
「……なるほど。やはり、少し増えているな。」
「えぇぇぇ!?」
深雪は頭を抱えた。
「マジかよ! 想いってそんなに影響すんのか!」
パンダはまだ自分の唇を指で押さえ、もじもじと体をくねらせながら小さく呟いた。
「び、びっくりしたにゃ……。
でも……なんか、熱くて……ドキドキするにゃ……」
ポルガンは視線を少し逸らしながら、照れたように微笑んだ。
「……そうか。」
深雪はニヤニヤしながら二人を見比べる。
「お前ら、なんかいい感じじゃね?」
「違う!」
ポルガンが即座に否定する。
「これはあくまで検証だ!」
「はいはい。」
深雪は肩をすくめた。
三人は思わず笑い合う。
深雪は急に真顔になった。
「そうだ。パンダ?お前指輪平気か?俺にレオンがキスした時、指輪が赤く光って、レオンの手ゴブリンの手に変わったんだ」
「深雪ーさっきみたいに濃厚なキスしたんじゃないのかぁ?」
「俺じゃなくて、レオンが勝手にして来たの!」
「どうだか!パンダは泉の門番に指輪の制御の仕方教わったんだろう?」
「えへへにゃ。多分、深雪にキスしても、ゴブリンにはならんにゃよ。」
「試してみるか?」
「嫌にゃ!エロ魔人。」
「パンダ!それはないだろ!ところで、レオンの指輪。」
「あれ、ポルガンがくれたんじゃないよな?」
「違うにゃ。」
パンダは首を振る。
「知らないエルフのお爺さんが、お握り一個と交換してくれって言ってきたにゃ。」
ポルガンの表情が変わる。
「エルフのお爺さん……。」
「もしかすると。」
「モンク僧侶様が城を抜け出した時だったのかもしれません。」
「え?」
「父を守り続けてくださった恩人です。」
三人は顔を見合わせた。
先王を封じ続けた僧侶が、なぜレオンの指輪をパンダへ託したのか。
その理由は、まだ誰にも分からなかった。
レオンです。
パンダー!深雪ー!
俺の居ない所で、ポルガンとー!
黙れ!レオン!
お前だってミカエラとよろしくしてただろ!
深雪です。今回、チャッピーがキスシーンをマイルドにしようと抗いまくり、俺とパンダとポルガンの美味しい場面をヘタレの命令をガン無視して、カットカットカットしやがった。
急遽、代理人のエロ、グロ担当、グロークに依頼して描き直した所だぜ!更新も可成り遅れちまった!
勘弁してくれよ、チャッピー!
次回、お楽しみに!




