第35話 驚くべき一家
黒魔術図書館を見学し終えたレオン達は、魔王に案内されて城の奥へと向かった。
「明日から、黒魔術図書館へデータ収集者が来るのか。」
魔王がゆっくり歩きながら呟く。
「もし魔法に耐性のある者なら、白魔法と黒魔法、双方の書物を読めるようになるかもしれんな。」
「そうなれば……。」
「青魔導士が増える可能性がある。」
「青魔導士?」
レオンが首を傾げた。
「白魔法と黒魔法、両方を扱える魔導士の呼び名だ。」
魔王は頷く。
「現在は、ハイエルフくらいしか存在しない。」
「ところでレオン殿、パンダ殿。」
「リア殿とナル殿も含め、一度魔法の適性を測ってみぬか?」
パンダが目を丸くする。
「そんな事できるの?」
「私達にも魔法があるのかにゃ?」
魔王は笑った。
「東京から来る物は、どれも規格外だ。」
「初めてコンビニのおにぎりを食べた時、我の精神を蝕んでいた、悪魔の囁きが消えた。」
「今朝も魔王店で買ったおにぎりを見たが、生産者達の愛情が魔力となって溢れておった。」
「驚くべき食べ物だ。」
レオンは腕を組む。
「生産者達の愛情か……。」
「なるほどな。」
「ところで俺達の魔力量は?」
魔王はニヤリと笑う。
「レオン殿は魔法の指輪への反応を見る限り、尋常ではない。」
「我ですら、その内に秘めた魔力に震えが走る。」
「さあ、水晶の間へ参ろう。」
歩きながらパンダが呟く。
「レオンとナルって、IQが凄く高いからにゃ。」
「知力と魔力って関係あるのかにゃ?」
魔王は少し考えた。
「昔から知性と魔力には深い関係があると言われている。」
「証明はされておらんが……。」
「さすがパンダ殿。」
「着眼点が普通ではない。」
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やがて一行は、水晶の間へ到着した。
真央が、母のミカエラとパンダ一家の子供達、リアとナルとペットのフェイ太郎を連れて待っていた。
部屋の中央には、人の背丈ほどもある巨大な水晶玉が置かれている。
その傍らには、白いローブを纏った老人が立っていた。
「水晶学者でございます。」
老人は一礼する。
「では、まずレオン殿から。」
レオンが水晶へ手を置いた。
すると――。
ピッ……
ピッ……
ピッ……
水晶が小さく点滅を始める。
学者が眉をひそめた。
「……珍しい。」
やがて数字が浮かび上がる。
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レオン
魔力 3150
体力 210
愛情 1200
知力 8130
エロスの女神の加護あり
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部屋が静まり返った。
学者は何度も数値を見直す。
「ま……魔王様。」
「魔力も知力も化け物です。」
「魔法を学んだことが無い者が、この数値とは……。」
「しかも。」
「エロスの女神の加護まで受けております。」
レオンは首を傾げた。
「え?」
「いつ加護なんて付いたんだ?」
学者も困ったように笑う。
「本人が知らない例は、極めて珍しいですね。」
真央が吹き出した。
「やっぱり浮気指輪が反応する訳だ!」
レオンは顔を真っ赤にした。
「だから違うって!」
一同は大笑いした。
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「では、続いて勇者パンダ殿。」
パンダが水晶へ触れる。
今度は水晶が淡い虹色に輝いた。
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パンダ
魔力 250
体力 15
愛情 ∞
発想力 ∞
創造力 ∞
イデアの神の加護あり
グルメの神の加護あり
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「えぇぇぇぇぇ!?」
真央が思わず叫ぶ。
「勇者様!」
「無限が三つ!?」
「しかも神の加護が二つ!?」
「こんなの見たことないよ!」
学者も頭を抱えた。
「愛情も。」
「発想も。」
「創造力も。」
「計測不能……。」
魔王が苦笑する。
「やはり世界を変える者は違うな。」
レオンが笑う。
「向田さんもビックリだな。」
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「ではリア殿。」
リアが元気よく水晶へ触れた。
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リア
魔力 1020
体力 72
愛情 210
知力 750
アフロディテの女神の加護あり
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ナルが笑う。
「リア、大したことないねー。」
「うるさいよ!」
リアが頬を膨らませる。
学者は慌てて首を振った。
「とんでもありません!」
「五歳で魔力千超え。」
「知力七百五十。」
「私の知力は八百ですが、すでに追いつかれそうです。」
「さらにアフロディテ様の加護。」
「将来、とてつもなく美しい女性になりますぞ。」
「ほえぇ……。」
一同は感心した。
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「最後はナル殿。」
ナルが得意げに手を置く。
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ナル
魔力 2300
体力 85
愛情 412
知力 1020
音楽の神 バッハの加護あり
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学者は目を見開いた。
「三歳で……。」
「魔力二千三百。」
「知力千超え。」
「歴代でも数えるほどしか存在しません。」
「将来が楽しみですな。」
ナルは胸を張る。
「えへへ!」
魔王は四人を順番に見回した。
そして静かに笑う。
「驚くべき一家だ。」
「オイラもやって!!オイラもやりたい!!」
フェイ太郎が大騒ぎする。
「仕方ないわね!水晶学者!そのフェレットも測ってやって!」
真央に言われて、学者が肩を竦める。
フェイ太郎
魔力 650
体力 100
愛情 480
知力 360
「さらに首輪が着いている。化け物のような天才フェレットですな。すでに人間の10歳児は超えています。魔力は町民を超えていますね。生後どれくらいですか?」
学者が驚く。
「生後3ヶ月だみゃ!えっへんだみゃ!」
フェイ太郎が威張る。
「ねぇあなた、世界が変わり始めた理由が、ようやく分かったような気がしますね」
魔王の妻、ミカエラが言った。




