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プロローグ

AIで作った作品を残しておくために掲載してます

雨が降っていた。


灰色の空から落ちる雨粒が、巨大輸送船の甲板を叩いている。


レオン・アークライトは手すりにもたれながら暗い海を眺めていた。


十五歳。


アークライト財団代表エドワード・アークライトの一人息子。


本来なら学校で友人と過ごしているはずの年齢だった。


だが今、彼は世界有数の慈善団体の視察船に乗っていた。


目的地は内戦地帯。


父の仕事に付き合わされるのは今回が初めてではない。


「眠れないのか?」


背後から声がした。


振り返る。


父だった。


エドワード・アークライト。


世界的な技術者であり、財団の創設者でもある男。


だがレオンにとっては、休日になると料理を作り過ぎる普通の父親だった。


「こんな場所に行かなきゃいけない理由が分からない。」


レオンは正直に言った。


「危険なんだろ?」


エドワードは少しだけ笑った。


「危険だから行くんだ。」


「意味が分からない。」


「誰かがやらなければならないこともある。」


レオンは納得できなかった。


だが父の表情は真剣だった。


しばらく沈黙が続く。


雨音だけが聞こえる。


やがて父は小さく呟いた。


「これは償いでもある。」


レオンは眉をひそめた。


またその言葉だった。


昔から時折口にする。


だが理由を聞いても教えてくれない。


「何を償うんだ?」


父は答えなかった。


ただ遠くの海を見つめていた。


その時だった。


警報が鳴り響く。


甲板全体が赤く染まる。


《緊急警報。所属不明機接近。》


《全乗員は――》


放送は途中で途切れた。


爆発。


船体が大きく揺れる。


レオンは床へ倒れ込んだ。


遠くで炎が上がる。


無線から悲鳴が聞こえた。


「右舷被弾!」


「攻撃です!」


「敵機接近!」


その瞬間。


レオンは父の顔を見た。


驚いていなかった。


恐怖でもなかった。


まるで予想していたかのような表情だった。


「やはり来たか……」


「父さん?」


エドワードは答えない。


ただ静かに懐から小さな記録媒体を取り出した。


黒いデータチップ。


彼はそれをレオンの手に握らせる。


「絶対に手放すな。」


「何なんだよ、これ!」


「今は聞くな。」


再び爆発。


炎が夜空を照らす。


その時、甲板の扉が開いた。


「レオン!」


母だった。


エミリア・アークライト。


優しく穏やかな女性。


いつも家族の中心にいた人。


だが今は違う。


顔色は青ざめていた。


「避難するのよ!」


エドワードは妻を見た。


そして静かに頷く。


短い仕草だった。


だが二人には十分だった。


「あなたは?」


エミリアが尋ねる。


「やるべきことがある。」


「危険よ。」


「分かっている。」


エドワードはレオンを見る。


「他の誰も信じるな。」


「え?」


「真実を知れ。」


その言葉だけを残し、父は炎の向こうへ歩いていった。


「父さん!」


レオンは叫ぶ。


だが背中は振り返らなかった。


それが最後だった。


レオンとエミリアは船内へ向かう。


警報。


煙。


悲鳴。


地獄のような光景だった。


避難区画まであと少し。


その時。


轟音。


通路が崩れる。


レオンの足元の床が消えた。


落ちる。


そう思った瞬間。


誰かに突き飛ばされた。


母だった。


レオンは安全な場所へ転がる。


だが。


崩落した構造材がエミリアを押し潰した。


「母さん!」


レオンは駆け寄る。


必死に瓦礫を押す。


動かない。


母は微笑んだ。


泣いている息子を見ながら。


「生きて。」


「嫌だ!」


「お願い。」


彼女はレオンの頬に触れた。


「優しい人になって。」


そして最後に。


「愛してる。」


その手から力が抜けた。


レオンの世界はそこで終わった。


数日後。


病室。


テレビニュースが流れている。


『アークライト財団輸送船襲撃事件』


『当局は海賊組織による犯行と断定しました』


『犠牲者は百名を超える見通しです』


海賊。


誰もがそう言った。


事故。


不運。


悲劇。


世界はそれで納得した。


だがレオンだけは違った。


父が最後に見せた表情。


『やはり来たか』


その言葉が頭から離れない。


本当に海賊だったのか。


なぜ父は襲撃を予想していたのか。


そして。


手の中には父が遺したデータチップ。


レオンはそれを強く握り締めた。


この時はまだ知らない。


それが七年後。


世界を揺るがす戦いへ繋がることを。

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