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ユーシャ・リリヴェージュ

 チェレーゼは、国家来賓席に座り、隣の男へ話しかけた。


「ファーザー・エイリム。今日こそ、我々のプロジェクトが花開き始めますよ」

「昔のようにパパと呼んでくれてもいいのに。ソメヤだったか? 勇者候補の名は」

「そうです、ソメヤ・イストゥール! 今日は観客席全員が、彼女の名前を叫ぶことでしょう」

「そんなに入れ込んでいるのかい」

「ええ……目を見張るような才能です! でも……」


 チェレーゼは何かを思い出すように俯いた。


「ユーシャ様が……帰ってきてくれれば……罪のない異界の方を、巻き込まずに済んだのに」

「おお、私の可愛いチェレーゼよ、そんなに悲しむな」

「……」

「ユーシャ・リリヴェージュ……たしかに才能ある男だった。その名に相応しく勇者だった。しかしああなってしまっては……。チェレーゼ、今は使命に集中しなさい。主は彼を見捨てはしない」

「……はい、お父様。私は試合が始まるまで、少し祈ることにします」

「そうしなさい。気が済むまでそうしたら、今日は素直に楽しもうじゃないか。ソメヤ氏だけでなく、我が息子ピグトニャも出ることだしな」

「……そうですね」


 チェレーゼはまだ無人のリングを見つめる。ピグトニャ……ユーシャ様がいなくなってから、最もおかしくなってしまったのは、あの子だ。私は実の弟である彼を心から信じながら……彼を少しばかり、恐れている。

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