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円陣

「タイピングジム、ピグイタン最強決定戦! 映えある優勝の看板はどのジムに!? 実況は私、全国タイピスト連合所属タイピスト、ジッキョー・ダイスキーが務めさせていただきまーす!!」


 ついにこの日が来た。チェレーゼ曰く、私が勇者になるための登竜門であり、ここで優勝ができたらクエストとやらを受注できるらしい。クエストは本当は誰でも受けられるのですが、優勝経験があれば、最初から高難度クエストが受けられますから……というのが、彼女の談である。


 私を含むバラーズ・ジムの出場者5人と、監督者であるバルは受付を済ませ、控え室へ通される。出場者はバルが選んだ5人だけ……。


大将:ソメヤ・イストゥール。

副将:アマリ・ダズ。

中将:ピグトニャ・イグノジー。

次鋒:テス・バル。

先鋒:ユアンナ・カーニャー。


「いいか、作戦を共有するぞ。今回は勝ち抜き戦だ。ユアンナ、基本的に勝ちに行きなさい。一戦目では、必ず勝ちたい。テスとアマリ、君たちは情報を引き出すのが役目だ。テス、勝てそうなら勝て。しかし無理はするな。勝てないと思ったら……ピグトニャに全部任せて、体力を温存して引け。ピグトニャはまぁ……勝てるだろ」

「俺だけ雑っすね、まあ、勝てるでしょうけど」

「アマリも同じだが……アマリが戦う時は、ピグトニャが負けているということだ。勝つことよりも、相手の才能を見極め、それをソメヤに伝えろ。そしてソメヤ、君が一番大事なのは……実力を出しすぎないってこと」


 私は初試合を思い出して気分が悪くなった。あれは、アマリでなければ死んでいた……ここ数週間試合の型を叩き込まれた私には、十分それが分かっていた。恐ろしいことをしたと手が震え、イップスになりかけたぐらいだ。


「どちらが勝っても負けても、大将戦は必ず行うことになっている。例えば、先鋒が相手の中将まで倒して勝利が確定しても、それとは別に大将戦が始まる。大将は大将と戦わなければならない。最も多く勝った大将は、チームの勝敗とは別に表彰される……つまり、個人戦の要素もあるということだな。ソメヤが勝てないことはない……が、君のイメージ戦略ってのを国が練っているから。なんというかこうね、明るく勝って欲しいんだ。笑顔で、スポーツマンシップ! て感じで。わかるだろ」

「わかります、コーチ」

「アマリはそれができるよう……相手の強みと弱みを見極め、やりすぎないようにソメヤに助言してくれ。全ての試合で、これが前提だ」

「了解したぜ、コーチ。俺は捨て駒ってことね」

「拗ねるなアマリ、お前の才能を買って言ってるんだ」

「わかってるって! じょーだんじょーだん」


 アマリはコーチの左腕を叩いた。そっちは、昔のアマリが吹っ飛ばした方の腕らしい。そのメンタルの強さは本当に見習いたいところだ。そのまま流れるように全員で肩を組む。


「さぁ、みんな、今日は勝つぞ! そして国の金で祝勝パーティーだ!」

「いや国は金出しませんよ。姉さんのポケットマネーです」

「それは実質血税だ! えい、えい、おー!」


 ピグトニャ以外の全員が、声を張り上げて気合を入れた。

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