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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:お姫様を助けよう

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身の上話を聞こう

え~と、前書きに書くこともあんまりなくなった程度に周囲は平和になりました。

ただまだ地震の被害から復旧していない地域もありますし、まだまだ前の台風の被害からも回復していないところもあるので、うちの周りなんて幸運なものです、はい。

「姫様は御年おんとし十四歳で、自分より二つほど年下です。」

「え、ちょっと待って。ソフィア……って十六歳?!」


 なんか聞き捨てならないことを聞いた気がする。


「えっと、そう、ですが……?」


 戸惑うソフィアだが、あたしは上から下まで彼女をジロジロと検分する。百歩譲って身長はともかく、この身体のラインは十六じゃないわ。そうか、魔素マナか、その魔素とやらの仕業か!

 くぅ、恐るべき異世界。


「その、ラシェル殿は……?」

「じゅうはち。」

「え……」


 絶句された。

 まぁ、よくよく考えれば、アイラだってあたしよりも年下なのに店を切り盛りしてるし、リリーはもっと若いのに一人で畑を守っていた。ジェルが何かの拍子に説明していたが、義務教育なんて存在しないこの世界では子どもなんて三歳くらいからできることで家の手伝いを始めているものだし、そもそもよほどの才能と運でもない限り、波乱万丈な出世物語なんてあるはずもない。

 ちなみに、大雑把に成人は十五歳くらいらしい。それこそ貴族や王族だと一桁年齢くらいから婚約者が決まっているとか。


 異世界だなー、やっぱ。


 まぁ、あたしもちょっとばかり「社交界」なるものを知っているが、よくよく考えれば、子どもの時からいる婚約者って意外と珍しくもないか。

 あ、あたしはそこまでの家じゃないから婚約者とかいないし。いたとしてもそんな柄じゃないから断るわね、うん。


 それはさておき。

 そう考えると、おそらくソフィアが騎士、しかも騎士団の副団長をやっているということは、実力もそうだが、それなりの家柄ってことか?


「ソフィアっていいとこのお嬢様なの?」

「…………」


 しまった。禁句だったか。彼女の顔が曇る。結構「身分」ってこの世界じゃあ地雷かもしれない。……異世界こっちには地雷なんてないけど。


「自分は…… その、家はあまり好きではありません。」


 うぉっ! 重たいテーマ来た。

 まぁ、ここでいう「いいとこ」なんて貴族ってもんしかないだろう。


「自分語りになってしまいますが、自分には兄と姉がいまして、兄は後継者候補、姉は他の有力貴族や王族への嫁としての修行。

 そして自分は小さいころから厳格な父に様々な勉強に剣の修行、魔法の修練をさせられました。

 そのせいか身体ばかり大きくなって、おかげで嫁の貰い手も無くなったようです。運よく、ハンス団長に拾っていただけて、こうして姫様付きの騎士となれました。」


 しかし、と彼女は続ける。

 騎士団に入って城仕えになった彼女が見たのは、家にいる時とは違って、あっちペコペコこっちペコペコとへつらっている父親の姿だった。


「そしてそれとなく父の評判を聞いてみました。でもあんまり芳しいものではありませんでした。」


 曰く、あちこちにこびを売っている。曰く、金儲けと地位固めにしか興味が無い。曰く、貴族の恥さらし。

 なんでそこまで言われるか分からないが、評判は決して良くなかった。


「厳格だった父は家の中だけだったようです。子どものころは怖かった父が今では見るに堪えない弱い者に見えてきました。

 どうせ兄も姉もいますし、自分はあの家に戻らなくても一生騎士でも良いのではないかと思い始めました。」


 そう言って、寂しげな笑みを浮かべるソフィア。……なんだろ、なんか違和感がある。というか、そもそも十六の女の子がそんな人生を諦めるような発言をしてどうする?

 何か言いたいけど、何を言えばいいんだ?



「可哀そうだな。」

「王子! い、いえ、自分は今の自分の在り方に満足しておりますので、決してそのような……」

「いや、そうじゃなくて、お前の父親がさ。」


 流れる風景を眺めていた王子だが、さすがにあんまり風景が変わらないのでやや退屈してきたらしく、あたし達の会話に入ってきた。


「確かグレイブランド卿の娘だったな。」

「は、はい! そ、そうでございます。」


 王子相手だと緊張するのか、やっぱ。


「不器用とは聞いていたが……」

「おい、バカ王子! 余計なことはしゃべるな。」

「余計なこと、と言うからには、何か隠されている事実がある、ってことですな。」

「ぐ……」


 ジェルがさらっと言ったことに思わず反応してしまうギルさん。逆に言えば、ジェルの言ったことにいくばくかの真実があるってことだ。


「どういうこと?」


 微妙に三人とも黙り込んだので、会話を動かすためにジェルに振る。


「さぁ、私は貴族でもなければ、誰かの父親ってわけじゃないので、想像すらできませんよ。」


 ひょいと肩を竦める。


「ただまぁ、今さらっと聞いた範囲では、何かの悪事をしているわけではなく、そうなると人の噂なんてやっかみ混じりの可能性が。

 あと、第二王女専属の第八騎士団ってハンスさんに拾われた、って言ったところで簡単に入れるものですかねぇ。」


 考えたらキリがないですが、とジェル。


「え? ええ?」


 あ、これか、違和感は。何となくだけど、ソフィアのお父さんに「悪い人」のイメージが無いんだ。別に金儲けだって地位固めだって、全てが全て悪いわけじゃないし、「良い貴族」が「良い人」とも限らない


「ま、家族のことって部外者には分からない話なんだろうけどさ、」

「…………」


 ソフィアの悩んでいる横顔を見ながら言葉を続ける。


「勘違いしたままってぇのはどうかな?」

「うん……」


 ちょっと年相応な顔になってコクンとうなづく。


 あ~あ、あたしよりも年下なのに、難しいもんだね。

 異世界ってぇのも大変だとしみじみ思った。

お読みいただきありがとうございます。

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