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急に気温が下がってきました。
地方にも寄りけりですが、皆さま布団の調整とかにご注意ください。
(……バイバイ、ラシェル。)
「ルビィ!」
すごい不安を感じてガバッと身を起こした。
って、あたし何してたんだっけ。
あたりを見回すと、あたし、というかあたしとジェルが泊っている部屋だ。ベッドに服のまま寝かされていた。というか、ジェル?
「お、目が覚め……ましたか。」
近くの椅子に腰かけて背中を向けていたジェルがこちらを振り返り、一瞬言葉を切る。
「ちょっと失礼。」
いつもの怪しげな機器を白衣のポケットから取り出すと、あたしの右目を覗き込む。
「鏡。」
「はいよ。」
何を知りたいのか理解しているジェルがすかさず鏡を取り出して、あたしの目の高さで止める。
やっぱり……
昨日まで、いや今朝まで赤かった右目が元々のブルーアイに戻っている。
ルビィ、いる?
何度か頭の中で呼びかけても返事が無い。いるような気配もない。
「……行かなきゃ。」
おそらく、あたしが無理をさせてしまったので力を使い果たしたのだろう。もう手遅れかも知れないけど、行かない理由は無い。ルビィとは異世界に来てからの付き合いだ。そんなに長くないとはいえ、四六時中一緒にいたし、ハッキリは聞いてないけど色々重たいものを背負っているらしいので、見捨てるという選択肢はない。
「無理です。」
ベッドから降りようとするあたしをジェルが優しく止めようとするが、そんなもので止まるわけにはいかない。その意思も含めて、ジェルの手をすり抜けてベッドから降りようとして、コケた。
いや、正確に言うとコケそうになった。身を起こした時は気付かなかったが、体力がすっかり失われていて、足が床に着いた瞬間体勢を保てなくて前のめりに顔から落ちそうになる。
「ほら、言わんこっちゃない。」
予想済みだったのか、横からジェルが手を出してあたしの身体を支えてくれる。ジェルの腕の辺りにふにょん、となってしまって、お互いに硬直したが、スルー能力を全開にしてジェルがあたしをまたベッドに腰かけさせる。
「まずは体力の回復です。まずはこれを。」
チューブに入ったペースト状の栄養剤だ。そこまであたしは消耗している、ってことか。そういやぁ、さっき目の色を見た時に顔色が悪かったような気もする。
凄い甘酸っぱい味の栄養剤を水で流し込むように飲んで、次にジェルが差し出した睡眠剤を受け取る。……こりゃ本気で休んだ方がいいらしい。
「あ、ちょっと待って。やっぱ着替える。」
さっきよりはマシになった足でベッドを下りて、ダルいっちゃダルいが、ジェルに背中を向けてどうにかこうにかパジャマに着替える。着替え終わったらジェルが近づいてきたので、手を借りてベッドまで戻る。
まずは腰かけて、隣をポンポン叩いてジェルにも座るように促す。あ、いかん。少し眠くなってきた。睡眠薬いらんかも。
「どうしました?」
「大雑把に状況を教えて。」
「ふむ、確かに。」
知らないと不安でしょうしね、と前置きしてからジェルが色々教えてくれた。
あたしが憶えているのは、模擬戦の最中に魔獣がハンブロンの町に襲い掛かって、それに召喚魔法が関わっていそうだから、ルビィの力も借りてどうにかその魔力の元を探し当てて、指し示したところで気を失ったわけだ。
で、あの後、リーナちゃんが「敵」を見つけて、ヒューイが狙撃して、魔法使いのギルバートさんが閃光の魔法を使って怯ませたところに、ジェルがとどめを刺したらしい。
「その後、倒れたラシェルをこちらに運んだので、後片付けは丸投げです。」
まぁ、それはいつものパターンか。
「これからの…… 予定は?」
……おっと、眠気が強くなってきた。
「もう寝落ちしそうですが?」
ジェルの指摘にも無言で首を振る。
仕方ありませんねぇ、とジェルが言葉を続ける。
「誰かさんの願いを叶えるために行動する予定です。」
面倒ですねぇ、とは言うが、いつもの口調なので口だけだからスルーする。面倒だろうが何だろうが、やってもらわないと。
「非科学的な発言ではありますが、おそらくラシェルが鍵になると思われますので、回復してもらわないといけませんが、時間もあまりかけられません。
なので出発は明日の朝です。それまでに無理やりでも体力を戻してください。」
おおぅ。
でもまぁ、頑張って休まねば。言い方は変だけど。あ、でも……
「出発、ってどこ行くの?」
「王都です。顔の利きそうな人を何人か連れて行きます。」
……王都? そこにルビィがいるってことなの? ハッキリ断定はしてないけど、もしかしてもしかするとルビィは……?
あ、いかん。本格的に眠くなってきた。
たぶん睡眠時間を調整した睡眠薬だと思うので、ジェルから水を貰って飲んで、ベッドに横になる。
ヤバい。すぐに落ちそうだ。その前に聞いておかないと……
「ねぇ…… ルビィ、って……」
部屋を出ていきそうになったジェルがこちらを振り向いて口を開く。
眠気に耐えられなく、声も途切れ途切れにしか聞こえなかったが、肝心なところは聞き逃さずに済んだ。
「彼女の本名はルビリア=レム=コンラッド。
我々がいるこのコンラッド王国の第二王女です。」
MISSION:町を脅威から救おう
......MISSON COMPLETE
お読みいただきありがとうございます。
インターミッション無しで次の章に行く……予定?




