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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:町を脅威から救おう

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乱戦になろう

暑さがひどいことになっているようです。

こちらは北海道なので、まだまだではありますが、暑さに弱い種族なので辛かばい、です。


……本州の方は+10度くらい違うんだよなー 想像できん。

 そう考えると、あたし達の世界というのは恵まれていたんだな、と思ってしまった。

 今、ドローンの映像を通して見ているので、遠い世界の物語に見えるが、残念なことに現実リアルである。

 今は狼に似た魔獣と戦っているのが見えた。主力はガイザックさんが手配した冒険者の一団とテオ達の部隊だ。バモンさんが率いる町の守備を担う兵は人の捕縛には慣れていたが、魔獣相手にはやや力不足だ。

 第八騎士団団長のハンスさんの采配で後方に下げられていて、町の防衛と怪我などにより動けなくなった人の救出部隊という扱いだ。

 テオ達の部隊は治癒役の魔法使い四人と大楯持ちのバズ以外は皆前線に出ている。

 ただ、やはり経験不足と武器が刃を持たない棒というのが決定力を欠いていた。


「いいか、よく聞け! 犬科の動物は牙が武器で、爪はほとんど使わない。後は特徴として、獲物が背中を向けたら反射的に飛びかかってくる。だから……」


 ジェルが拾った冒険者がテオ達に指示を飛ばしている。彼がオオカミっぽい獣に軽く背中を向けるように身をよじると、反射的な行動なのか一体が飛びかかってきた。


「で、狙うのは最高点に達する前だ。」


 素早く間合いを詰めると、まだ上昇中のオオカミの喉に素早く剣を突き刺した。


「棒でものどくらいなら突き破れる。慣れればこんなもんだ。」


 背中をチラ見せしながら、次々に飛びかかってくるオオカミの喉を流れるように剣で切り裂いていく。


「が、こんなもん曲芸だ。人数がいるなら数で押せ、カッコ悪くても生き残った方がマシだ。……まぁ、お前らを教えた奴はその辺よく分かっているようだな。」

「我々の教官は口癖のように『死んだら誰も守れねぇ』と言っておりました。」


 二人で組を作るように指示を飛ばしながらテオが例の冒険者と背中合わせになるようにオオカミたちの相手をしている。


「へぇ、羨ましいな。

 ……おっと、第一陣はそろそろ終わりか。次はデミタイガーか。猫科は爪も使う! が、アイツらの基本戦法は不意打ちだ。最初の一撃だけはしっかり見極めろ。一度動きを止めたら意外と怖くねぇ。」

「聞こえたな! まずはオオカミを狙え。敵を一種類に絞り込め。」

「「「サー、イエッサー!」」」


 テオの指示に周りからの声が返ってくる。その響き渡る声にも迫りくる魔獣たちは動揺の一つも起こさない。なんかこう、時間がかかりそうな感じだ。

 仮に、あたしたち(チーム・グリフォン)が相手するとしたら「敵」の数にもよるが、ヒューイとカイルの火力があればよほどの相手でも対応できる。それよりも多かったとしても、シルバーグリフォン号や艦載機まで出せば…… まぁ、惑星壊し(ステラバスター)までできるんだけどね。……うん、あたしは何もしないし、できないけど。



「あの男、凄いな。派手な強さは無いが、経験が凄い。下手したら俺達でも苦戦するな。ああいう男がいたら、テオ達ももっと伸びるな。」


 俺たちの教えた方は偏るからな、とボヤきながらもカイルがライフルを撃ちまくる。さすがに誤射を嫌って――破壊力がありすぎるからだが――遠くから迫る魔獣の群れに向けているが、思った以上に数が減らない。


 どこからそんなに出てくるものやら。


 ヒューイはヒューイで、魔獣の多さで広がりつつある戦場の観測をリーナちゃんに任せて、劣勢なところのサポートに回っている。

 というか、二人の援護射撃でどうにか戦線を維持できている、というのが素人のあたしにもよく分かる。最後の砦である大盾持ちのバズの所に来る魔獣の数が少しずつ増えてきているし、まだ死人は出ていないが負傷者は少しずつ増えて、モスたち魔法使いの負担も増加の一途だ。

 ジェルもドローンをあちこち飛ばしているが、解決策が見つからない。

 どうするどうする? あたしにできることは……


「!」


 きっと凄い偶然が重なったんだろう。

 色々な人の迎撃をすり抜け、テオの棒をかわし、バズの大盾にも止められず、リーナちゃんの監視から外れて、ヒューイもカイルも反応が遅れて、一体の猫っぽい魔獣が頭上からあたしめがけて襲い掛かってきた。

 とてもじゃないが反応できない。


「ラシェル!」


 いつものようにジェルがあたしの前に移動して、白衣の端を跳ね上げて……動きが止まる。今の今までジェルも忘れていたらしい。そういやぁスタンブレードをミスキスに貸していたんだっけ。

 まともに戦うことがまず無いので忘れがちになるが、ジェルはそんなに運動神経が良いわけじゃない。ジェルが強く見えるとしたら、小細工と下準備を散々用意したうえで、後は心理戦で圧倒しているだけだ。

 ホントに珍しく色を失ったジェルが覆いかぶさってくると、自分の白衣であたしをくるむように抱きしめた。

 あ、これ本気にヤバいパターンだ。



「炎よっ!」


 鋭い声――って誰の声だ――が聞こえると、何かが吹き飛ぶ音が続いた。


「任せろ!」


 そして別の誰かが何かを鋭く振るう音が聞こえると、静かになった。

 視界が晴れる。

 ジェルが立ち上がって、あたしもやっと周りが見えるようになった。


「アイラ!」


 ジェルが焦った声を出したので、後ろにいたはずのアイラを振り返る――そうだ、さっきの声はアイラだ――と、膝から崩れ落ちるところだった。そこをローブ姿の男が支える。


「……大丈夫だ。無理に魔法を使ったから消耗しただけだ。」


 あれ? この声は……


「お~い、ギル! こいつらなんか変だぞ! 紐がついてるみたいだ!」

「おい、バカ王子。俺は止めたよな?」

「その程度じゃあ俺は止められねぇ!」


 何の脈絡もないことを言うと、おそらくあたし達を助けてくれたもう一人のローブの男が戦場に飛び込んでいくと、立派な装飾の入った剣を縦横無尽に振るうと、魔獣を瞬く間に切り伏せていく。まるで竜巻のようだ。

 ただこの乱入で空気が少し変わった。


「よし一度下がって、態勢を立て直せ!」


 ハンスさんの声が飛び広がりすぎた戦線を一度下げる。その分、魔獣が詰めてくるが、そこはヒューイとカイルの弾幕で押し戻す。とはいえ、今のでだいぶ弾薬を消耗してしまったようだ。あんまり長くもたないだろう。

 みんな頑張ってる。怪我をしても治してもらってまた戦ってる。遠くでリリーとミスキスが飛んでいるのが見える。アイラだってたった一発で消耗するくらいなのに魔法を使ってくれた。


 あたしは何もできてない。


 あたしは何ができる?


 あたしに何かできないの?


 あたしも何かしなきゃ。


 あたしも…… 何かしたい!

お読みいただきありがとうございます。

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