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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:町を脅威から救おう

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ツイてない男の話(2)

視点:雇われた男


ちょっと短いかもです

「…………」


 目を開いたら青い空とカンカン照りのお日さんが見えた。俺はどうやら倒れていたらしい。

 ああ、思い出した。王都の第三騎士団と一緒に模擬戦をすることになって、ボロ負けしているところに俺も出たら、見事にやられたんだな。

 変な身体の不調があったのもあるが、空飛ぶ板に乗った二人の少女にやられたんだっけな。一人が全力で俺を攻撃して、もう一人がその隙に後ろから、と。見事な連携だったな。

 最後のしびれるような攻撃が何かは分からないが、未だに身体に微妙に力が入らない。

 どうにか身を起こして、あたりを見回すと、俺が連れてきた若いのも倒れていた。そして、第三騎士団の奴らは天幕だけ残して皆いなくなっていた。何とも薄情なこった。

 それにしても周りが妙に騒がしいし、町からは何度も鐘が打ち鳴らされている。鳴らし方にそれなりにルールってもんがあるが、それでもアレだけ鳴らされるのはトラブル以外の何物でもない。そして俺はそれに巻き込まれているのが常になりつつある。


 ……やっぱツイてねぇ。


 十中八九、第三騎士団からは何ももらえないだろうし、下手したら前金すら取り上げられるかも知れない。

 逃げ出した方がいいんだろうけど、身体に力が入らないし、荷物のほとんどを町の宿屋に置いてきている。そして俺のちっぽけなプライドが逃げるのを良しとしない。

 そういやぁ、戦ってたあいつらも姿が見えねぇな。観戦していた町の奴らも見当たらない。

 そして、向こうから二人ほど近づいてくる。

 一人は俺を倒した少女と同じ年くらいの金髪の娘だ。もう一人は…… ありゃ、トラブルが服着たような奴だ。白い服のポケットに両手を突っ込んで、妙な魔道具みたいのを目につけている。


「取引、というか、契約しませんかね?」


 白い服の男が笑った。こういう言い方をされたときは、良かったことが一度もねぇ。……ああ、ツイてねぇ。



「ガイザックさんに聞きました。

 ベテランだがどうも巡り合わせが悪くて、伸び悩んでいるそうで。」


 ちっ、痛いところを突いてくる。ガイザックは昔どっか辺境の方で会ったことがある。引退したとは聞いたが、こんなところでギルド職員とはな。


「現状を簡単に説明すると、魔獣の群れが町に迫ってきています。人数もそれなりにいますが、練度はともかく、経験が圧倒的に足りません。第八騎士団の団長が指揮を執っていますが……」


 ああ、おそらくはアイツらだな。確かに対人戦はそれなりにできたが、魔獣相手には力不足だろう。

 ああ、くそっ。次の言葉が容易に想像できる。


「アレだろ? 魔獣退治のベテランが一人でもいたら、って言いたいんだろ?」

「話が早くて助かります。そんなわけで契約しませんか? 誰かと違って安く買い叩きはしませんよ。」


 ああ、こいつは悪魔だな。甘言で人間をたぶらかして魂を奪う奴だ。


「じゃあ、白金貨一枚だ。それでお前の考えた通り働いてやる。」


 金貨百枚だ。出せるもんなら出してみやがれ。


「あ、それでいいので?」


 そう言うと、白い服を着た男が無造作にポケットから手を出すと、指先で何かを弾いた。クルクルと陽光を浴びて銀色を光るそれを、力の抜けた手でキャッチする。ズシリと重い感触がする。

 あ~ こいつはホントに悪魔だ。人間が欲しがるものを着実に突いてくる。俺だって何度も触ったことないが、この心が躍る感覚は忘れるわけないだろうが。


 でも確認するために手を開く。


 手の中に銀色に輝く硬貨がある。銀貨じゃない。正真正銘の白金貨だ。硬貨の偽造は重罪だ。俺を騙すためにそんなことはしないだろうし、この重さは本物だ。


「ついでに身体の痺れもとりましょうか。」


 白い服の男が俺に近づくと無造作に手を伸ばす。首の所に何か当たり、身体に何か染み込むような不思議な感覚がすると、不意に痺れや脱力感が抜けていく。


「てめぇ…… 何者だ?」


 軽くなった身体で立ち上がると、男を睨みつける。どう見ても荒事に慣れてないような雰囲気だが、どうも斬りかかれる感じがしねぇ。長年の勘って奴だ。ちなみに金髪の娘に斬りかかった方が危険に感じるのは何故だ?


「何者なんでしょうねぇ?」


 はぐらかすように言う男の服を、金髪の娘が何が言いたげにクイクイ引っ張ってる。


 ……なるほど、主導権はこの男で、ただ娘の方はもう少し常識的で、話が通じやすいのかも知れない。何か頼むならこっちを通してにするか。


「とにかく、契約は果たされました。後は実行するだけでしょ?」


 ああ、くそっ。貰うもんも貰っちまったし、やらないとダメじゃねぇか。少なくとも今まで俺は、俺から裏切ったことは無い。


 ……だからこそ、貧乏くじを引きまくったんだろうな。


 ああ、ツイてねぇ。


 なんでもっと早く、こういう奴らに出会えなかったんだろうな。


「しゃーねぇ。貰った分の仕事はしねぇとな!」


 自分に言い聞かせるように声に出す。


「あ、そこの二人の目が覚めたら、後を追うように言っといてくれ。」


 おっさんばっかり働かせてどうする。ったく。

 ボヤキながら走ると、すでに戦闘が始まっていた。

お読みいただきありがとうございます

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