迎撃の準備をしよう
最近、疲労が疲れて、軽く横になるとすぐ眠ってしまいます。
……もっとゲームがしたいのに!(書けよ)
「まず順番にいきましょう。
南門にライフルを用意しますので、ヒューイは援護を、カイルは大物を狙い撃ちしてください。」
「了解。」
「いいぜ。」
二人が走っていく。
「申し訳ないですがサクさんは遊撃を。」
「うむ、心得た。その、あれだ、ジェラード殿、拙者のことはもう少し頼っても良いからな。しからば御免!」
トン、と地面を蹴る音を残して、サクさんが黒い疾風となって消えた。力の大半を失った黒竜のサクさんだが、それでも身体能力は人間を遥かに上回っている。鍛錬をしているのも身体の感覚を確かめるためだったそうで、今はその能力を十二分に発揮できるそうだ。
「さて次は……」
「ハカセ! あたし達も行けるよ!」
「うん……」
リリーとミスキスがジェルの白衣をクイクイ引っ張る。予想はしていたのか、渋い顔で振り返る。
「本音を言うと、模擬戦ならともかく、命がかかるような戦闘には参加して欲しくありません。」
「うん、そのハカセの気持ちは嬉しいけど、あたし達もこの町の住人だよ。戦えるなら戦いたい!」
「みんなの平和、守りたい……」
「こちらの女性は逞しいですねぇ。」
退く様子のない二人に、ジェルが小さく天を仰いで息を吐く。少し考えて、首を振る。
「止めたところで聞かないでしょうしねぇ。私が偉そうに言うのもアレですが、危険を感じたらすぐ逃げてください。逆転の手段なんていくらでも用意しますので。」
「うん、わかった!」
「……ついでに、アレ貸してほしいかも。」
ミスキスがジェルの腰のあたりを指さす。
「コレ、ですか……」
白衣の裾が軽く跳ね上がると、ジェルの手の中に一本のバトンが現れる。ジェルの秘密兵器の一つ、スタンブレードだ。電撃の刃と、不可視の刃を生み出せる便利グッズで、どういう理由かは知らないが、ジェル本人とあたしとリーナちゃんしか使えない。
「でもこれは……」
「知ってる。でもラシェルとリーナが使えるなら、あたしもリリーもきっと大丈夫。」
無言で手を差し出すミスキスに、どこか根負けしてジェルがスタンブレードを手渡す。
「見てて……」
手元のスイッチを操作すると、うっすらと発光した「刃」が現れた。さすがのジェルも驚いた顔をする。
……そうか。何となくだがスタンブレードを使える条件が分かったような気がするが、それはそれで釈然としないものがある。
「ほら、できた。……ちゃんと手渡しで返すから、貸して。」
ジェルが助けを求めるような目をあたしに向けるが、あたしから言えることは無いので小さく首を振る。あたしだってちゃんと戦えるなら、リリーやミスキスと同じことを言い出しただろう。
「……分かりました。まずはこれを渡しましょう。」
ジェルが白衣のポケットからゴーグルを二つ取り出す。
「リリーもこれを。高速で飛行するなら目を守った方がいいです。ミスキスも。ついでに見えないバリアブレードの刃が見えるようになっていますし、お互いの位置が分かるようになっています。」
「お~」
「……なるほど。」
「何度も言ってますが、そんな装備なんかいくらでも作れます。二人が無事に帰ってくる方がずっと大事です。」
まぁ、スタンブレードはワンオフ品らしいので無くされると困るらしいが、そんなことはさすがに口にしない。
分かりづらいがジェルが表情を引き締める。
「何度も言うのもエレガントではないですが、無茶はいけません。無茶したらガッツリ叱ります。お尻ペンペンくらい。」
「下品か!」
思わずツッコむとリリーがプッと噴き出す。
「ハカセ、エッチだー!」
「……ちょっと、いいかも?」
笑うリリーに対して、ミスキスがちょっと頬を染めてクネクネしだす。その様子を見て、リリーがちょっと考え込んで、どんな想像になったのか顔が赤くなる。
ジェルが心底本気の目であたしに助けを求めてきた。うん、あたしも想定外だよ。……やっぱり「それ」がスタンブレードが使える条件なんだろうか。
それはまぁ、考えれば考えるほど泥沼にはまりかねないので、今はスルー。とりあえず二人になったクネクネにジェルの代わりにチョップを落とす。
「「いたっ。」」
「そーゆーのいいから。
……でもホントに怪我としないでね。」
「りょーかい!」
「わかった。」
二人で頷き合うと、ホバーボードに乗って町の方へと飛んでいった。
「次にアイラですが、」
「…………」
「また屋台のようなことを頼むのは心苦しいのですが、戦っている皆さんの補給をお願いいたします。南門の所にキューブを待機させています。戻ってきた人の様子を見て、おかしかったらすぐ連絡をください。」
人は自覚症状が無くてもヤバいことがある、って言ってたっけ。
「分かりました!」
自分にも役目があると分かってちょっと落ち込みがちだったアイラが笑顔で駆けて行った。
……と、残りはあたしとジェルとリーナちゃんか。
「あの、私も……」
「ダメです。」
リーナちゃんが言いかけたところを即座に却下する。
「その前にやることがあります。」
すでに第三騎士団は撤退したのか、天幕も片付けられている。結構怪我人いたと思ったが、早いねぇ。
……あれ? あの助っ人の冒険者の人達、残されている、というか放置されている。気を失っているとはいえ、薄情な。
「ええ、ちょっとできることはやっておこうかと。」
そう言うと、ジェルはその倒れている三人の方に歩いていくので、あたし達も後を追った。
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