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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:模擬戦を勝利しよう

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模擬戦を見学しよう(3)

う~ん、時間はあったはずなのだがー(言い訳言い訳)

「ええい! 第三騎士団の名誉に為に絶対に勝たねばならぬ!」


 生き残った(いや、死んではいないのだが)第三騎士団の連中が腰の・・剣を抜いた。

 白刃が陽光にきらめく。

 さっきまでは刃を潰した訓練用の剣だったが、今度はマジモンの剣だ。しかもまぁ、金に飽かせたのかそこそこの名剣揃いっぽく見える。……正確に言うと、名剣かどうかは知らないが金がかかってるのは何となく分かる。

 とはいえ、金属で刃の形をしていれば十分に殺傷力はある。ちなみに言うまでも無いがルール違反である。


「お嬢、姫様、姐さんは下がってくれ。」

「あたし達も戦えるよ!」

「私もです!」

「……うん、そう。」


 テオの指示に難色を示す少女三人。


「あ~ 訂正します。ちょっと本気でやりたいので、」


 テオが三人から顔を逸らす。


「……俺たちの獲物を取らないで欲しい。」

「「「…………」」」


 三人で頷き合うと、あたし達の座っている辺りまで下がってきた。とはいえ、場外には出られないので、まだまだ距離がある。

 と、リリーがこっちを向いて、口をパクパクさせる。あたしの横を指さしているので…… ああ、ジェルのことか。

 とりあえずジェルが消えた方を指さして、後は分からない、と言うように大げさなポーズで肩を竦めた。

 目の上に手をかざして、あたしが指さした方を見ているが、まぁ見つからないだろうな。あいつは普段目立つ白衣なんか着ているくせに、姿を消しだすと全然見えなくなる。不思議でしょうがないが、まぁジェルだし、という魔法の言葉で諦めがつく。

 ちなみにリーナちゃんも誰かを探すようにキョロキョロしていたので、ヒューイが消えた方を指さすと、ちょっと残念そうな表情を浮かべて小さく肩を落とす。



 その間にも隊列を組みなおした双方が睨み合いを続けている。人数に差があるからテオ達には余裕が見えるが、第三騎士団側は実剣まで抜いてしまってすでに後がない。本来ならテオ達が抗議すれば反則負けになるのだろうが、敢えてしていないようだ。

 どんな形ですら「勝って」、後は社会的な力任せな手段でうやむやにしよう、ってとこだろう。

 さっきの反省を生かして、行軍速度を合わせて進んでくる。ときの声を上げて一気に攻めてきた。

 が、


「バズ、行くぞ!」

「おおっ!

 うらあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 向こうの全員分の声を倍するくらいの咆哮が大楯持ちバズの口から放たれた。おくしたのか、第三騎士団の足が一瞬止まる。

 一度足を止めたところからまた動き出すのはなかなか大変であろう。その間に大楯を構えたバズが特攻してきた。

 真正面から受け止めるにはバズの重量と速度を考えると無謀の一言だ。逃げ損ねた奴らが反撃とばかりに剣を叩きつけるが、ジェル謹製の大楯がその程度で打ち破れるはずもない。この世界には無いが、まるで車にねられたように吹っ飛ばされる。


 あ~ 折角の高そうな剣も折られているな。勿体ない。


 そして上手いこと大楯の突進を避けられた人たちも、大楯の裏に隠れて一緒に走ってきたテオ達主力小隊に叩きのめされる。

 さっきと同じ光景かと思われたが、なんか様子がおかしい。

 一方的に袋叩きにしているのは変わらないのだが、前は相手がうの体で逃げ回ったり、気絶させられて場外に出されていたような気がするが、今は手や足を押さえてのたうち回っているのが目につく。


 もしかして……


「ありゃあ、骨折れてるな。」


 ガイザックさんが痛そうな顔をして解説してくれた。


 おおぅ、やっぱりそうか。


 理屈は分かる。さっきまではまだ手加減していたんだろうが、相手が実剣を抜いたり失格になっても戻すようなことをしてきたので、その必要が無くなったのだろう。


「『試合』の内はいいが、『戦い』になったから女の子は下げたんだろうな。」


 というのがカイルの弁だ。

 甘いと言えば甘い考えなんだろうけど、まぁそういうの、嫌いじゃない。

 手や足を痛めつけられ戦闘力を失った第三騎士団のメンバーに棒を突きつけて動きを封じる。たまに悪あがきをする人もいたが、その場合はもっと痛い目に遭わされていた。

 気づくと立っているのはテオ達と向こうの一番偉そうなのだけになっていた。


「くそっ、くそっ! 平民が生意気な!

 所詮は平民か。ズルをしないと我々誇りある騎士には勝てんか!」


 ……えー こいつ記憶力無いのか?


「分かりました。誇り高い騎士殿なら一対一で勝負していただけますか?」

「何? よ、よし分かった。この私が勝てば、我々の勝ちだ。それでいいな!」


 テオの返事も聞かずに剣を抜いて斬りかかってくるが、冷静にそれを棒で受け止める。


「そんな棒きれで剣に勝てるとおもうか!」


 ……急に強気になったのは武器の差か。しかもこっそり勝利条件を変えてきている。セコい上に図々しい。

 ただ武器の差で言うなら、あの棒だってジェル謹製の優れものだ。特殊な樹脂を染み込ませて、木よりは重いが鉄よりは軽く、それでいて鉄以上の強度を持っている。……うん、思い返すとこっちの方がズルいな。

 力比べでは不利かと悟って、相手が距離を離す。と、次の瞬間、テオが構えを変えた。


「突けば槍、」


 鋭い突きが相手の手に突き刺さると、相手は思わず剣を取り落してしまう。


「払えば薙刀なぎなた、」


 剣を拾おうとするところにテオが一歩近づいて、持ち手を変えた棒を横に振るうと、相手の足をすくい上げ転ばせる。


「構えれば太刀たち、」


 最後に剣のように構えた棒を相手ののど元に突きつける。


「杖はかくにも外れざりけり、だそうです。

 棒ではなく、杖の戦闘術です。

 ……そろそろ降参してくれませんか。」


 結局、第三騎士団はテオ達を一人も倒せずに全滅してしまった。誰がどう見ても勝負ありだ。

 領主兼、今回の審判のジェニーさんもどこで声をかけようか様子見している。


 ……そして、決着がつく前に、つんざくような鐘の音が何度も何度も鳴り響いた。

お読みいただきありがとうございました。

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