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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:騎士団を鍛えよう

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差し入れに行こう

……また次回ー!(脱兎)

 カイルたちが森にこもって二日ほど。


「様子見にでも行きますか。」


 作る物も作っちゃいましたし、とどこか暇つぶしみたいなことを言い出す。


「一度どこかでは行こうと思ったのですよ。届け物もありますし。」


 暇つぶしにいいでしょ? と身もふたもないことを言い出す。


「あ…… ヒューイさん達の所に行かれるのですか?」


 厨房からリーナちゃんが顔を覗かせた。


「そうみたいよ。」

「それでしたら…… その、差し入れをお願いできますか?」

「時間かかるかい?」

「えっと……」


 ジェルに聞かれてリーナちゃんが時計に目を向ける。昼食には早いが朝と言うほどの時間ではない。


「一時間ほどいただければ、皆さまの分と、博士とラシェルさんのお弁当まで用意できると思います。」

「ふむ、それは助かる。こちらもまだ準備があるからな。任せるよ。」

「はい。」


 にこやかに返事をすると、リーナちゃんが心無しウキウキとした背中を見せて厨房に戻っていった。おーおー、嬉しそうに。


「さて、」


 ポチポチと腕の端末を操作すると、ジェルの指示で汎用箱型作業機械キューブが壁から湧き出てくると、色々作っていた棒とか大楯を外に持ち出して、ピックアップトラックのワイルドパンサーに積んでいく。

 たくさんの補給品を積むと、リーナちゃんの差し入れ待ちだ。


「お待たせしました。」


 台車に大きなコンテナを乗せてリーナちゃんが戻ってきた。そういやぁ、向こうには四十人以上いるんだっけ。


「随分とまぁ。」

「アイラさんにも手伝ってもらって、少し日持ちするものも用意しました。」

「手伝ったよー」


 厨房からアイラが手をヒラヒラ振りながら、何かを期待するような顔をしている。


「アイラもありがとうございます。」

「えへへー」


 嬉しそうな顔が引っ込んでいった。

 モヤモヤする、とまでは言わないが、なんかこう、シャクだ。

 そんなあたしの内心をおもんばかるキューブもおらず、四体がかりでコンテナを持ち上げてワイルドパンサーへ積み込んでいく。

 そこまで終わると、ワラワラとキューブたちも荷台に乗って、自分たちも含めてワイヤーで梱包して、隙間なく積み込まれた。


 準備完了、かな?


 どこらへんで頑張ってるか知らないが、今から出たらちょうど昼くらいに到着だろう。

 さ、どうなっていますかね?



〈この車体だとさすがに狭いですね。〉


 ピックアップトラックで森の中を進むのはなかなか大変だ。ジェルはさっさとパンサーに運転を任せてしまっている。


「方向は分かるか?」


 通信すれば一発なんだろうけど、可能な限りサプライズを狙って、何も言わずに向かっている。意味があるかどうかは別にして。


〈何というか、激しい生体反応が前方から感じられるので間違いないかと。〉

「激しい、ねぇ…… 何やってるのやら。」

「訓練なんじゃないの?」

「いや、それは分かるんですがね。」

〈人の声を確認。チューニングします。〉


 パンサーが停止、沈黙が降りると、周囲の音を拾い上げて増幅し、必要な音だけを抽出する。


(ザ…… ザザッ……)


 お、何か聞こえてきた。


『オラオラ! ちんたら走ってるんじゃねぇぞ。』

『『『サー、イエッサー!』』』

〈ええと、やっている、ようですね。〉

「そうですな。

 ……ただ、宇宙条約では捕虜に対する拷問は禁止されているんですがね。」


 捕虜でもないし、拷問でも……ないよね?


〈まぁ、場所は特定できたので、行けるだけそちらに向かいましょう。〉


 再びパンサーが走り始める。森の濃度が増して木々の間が更に狭くなる。


〈残念ながら、もう少しで私では進めなくなりそうです。〉


 後は歩きですね、とアッサリ言うパンサーに、ジェルがげんなりした表情を浮かべる。


「……帰りますか。」

「実に魅惑的な提案だけど、さすがにここで戻ると無駄足過ぎるし、リーナちゃんのお弁当も美味しくなくなるよ。」

「ぬぅ…… 正論とは卑怯な。」

「はいはい、いいから行くよ。」


 ウダウダ言っててもしょうがない。もう少し進んだところでパンサーが止まった。

 後ろはともかく、前方にピックアップトラックが通り抜けられそうな隙間は見当たらない。そりゃ、無理やり通る手も無きにしもあらずだが、する理由もメリットも乏しい。


「もうやだぁ、ヒール履いてきたのにー」


 くだらない棒読みで、白衣のポケットに手を突っ込んだままトボトボ歩き始めるジェル。ホントに履いてたらへし折るところだ。

 足を進めていくと、少しずつ森の静寂が怒号や悲鳴じみた声に破られていく。

 おいおい、大丈夫なのかい。


「ん? 来たのか?」


 不意に上から声が降ってきたので見上げると、ライフルを持ったヒューイが太い木の枝に腰かけていた。


「補給をちょっとな。あとリーナからも差し入れがある。」

「お、それは楽しみだ。

 カイル! ちょっと時間が早いが一息入れよう。リーナちゃんから差し入れだ!」

「マジか?!」


 さらに森の奥からデカい声が聞こえてきた。ドスドスと森をかき分けながら大男が駆け込んでくる。


「お、マジっぽいな。

 よし! 野郎ども喜べ! 旨いメシだ! まずは身ぎれいにして並べ! 遅れたら当たらなるぞ!」

「「「サー、イエッサー!」」」


 すぐさまカイルの後に、テオ達の部隊が一糸乱れず整列する。

 聞こえた感じだと、おそらくカイルのシゴキで疲労困憊ひろうこんぱいだったはずだが、ズラリと並んだ姿には笑顔まで浮かんでいる。凄い回復力なのか、それとも……


「男って単純な生き物でな、女の子の作ったご飯と聞きゃあ、そりゃ皆元気になるさ。」


 ……ああ、そうかい。

お読みいただきありがとうございました。

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