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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:騎士団を鍛えよう

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お願いをされよう

ちょっと時間配分というか、日数の配分を間違えて、ちょっとばかり時間オーバー。


この前咲いたばかりですが、もう桜が散るようになりました。

……って、最初からそういうものですよね。

「それでですね、リーナと、リリーさんとミスキスさんにお願いがありまして。」


 朝食を済ませると、ヒューイがカイルを追ってテオ達の訓練に向かっていった。

 となると「雄牛の角亭」の中には男がジェル一人で後は見目麗しい女の子ばかりだ! ……とまでは言わないが。

 名前を呼ばれた三人が首を傾げながらジェルを見る。


「なんでしょうか?」

「なになにー?」

「……なに?」


 リリーとミスキスがあたし達のテーブルに着くと、リーナちゃんが全員分のハーブティをいれなおしてくる。


「聞いてるとは思いますが、何日か後に、この国の第三騎士団というなのボンボンの集まりと、テオ達が模擬戦闘を行います。」


 長くなるのでかいつまんで説明すると、三人まで参加可能な助っ人を、この三人にお願いしたい、という訳だ。


「言い方は悪いですが、相手(第三騎士団)は調べた範囲では腕はそこそこながら、中身は追いついてないようで。」


 つまりだ、その見目麗しい娘さんを配置することによって、向こうの下心を誘って有利に進めよう、という企みだ。


「基本は逃げに徹してください。捕まったらアウトの気分で、というか、そうなったらちょっと干渉させていただきます。」


 うん、まぁ、か弱い女の子達だからね。ちょっと過保護すぎる気がするが、ジェルの通常運転なので問題ない。というか、そもそも踊り子さんはお触り禁止だ。


「正直なことを言うと、助っ人なしでもいけると思いますし、やっぱり危険がありますので、無理にとは言いません。」


 まぁ、リーナちゃんはOKだろう。あの子がジェルの頼みを断るはずがない。リリーとミスキスだけど、この二人も断らなそうなイメージあるなぁ。


「私でお役に立てるのでしたら。」


 と、謙遜のリーナちゃん。でもまぁ、こんな後光が差しそうな超絶美少女なのに、自分よりも大きい男を正面から一方的に殴り倒したことあったんだけどね、ホントよ。


「私もか「待ってミス姉ぇ!」


 言いかけたミスキスをリリーが遮った。

 そのまま疑問符を浮かべるミスキスを厨房の方に引っ張っていって、そこにいたアイラも巻き込んで、女の子三人でヒソヒソと顔を突き合わせる。

 気のせいか(ミスキスは分かりづらいが)目がキラキラして見えて、その明るい表情とは裏腹に、なぜか嫌な予感がする。勘としか言いようないが、なんか外れる気がしない。

 色々打ち合わせが終わったらしい。リリーがどこかニコニコしながら戻ってくる。


「ハカセ、ハカセー。やってもいいけど、一つ条件があるー」

「あるー」


 拳を突き上げるリリーと、一応同じアクションをしているらしい棒読みのミスキス。後ろでアイラがワクワクしながら見ているような気がするのは何故だ?


「え~と、リリーさん、何でしょうか?」

「あたし達を『さん』づけで呼ぶのは止めるのだー」

「やめるのだー」


 ……はぁ?


「当然、アイラも同じように呼ぶのだー!」

「のだー」


 ええと、と言いたげな顔でジェルがこちらを見る。珍しいことだが、おそらくあたしに助けを求める視線だ。


 細かいことであるが、ジェルは慇懃無礼と言うか、誰相手にも丁寧口調である。特に女性相手の場合は謙虚だ。ただそれは、距離を置きたいがための「壁」だ。

 ジェルが保護者の立場になるリーナちゃんと、理由は不明だ(と思いたい)あたしは身内扱いなのか呼び捨てである。


 ……そう考えると、あたしって「特別」なのかねぇ? あたしとジェルの関係って考えないようにしているんだけどさ。

 いいんじゃない、と言おうとしたけど、なんかこう、素直に言いたくない自分もいる。


 ん~ なんだろこの気持ち。

 ええぃ、やめやめ。あんまりグチャグチャ考えても仕方がない。


「いいんじゃないの?」


 それなりに考えて、口添えをしたが、ジェルが驚いたような顔をした。気になったが、スルーすることにした。


「いや……なの?」


 リリー、その顔は反則だ。

 年下系・妹系の魅力全開の上目遣いがハートを直撃する。さすがのジェルもこれを断るのは無理と悟ったらしい。小さく首を振って、リリー達に向き直る。


「分かりました。何が良いのか分かりませんが、それがご希望でしたら。

 ……リリー、ミスキス、アイラ。

 これでよろしいですか?」


 そう呼んだだけで、呼ばれた三人(一人分かりづらいが)がパーッと顔を明るくする。


「おおー、これでラシェ姉ぇと同じだ!」

「…………」

「ちょっと…… いいかもです。」


 表現方法には差があるが、それぞれが喜びの表情を浮かべている。


「意識するようにしますが、あんまり慣れていないので、時折さん付けになったとしても気にしないでもらえると助かります。」


 さて、とジェルが話題を変えるように言葉を切る。


「本日のテオ達の体力づくりの訓練は午前中で終わらせる予定です。午後からは座学と、作戦の説明をいたします。その際に、リーナ、リリー、ミスキスの割り振りも説明します。」


 やる気は感じられない口調だが、手を抜くつもりは無いようだ。

 さてさて、相変わらずあたしは何もできないわけだが、それはいつものことなので、傍観者として楽しむことにしよう。


 ……しかし、なんかモヤっとするなぁ。

 ちなみに、


「おお、楽しそうであるな。拙者も彼女たちと同じように呼んでもらえるかな?」


 窓際にいた黒竜のサクさんが、今の会話を聞きつけて、ツツツと近づいてきた。


「いえ、年上の方を呼び捨てにするわけには。」

「ほぉ?」


 サクさんの纏った雰囲気が変わる。妙齢の美女に見えるサクさんだが、その実態は力を失っているとはいえ、ドラゴンなので、その年齢は推して知るべし。


「ああ、間違えました。目上の方には、ですね。」

「本当に間違えたのかどうか、ジェラード殿の身体に聞いてみるしかないようだな。」

「おっと、質問料は高いですよ。」


 そして「雄牛の角亭」の中に血の花が咲く。


 ……なんてことがあったかどうだか。


 お読みいただきありがとうございます。

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