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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:騎士団を鍛えよう

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一つ目の方策を考えよう

相変わらず、自分的に時間オーバーです。

う~む、昨日まではイケそうな気がしたのですが。

「テオさん。今から負ける気ですか?」

「な……!」


 ジェルに言われて、テオが驚いて顔を上げる。


「勝つ気が無いなら、さすがに手助けしてもねぇ……」

「そ、そんなことありません! ただ……」

「ただ?」


 あたしも口を挟む。


「勝つ保証が欲しい? 負けない保証が欲しい? 手段を選ばなくていいならどちらもジェルが用意するよ。」

「他力本願ですな。」


 悪い?


「正直で結構とは思います。

 出来ないことを認めないのも、できることを信じないのも、運が向いてきませんよ。」


 ねぇ? とジェルがテオに振る。


「……二人とも俺たちが、一応は正規の訓練を受けてる、あのクソムカつく第三騎士団に勝てる、って思うのか?」


 お、ちょっと目の色が変わった。

 さっきまでおそらく「騎士らしい」口調だったのを止めて、荒々しい感じに変わった。こっちが間違いなく地なのだろう。


「うむ、若者はそっちの方がええのぉ。型にはまるのはいつでもできるからな。」

「そんな!」


 なんか二人して散々テオの口調を注意してなかったっけ? と思ったら、ソフィアさんが凄く裏切られたような顔をしていたが、ハンスさんはどこ吹く風だ。


「さて、先にやる気の無くなる話をしましょう。考えられる向こうの悪事です。」

「……確かに気が滅入るな。」


 ハンスさんが遠い目をして、ソフィアさんが難しい顔をする。テオは不思議そうな顔をしているので、実に心配だ。


「先に悲しい現実を教えておきましょう。

 向こうはアホですから、どんな方法でも勝てばどうとでも誤魔化せると思っています。最終的には口封じまで考えているかも。」


 あ~ そういやぁ、あたしたち(チームグリフォン)にケンカ売った形になった貴族が破滅したっけ。ただあたしたち(っていうか、ジェルたち)じゃなかったら、逆に貴族たちにいいようにされていただろう。


「まぁ、こっちは庶民らしく、小細工で行きましょう。」


 ピッとジェルが人差し指を立てる。


「考えられるのは、武具・伏兵・後は人材ですかね?」

「まぁ、妥当だな。」

「おそらく武器に関しては鎧は金に飽かせて金属製。武器は普段使っている物がどうとか言って、刃引きしない武器を持ち込みかねませんな。」


 おお、卑怯だ。


「続いて伏兵。

 平原だからそんなにも隠せないでしょうけど、見学人はいるでしょうから、何かしらの妨害をかける可能性はあるでしょう。」


 なるほどなるほど。


「最後は人材。

 おそらく助っ人として結構な凄腕を連れてくることでしょう。あとは審判を抱き込めれば…… ですかね?」

「良くそこまで色々思いつくものだ。」


 あ、なんかソフィアさんに呆れられた。

 まぁ、フォローはしない。


「さて暗い話はそこまでにして、こちらの状況把握です。テオさん。おそらくはあなたの仲間の方は武器の扱い自体、さほど慣れていないのでは?」

「その通りです……」


 曰く、テオの部隊はほとんどが平民上がりで、幾人かがいわゆる「冒険者」を経験しているが、残りはほとんど「棒を構えて振る」が精いっぱいだそうだ。


「いいじゃないですか、棒。元々そのつもりでしたし……」


 腕のコンピュータをポチポチ操作すると、壁の一部が切れて箱型汎用作業機械キューブが一体出てきて、店の裏へと回っていく。見慣れない三人が驚いた顔をするが、今更なので気にしない。というか、ジェルはワザとやってるので、一種の通過儀礼みたいなものだ。

 少し経つと、キューブが二本の棒を持って戻ってきた。長さは八十センチと、その倍くらいの長さである。色は真っ黒で――どっかで見たことある色だが――まぁ、その「棒」だ。


「これは何の変哲もない木の棒です。色は黒いですが。」

「黒い…… これは?!」


 短い方の棒をキューブから手(?)渡されたテオがそれを握りしめると、驚いたように目を見開く。


「ちょっと失礼します。」


 店内のテーブルを少し動かして空間を作ると、棒を構えてから縦に横にと振り回す。


「軽い…… でも硬い。そして手になじむ重さだ。」

「なるほど、心得があるようですね。それなら話が早い。

 どうせ今回は刃引きの武器を使うのです。それなら剣だろうが棒だろうが同じです。変に刃筋を気にする必要がないだけ、使い勝手は良いことでしょう。」


 あぁ、思い出した。


 あの黒いのは狐の獣人のカエデが愛用(笑)している暗黒馬車にも使っている樹脂だ。木材に染み込ませると、少し重くなるが、鉄以上の強度にするものだ。

 木製ってことは材料さえあれば大量に――それこそ四十人分くらい――作るのも簡単だ。


「簡単に剣としての棒と、槍としての棒の二種類を用意して、それぞれの特性に合わせて隊を半分に分けて訓練します。」

「なんか…… 勝てそうな気がしました。」

「まだまだです。カイルとヒューイの特訓を受けて、まだ立っていられたらやっとスタートラインです。」


 おお、厳しい。


「うぉっ、何だこれ。ホントに木か?」

「これは…… 私も何本か欲しいものだ。」


 なんか後ろでギャラリーがなんか騒がしいが、テオの目の光が強くなっている。


「まぁ、カイル曰く、鍛錬と筋肉は裏切らないそうです。まぁ私には分からない境地ですが。気楽にいきましょう。どうしようも無くなったら盤面をひっくり返すくらいはできますから。」


 それはヤメロ、と言いたいが、何かあったとしたら、それはそれでいわゆる臨機応変だ。


「でも折角だから勝ちましょう。そっちの方が絶対に面白いです。」


 ジェルの言葉に、テオが直立不動になって、打ち鳴らす。


「サー、ご期待に沿えるように努力いたしますです、サー!」


 誰が教えたのか知らないが、それは実に堂に入った敬礼であった。

お読みいただきありがとうございます。

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