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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:騎士団を鍛えよう

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面倒ごととやらを聞こう

説明回なのでちと長いです

「これは旨いな。……酒が欲しくなる。」

「…………」

「…………」


 感想を述べるハンスさんと、喋るのも惜しむかのように食べ続ける二人。

 それでも食べ方の品の良さにだいぶ差がある。何となくだがあの若者はそれこそ「平民」ってやつの出かも知れない。


 おっと、見ていてもしょうがない。

 あたしも食べるとしよう。


 お(おいしいの……)


 またセリフ取られた。

 でもやっぱりルビィの様子が変だ。ハンスさんとソフィアさんを見てからだ。

 うん、詮索は止めておこう。

 ご飯は気分よく美味しく食べるのが一番だよね、ルビィ?


(う、うん……)


 あ~ ルビィにセリフ取られて忘れるところだった。今日の昼ご飯はジャガイモ入りオムレツ。細切りにしたジャガイモにタマネギやベーコンかそれに近いものを適当に入れて、塩胡椒強めで炒める。炒めた物を冷ましてからたっぷりの卵に入れて混ぜて焼いたものだ。

 シンプルながらも作り手の腕が問われる料理かも知れない。……うん、あたしにはちょっと無理だし。


「ジェラードさん、どうですか?」

「ん~ まずは良くできています。強いて挙げるなら…… 塩加減が気持ち弱いかと。あともう少し冷ましてから卵液に入れるべきでしたね。少しムラが感じられます。」

「……なるほど。」


 ポケットからメモ帳を取り出すと、さらさらとペンを走らせる。ちなみにあたし達の世界の筆記用具だ。

 その中身はすでに文字で真っ黒で、実はすでに三冊目だったりする。更にノートに書き写しては整理しているので頭が下がる。


「なんだ兄ちゃん、随分厳しんだな。」

「これでも必死にあら探ししなきゃ大変なんですよ。はたから見たら単なる意地悪言ってるようですし。」


 ハンスさんに言われて、ジェルがやれやれと首を振る。


「そんなことないですよ! ジェラードさんも別に理不尽なことを言ってるわけじゃないですし。とても参考になります。」


 リーナちゃんもそうだが、アイラの料理に対する情熱は凄いとしか言いようがない。ジェルの料理批判だって自分でも言ってけど、単なる粗探しだ。とはいえ、改良できる点を指摘しているのでジェルも凄いっちゃ凄い。言わないけど。

 そんなことをしている内に昼食も終わり、お客さん三人とジェル、ついでにあたしで一つのテーブルにつき、ハーブティを囲む。


「……聞くだけですが聞きましょう。」


 ジェルは最初から面倒くさそうだ。


「それでは俺から説明させて――」


 そう切り出した若者だが、ハンスさんの小さな咳払いと、ソフィアさんの鋭い視線で一瞬言葉が切れる。


「じ、自分が説明いたします。」


 慣れない言葉使いに困惑しながらも説明を始める。


 この若者、名前はテオ。年は十七。ありゃ、あたしより年下だ。

 で、この第八騎士団の二人と一緒に来たかというと、コンラッド王国に新しい騎士団を設立しようという動きがあったところから話を始めなきゃならない。

 騎士団というのは王家に仕える軍隊、というべきかな? 全身鎧で馬に乗ってランスを構えた「騎士」も確かにいるが、多くは歩兵や魔法使いも全部セットで騎士団となる。ただ、その騎士団の性質により、人員構成は大きく異なる。

 防衛を司る第二騎士団はとにかく人数が多く、次が近衛と城の警備を司る第一騎士団。第三騎士団はボンボンの数だけいて、それ以下の王子王女の護衛の騎士団は身の回りの侍女も含めてそんなに数がいないらしい。


 ごく一部(ボンボンども)を除いて、騎士団の仕事はキッチリ決まっているので、簡単に人材をどこかに派遣というのが難しいそうで、冒険者を頼ることも多かったそうだ。そこでもう少し自由に動かせる「騎士団」を作ろうとしたわけだ。公務員と置き換えれば分かりやすいか? そこで「すぐやる課」を設立しようと思った、でいいのかな?

 そこで平民からも人を募って訓練をし、番号付きじゃない騎士団として発足してみたのだ。

 ただ問題なのは「騎士」って肩書が結構お高い物、って事だろうか。騎士というのは一応は爵位しゃくいである。領地を与えられるような貴族は違うが、貴族になる前段階と言えばそんなもんかも知れない。


 くだらない、というか、ちゃんと仕事してればいい話じゃん、とは思うが、例の第三騎士団ボンボンたちが自分たちの「既得権益」を平民に取られるんじゃないかと思って、色々と横やりを入れてきているわけだ。

 今回も本来はテオ達の部隊の行軍訓練として、開店休業状態の第八騎士団の二人が教導役として来るはずだったそうだ。だが、どのバカが言い出したか不明だが、自分たちが行くのが相応しい、とばかりに第三騎士団がしゃしゃり出てきたわけだ。貴族のご子息どもってことで、妙な圧力がかかったのは否めない、と。


 まぁ、まともに町の外に出たこともないボンボンどもは道中も喧しい上に役立たずどころか足手まといで、とはいえ放っておいたらもっと喧しいってことで、テオ達が色々してやったら、さらに調子づいて散々だったらしい。我儘な貴族の護衛任務と思い込んで、必死に耐えてたそうだ。

 でもボンボンたちはそんなことも分からずに、このハンブロンの町が見えてきたところで、またボンボンたちが絡んできたらしい。なんでもテオ達みたいな下賤の者は町に入るな、とかなんとか。人数が多いので、元々町の外で野営のつもりだったので、適当にあしらっていたら、自分たちに平伏しなかったことがよほどお気に召さなかったらしい。

 是が非でも「上下」を押し付けたかったらしく、ボンボンズのリーダーがテオに決闘を挑んできた。面倒なんでスルーしたら、さらに意地になって、どうしても勝負をしろと脅したり挑発したりと酷かったらしい。

 勝負から逃げたら負けだ、とまで言われて、さすがに目に余ってハンスさんが仲裁に入ったが、第八が第三に逆らうのか、と訳の分からない言われ方をされたらしい。


耄碌もうろくじじぃとデカ女合わせて叩き潰してやる、ってな。儂のことはいいが、ソフィアの嬢ちゃんのことまで言われたら黙ってられなくてな。」


 ハンスさんも説明に入ってきた。

 ちらっとソフィアさんの方を見ると、目が怒りに燃えているように見えた。おそらくこの世界は男尊女卑の考え方が強いのだろう。そうなると、バカボンボンどもがどんな態度をとるかなんて容易に想像できる。


「でもハンス様が言ってくれて助かりました。あのままいたら殴っていたでしょうし。お……自分も仲間のことを悪く言われては……」


 つまり喧嘩を買ってしまったわけだ。


「それで…… 自分たちをアイツらに勝てるように鍛えて欲しいのです。」


 こりゃぁ確かに面倒事だ。

 正直、畑違いと切り捨てたいところだけど、話を聞くと、ちょっと色々考えちゃうと言うか……


 ちらっ。


 ジェルの方を見ると、目が合った。眼鏡越しの目が「またですか」と物語っていた。


「……即答は出来ませんが、専門家に相談したいと思います。また夕方に……」


 と言いかけて、壁の時計を見て、小さく肩を竦める。


「もう夕方ですな。少々お待ちください。たぶんもう少しで戻ってきますので。」


 そうジェルが告げると同時に「雄牛の角亭」のドアがバタンと大きく開かれた。

お読みいただきありがとうございます。

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