聞きたくないけど話を聞こう
キャラクタの名前を考えるのが苦手です。
とにかく苦手です。数文字の話なんでしょうけど、それだけでウンウン数日唸ることもあります。
書きながら仮名で処理してることもあります。
センス下さいw
「白い服を羽織って目に魔道具を着けた黒髪黒目の男、お前さんがジェラードだな?」
「……残念ながらそうですな。」
全身鎧のお爺ちゃんの言葉にジェルが微妙に嫌そうな顔をする。
「ジェニーちゃんが言ってたが、お前さんには相当貸しがあるから、面倒事を押し付けても問題はない、ってな。」
「……借りの間違いでは?」
「ちなみにな、いつも誤解されるような悪ぶった言い方をするが、筋が通らんことはしないそうだな。」
「…………」
「どうしても困ったら、隣にいる金髪のお嬢ちゃんに助けを求めるといい、そうだ。」
「ロクなことしませんな、ラシェルは。」
どやまかましい。というか、あたしのせいじゃないでしょ。
大体ジェルの扱いに困ったらあたしに回してくる今の風潮をどうにかして欲しい。というか、もう少し普通の方法でジェルを説得しようとするガッツを見せてくれ。
ただまぁ、トラブルの起点はジェルなのかも知れないけど、それを引き起こしたのって大抵あたしかリーナちゃんが原因というか、絡んでいる場合がほとんどなのよね。まぁ、今更だけど。
「まぁ、聞くだけ聞いてくれ。
儂はコンラッド王国第八騎士団のハンス・ウォーレンだ。形だけだが団長も務めている。」
おじい……じゃなくて、ハンスさんは騎士団長ってことか。この世界の騎士というのがどういうものか分からないが、苗字を名乗るだけあって、それなりの地位にいると思われる。しかし、第八って、どれだけ騎士団があるんだ?
そんな風に考えていたのが顔に出ていたのか、ハンスさんが説明してくれた。
第一騎士団が王様直属の近衛騎士団。エリート中のエリートらしい。第二が国の防衛を司り、一つ飛ばして第四から第八騎士団がそれぞれ三人の王子と二人の王女の守護を担っているそうだ。
そういう意味だと、ハンスさんはその第二王女の守護騎士団ってことになるが……
「まぁ、よそには言えん事情で、第八騎士団は今動けんくてな。それで儂とソフィアがお目付け役として出てきたわけよ。」
(…………)
ソフィアというのが隣の女騎士さんの名前なんだろう。しかしお目付け役とは?
「そういえば、ギルバートさんが今回の貴族の乱行の後始末に騎士団を派遣すると言ってましたっけね。それですか?」
ああ、なんかそんなことを聞いた記憶がある。
「さっき飛ばした騎士団の話だが、第三騎士団というのがいるんだが、コイツがまた面倒でな。」
なんでも貴族の次男坊とかで、要職にも就かせられないが、野放しにするのも面倒なのをまとめて第三騎士団に放り込むらしい。騎士団と言うことで箔もつくし、王子たちの護衛である第四騎士団よりも上の感じがして、プライドを満足させた上で飼い殺しにしているそうだ。
「そんなに簡単に教えていいの?」
「構わんさ。見る人が見たら、第三だけ規律が取れてない愚連隊なのは丸分かりだからな。
……ちなみにさっき、ここに入ろうとしたのがその第三の奴らだ。」
はぁ。
貴族のボンボンになると、ドアの開け方も知らんのか。
「この町に来た理由も理解してねぇし、理解する気も無いんだろうな。」
「つまり、」
ジェルがざっと要約する。
どこぞのバカ貴族が、たまたまこの「雄牛の角亭」に目をつけてちょっかいをかけたところ、手痛い反撃を受けたのを発端として、この町でやっていた悪事が次々と暴かれた。
で、貴族の犯罪は色んな力関係もあり、建前上は簡単に片付けるわけにもいかず、王国からの調査が入ることになったわけだが、どうやら形だけ調査に入ることになったようで、例のボンクラの第三騎士団が出張ってきたんだろう、と。
「まぁ、もしかしたら犯罪ギルド絡みなので、諜報系の部署が動いているのかも知れませんがね。」
それならなおさらボンクラがいた方が目くらましになるか。
「その辺は儂らじゃ分からんな。が、頼み事はまた別でな。」
「えっと、ハンスさん。それに関しては俺の方から。」
「そうだな。自分から言った方がいいか。」
若者――そういやぁまだ名前聞いてないな――が椅子に座りなおして背筋を伸ばす。
きっと聞かない方が平和なんだろうけど、逃げるチャンスを逸したってとこか。
「お待たせいたしました。」
と、そこへアイラがワゴンを押してきた。
ナイスかバッドかは不明なタイミングで、話の腰が折れる。ここは一息入れるべきだろう。
「ジャガイモ入り卵焼きとなります。」
たっぷりのフワフワパンと、大皿に乗せられたでっかいオムレツだ。
見慣れない料理なのか、お客さん三人の目が不思議そうに見開かれる。
「これつけるともっと美味しい……」
とミスキスが自家製ケチャップの入った小皿をそっと差し出す。
「この赤いものはなんだ……?」
「…………」
「でも美味しそうな香りがします。」
ハンスさん・ソフィアさん・若者がどこかポカンと眺めている。
勝手な思い込みかも知れないが、この若者は他の二人と違って、何と言うか……騎士っぽくない。着ているのが全身鎧と皮鎧の差もあるが、所作が違うような……?
疑問に感じながらも、あたし達四人でテーブルを囲んで、いただきます、と手を合わせる。
「それはなんだ?」
「あ~ これはあたし達の住んでいた地方での食事の挨拶です。」
ハンスさんに聞かれたので、そう説明した。食べる物は植物であれ動物であれ命をいただくことになる。また、その命を料理にしてくれた料理人への敬意もある。言い訳をこじつければそうなるが、料理には感謝の気持ちを持ちたいのでね、というのがジェルの弁だ
「ほぉ。」
「ま、飽くまでも癖みたいなものですから、お気になさらずに。それより食事はできたてを戴くのが礼儀というものです。」
「確かに。」
うむ、と頷いてハンスさん達も食事を始める。……まぁ、騒がしくなるのもすぐだろうな。
詳しい話は食後なんだろうな。
すでに領主様公認の面倒事とは。あたしは大して何もしない予定だが、何とも気が重いや。
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