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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
INTERMISSON-03

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現地視察2

まぁ、どうにかこうにか


一瞬雪が溶けたので、そろそろ温かくなるのかなー と思ったら違いました。

う、裏切ったなーっ!!

「すまないな。」


 何もない荒野でワイルドパンサーを降りたジェニファー。その後ろにガイザックが追従する。

 ハンブロンの町の領主と、冒険者ギルドのサブマスターである二人がどこか真剣な面持ちで待ち構える。

 どこか決闘しそうな雰囲気だが、二人の顔にはどこか悲壮感が漂っているようにも見える。さすがにこんな状況でパンサーの中から会話する、という訳にもいかずに三人ともパンサーを降りる。


「強制じゃないし、強制も出来ないのだが、君たちの『武器』を見せてもらっていいかな?」


 彼女の「お願い」にヒューイとカイルが顔を見合わせる。


「ジェラード君がいると、色々はぐらかされそうだし、実際に扱っている人間に聞いてみたくてね。騙し打ちのようで大変すまないと思うんだがね。」

「…………」

「…………」


 ヒューイとカイルが少し悩んで口を開く。


「確かにジェラードがいるとな。」

「あいつは小難しくてなぁ。」


 微妙にずれた返しに、二人の後ろで聞いていたリーナが困ったような笑みを浮かべる。


「一応な、おじさん達も報告書を書かなきゃならない立場でな。知ってないと誤魔化すのも大変なんだよ。」

「なるほどな。」


 一言呟いて、ヒューイが懐からオートマチックの拳銃を抜いた。全体が見えるように横にして見せる。


「これが銃、という武器だ。たぶんこの世界には存在しない言葉だと思う。」

「ジュウ……」

「武器としては飛び道具だ。扱いは比較的簡単。ただ、使いこなすならそれなりに修練が必要だが……」


 一度拳銃を懐に戻すと、ポケットから銅貨を取り出し指先で弾く。クルクルと回りながら空に舞う硬貨。


 銃声。


 決して大きくは無いが、聞いたことのない異質な音にジェニファーとガイザックが身体を硬直させる。

 その間に撃ち抜かれた銅貨がヒューイの手の中に落下した。


「慣れればこれくらいの芸当は出来るようになる。」


 と、銅貨をガイザックに投げる。


「これは……」

「言い飽きたが、凄いな。」


 その中央には小さな穴が開いていた。

 ガイザックが眼帯をずらして、普段は隠している目で穴の開いた銅貨を見つめる。


「魔力は感じられない。矢で射抜いたような感じだが、矢よりもずっと小さい感じがする。」


 そしてヒューイの方を見て、さっき見た「武器」の姿を思い出す。


「片手で扱えて、あの速度と威力、か。」

「見えなかったのか?」

「音に驚いたのもあるが、俺の『目』でも全然見えなかった。」


 ガイザックが眼帯を戻しながら首を振る。


「射程は当てようと思ったら百メートル程度。飛ばすだけなら二三百はいけるかな?」

「なぁ、そんなに簡単に喋っていいのか?」


 ガイザックが聞くが、ヒューイは気にした様子もない。


「まずこっちの技術では作れないしな。俺たちから奪うのも大変だろうし。」


 そしてヒューイが爽やかな笑みを浮かべる。


「俺たちの世界じゃありふれた武器なんでな。使われたって怖くはなくてね。」


 なるほどねぇ、と感心する領主とギルドのサブマスター。


「ちなみに俺の相棒はコイツさ。まぁ、撃つどころか持てる奴も少ねぇけどな。」


 とカイルが懐からいつもの銃を取り出す。体躯たいくに合わせてジェラードがあつらえたワンオフ品だ。通常の拳銃の二倍近くある巨大リボルバーだ。


「こりゃまた……」

「まぁ、デカ過ぎてな。昨日はバカスカ撃てて楽しかったぜ。」


 矢も剣も通さない大ムカデの、特に厚い頭部の甲羅を頭ごと吹っ飛ばしていた。映像だけとはいえ、どう考えても人の身体で物理的に耐えられそうな威力ではない。


「これ以外にも、パンサーに積んだ大型の『銃』や俺が大ムカデを倒すのに使った別のタイプの『銃』もある。

 先に言っておくが、ジェラードが凝り性でな、すべての武器に決められた人以外には使えないよう仕掛けがしてある。」

「いたせりつくせりだな。」

「欠点としては、弓に対する矢のように専用の『弾』が必要なことだ。構造が緻密なため、有り合わせの物で代用は出来ない。」

「致命的な欠点でもないな。」


 飛び道具は弓にしろ魔法にしろ、無限に発射できないのは同じである。飛び道具を相手にするのに無駄撃ちさせるのは一般的な戦略の一つだ。


「……参ったな。言い訳を考えようと情報収集したつもりだったが、更に難しくなったな。ここはいつもの手か。」

「それしかねぇな。」


 こちらの世界の二人が渋い顔で頷き合う。


「「使い捨ての古代の魔道具か。」」


 ため息が漏れる。


 ヒューイたちにも何となく理解できた。彼らの世界にも、オーバーテクノロジーというか、オーパーツ的な物がある。そういうのは大抵見たことも聞いたこともない「古代文明の遺物」であった。ジェラードですら完全に解析できなかったそれらは、大きな災いを生み出す前にチーム・グリフォンの手で破壊されている。

 とりあえず「古代文明の遺物」と言っておけば、しかも使い捨てだったと言っておけば多少は誤魔化せるような万能ワードだ。この世界では「古代の魔道具」が同じような意味になるのだろう。


「俺、あの単語書くの嫌なんだけどなぁ。」

「私もだ。……こうなったらしゃくだがギル坊の手を借りるしかないか。

 ところで一つだけいいかな?」


 ジェニファーが最後の質問、ということでヒューイたちに尋ねる。


「こんなに簡単に色々教えてくれた、ということは、まだまだ『武器』があるのだろ?」

「ご想像にお任せします。」


 銃のカテゴリの武器だけでなく、ロケット系にビーム系の武器、そしてカイルがロックバッファローを捻った装甲服もある。ジェラードにはまだまだ隠し玉があるし、シルバーグリフォンさえ使えるようになれば、おそらく地上レベルで敵は存在しないだろう。


「その言い方、ジェラード君みたいだな。」


 とはいえ、一番恐ろしい武器は「言葉」なのかも知れない。

 苦いものを食べたような顔になったヒューイに、ジェニファーはしてやったりの笑みを浮かべるのであった。

お読みいただきありがとうございます。

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