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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
INTERMISSON-03

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現地視察1

金曜日の晩には書きあがっていたのですが、PCの調子がアレでソレでして、この時間の更新になっちゃいました。

今日明日はちょっと忙しいので、水曜日はどうなるか不明です


視点:三人称

 ハンブロンの町から鉱山までは歩きで半日。ワイルドパンサーでは三十分もかからない。


「驚いたな。」


 領主のジェニファーが走り出してすぐに驚愕の声を上げる。


「まず速い。細かい揺れが感じられず、椅子の座り心地もあって、いくらでも乗っていられるな。」

〈恐縮です。ただ、揺れが少ないのはヒューイさんの運転だからですね。私の想定を超えた安定走行です。〉

「おまけに素直で謙虚ときている。ジェラード君とは大違いだな。」

〈……処世術です。〉


 パンサーの返しにジェニファーがニヤリと笑った。


「ジェラード君の技術というのは空恐ろしいな。人の手で生み出されたとはとても思えないよ。ところで、この乗り物自体も彼が作ったのかい?」

「確かに作ったのは博士ですが、乗り物自体は私たちの世界ではありふれたものです。」


 ただ、性能の方は…… とリーナは言葉を濁すので、逆にジェニファーは理解した。


「なるほど。凄い凄いと言いすぎたな。ただ、君たちの世界でもジェラード君は桁外れということか。ちょっと安心したよ。」


 そんなことを話している内にパンサーは鉱山に到着した。


「……やはり欲しいな。」

「俺も欲しいな。」


 一緒に乗っていたガイザックまで言い出す。


「聞いた感じだと、王都まで一日かからないそうだ。」

「ほぉ。

 ……まぁ、詳しいことは後で聞けばいい。まずは鉱山の調査だな。」


 パンサーが到着するの見たドワーフのドスガンが近づいてくるのが見えた。



 坑道から湧き出してきた巨大ムカデにより、逃げ遅れたり戦って敗れた者が八名、重軽傷者が二十一名。ヒューイの活躍が無ければもう少しカウントは増えていただろう。


「まぁ、残念っちゃあ残念だが、それでもそれだけで済んだ幸運に感謝しよう。」


 ガイザックが首を振る。

 この世界、ヒトの命はそんなに高くない。


「怪我人の様子は?」

「怪我された方ががいらっしゃるんですか!」


 パンサーの荷台から荷物を下ろしていたリーナが「怪我人」の言葉に反応した。この世界の医療レベルはとても低い。治癒魔法があることと、体系的な医学が発展してないこともある。怪我ならともかく、病気となると原因不明な物も多くて、薬師くすしまじない師が医療に多く携わっていた。ただ、怪我も処置が悪いと、悪化して死に至る場合も珍しくない。


「あ、あの、多少は応急手当の心得がございますし、手当の道具も持っています。少し診させていただいてもよろしいでしょうか?」

「……ふむ。ドスガンと言ったな。彼女は見習いだが薬師だ。怪我人の所に案内してくれないか。

 ヒューイ君、リーナ嬢についてくれ。我々はジャイアントワームを見に行こう。」

「分かった。」


 ジェニファーが淡々と指示を飛ばすと、ドスガンが二人を連れて、施術所――鉱山には事故がつきものなので、比較的施設が整っている――に向かう。

 残された三人とパンサーはジャイアントワームの出てきた穴へと向かう。



 倒したジャイアントワームは地上に出てきた部分はすでに解体されて、運び出されている。今は地中に埋まった部分にロープをかけて引きずり出そうとしているが、人手が足りないのか苦戦しているようだ。


「よし、俺も手伝うか。パンサー、お前も手を貸してくれ。」

了解ラジャー。〉


 やぐらを組んで、ドワーフが何人かでロープを引っ張っているが、地面に埋まっていて抵抗が強いのか、なかなか動かないようだ。そこにズカズカとカイルが近づいていく。


「おう。俺はカイル。悪いが勝手に手伝わせてもらうぜ。」


 ドワーフたちがドヤドヤと動揺している間に、パンサーに新たにつけられたクレーンアームを伸ばし、フックをロープに引っかける。

「よし、ちょっとやってくれ。」

了解ラジャー。〉


 クレーンアームがキリキリ動き出すと、ゆっくりとジャイアントワームが地面から姿を現す。


〈おっと、意外と重量ありますね。〉


 パンサーがそう呟くと、車体の左右からアウトリガーを伸ばし、そのブームを地面におもむろに突き刺す。

 それからズルズルとジャイアントワームの身体を引っ張っていくと、それまで呆然としていたドワーフたちがワラワラ動き出す。


「おお、よく分からんがでかした!」

「ロープをかけて一気に引っこ抜くぞい!」


 ジャイアントワームの表面はうろこ状になっているので、ロープを引っかける場所には事欠かない。

 気付くとドワーフたちがワラワラと増えてきて、みんなでロープを引っ張り始める。カイルとパンサーの手助けがあったとはいえ、やっとのことで、ジャイアントワームはその姿をすべて表すのであった。


 出てきたジャイアントワームにドワーフたちが一気にとりついていく。その表皮はそのままでも防具にできるほどの強度があり、また金属鎧の下地にも使える素材だ。体液は強酸性で肉も食用に向き、捨てるところがほぼ無い。また、土や岩盤を食べながら移動するため、時折体内に消化できなかった鉱石が金属として見つかることもある。そして魔物なので体内に魔素マナの塊である魔石が見つかることもある。

 なかなか現れない魔物だが、仕留めたらそれは宝の山と変わる、というわけだ。

 仕留めたのはジェラードを筆頭するチームグリフォンであり、素材の所有権も彼らになるわけだが、面倒くさいので、と特別な物が出た以外は半分を換金して、残りは町の復興に使ってくれということになったので、ドワーフたちのその恩に報いるために頑張っているようだ。ウジャウジャいた大ムカデは最初から権利を放棄したのでそれも復興の為に使われる予定だ。


「お、こっちも大体片付いたか。」


 作業中に打ち合わせを済ませてきたジェニファーがヒューイとリーナを連れて戻ってきた。


「大まかな方針は固まったから、後は何度か進捗を確認すればいいようだ。

 後は時間が解決、というところだな。」


 領主として判断することは済んだので、後はなるようになるしかない。失われた命は戻らないし、怪我が原因で今までの仕事ができなくなった人もいる。彼女にとっては忸怩たる思いだろう。


「偉い者がいても作業の邪魔になるだけだからな。邪魔者は去るとしよう。」


 そう言ってパンサーに乗り込む。確かにもうリーナはともかく、ヒューイやカイルがいてもそんなにすることは無さそうだ。

 全員で乗り込んむと、いくつかの魔物の素材を積んだパンサーがゆっくり走り出した。帰りは少し速度を抑えめにしていたが、それでも馬よりもずっと速い。


「すまないが、一度止まってくれないか。」


 走り出して数分。鉱山からも離れ、周りに何も無くなったところで、不意にジェニファーが口を開いたのであった。

お読みいただきありがとうございます。

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