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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:鉱山の危機を救おう

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123/620

ヒューイの戦い

一時間遅れくらいでどうにかこうにか投稿完了!


微妙にグロい表現があります(たぶん)


視点:三人称

「見えたな。」

「死ぬかと思ったぜ……」


 この世界ではありえない高速で走り抜けたホバーバイク。徒歩で半日程度かかる道のりを十分足らずで走り抜けた。

 二人乗りで来たヒューイとガイザックの前に鉱山の集落を囲む柵が見えてきた。

 ホバーバイクの速度をゆっくり落とすと、ガイザックが身体の力を抜いた。


「肉体強化の魔法を使わないとちょっとヤバかったな。」


 ガイザックが強張った身体を軽くほぐす。


「魔法か。俺たちにも使えるのか?」

「そりゃ分からんな。人には得手不得手があるからな。まぁ、お前ぇさんと英雄殿なら内系の魔法ならいけるかもな。」

「内系?」

「ああ、簡単に言うと、自分の中だけで完結する魔法だな。逆に外系は自分の外にも影響を与える魔法だ。」

「なるほど……」


 カイルはどうか知らないが、ヒューイはこの世界に来てから身体能力が上がっているのを実感していた。最初は重力が小さいのか、と思ったが、ジェラードに確認したところ誤差の範囲でしかない、とのこと。

 そうなると、精神が肉体に影響を与えるような「自己暗示」「気合」の延長なのかも知れない。


(後でジェラードに相談だな)


「まぁ、ジェラードなら魔法が使えたって今更ながら驚かんけどな。」

「俺から言わせれば、魔法を使わなくてもあいつは『魔法使い』だけどな。」

「違いねぇ。

 ……と、そろそろ真面目にいくか。」

「ああ。」


 集落に近づくと、逃げ惑う人の喧騒、悲鳴に怒号が聞こえてきた。


「ん~ アレはコボルトにデカいムカデのようだな。」


 ヒューイの後ろでガイザックが自分のアイパッチをずらして、普段は表に出していない目で遠くを見る。ヒューイも視力に自信はあったが、そこまで遠くは見えていない。

 ただ、目標物が大きいせいか、ムカデらしきものがうごめいているのは見える。


「コボルト?」

「ああ、犬のような頭を持つ人型の生き物だ。害をなす、という訳でもないので、必要じゃなければ倒すのは止めてくれ。」

「分かった。」

「俺はおめぇの根回しとか、避難の指示に回る。おめぇは適当に仕事をしてくれ。

 じゃあ、任せたぜ!」


 ホバーバイクの速度は程々に落としていたが、普通に途中下車に向かない速さだ。それにも関わらずガイザックは後ろ向きにヒョイ、と飛び降りた。

 バックミラーで確認すると、危なげもなく着地したガイザックが常識の範囲から外れた速度で走っていく。


「じゃあ、俺も『仕事』しますか。」

 アクセルを一気に開くと、混乱の中心地へホバーバイクを走らせた。



 坑道が見えてきた。

 いくつかある入り口から、子供くらいの人影がワラワラと出てきている。おそらくコボルトなのだろう。犬のような頭、と言われたが、体毛が無いのであんまり可愛らしくはない。しかしオドオドとしながら逃げ回る姿はどこかユーモラスだ。

 しかし、そんなことを考えている暇はない。まだ巨大ムカデは結構な数がいて、坑道から新しい巨大ムカデがあらわれてくる。

 いくつかは死体になっているが、同じかそれ以上の人型の死体もある。

 武器を持って戦った者もいれば、逃げ遅れて犠牲になった者もいる。今も小柄な人が巨大なつちを振るい、巨大ムカデを攻撃しているが、高さの差があってなかなか効果的な打撃が与えられないようだ。

 どれだけ巨大とはいえ、頭が破壊されたらさすがに息絶えるのだが、胴体は多少切れたり潰れたりしても生命力の高さ故、致命傷にならない。

 試しに一発撃ってみたが、表面の甲羅に拳銃弾が弾かれた。ホバーバイクに収納しているビームガンも使ってみたが、これも単発では弾かれた。長時間照射すれば効果があるだろうが、エネルギーにも限界がある。


「一応熱は効果あるみたいだな。」


 ビームガンの熱光線を甲羅の隙間に打ち込むと、身をよじらせて苦しむようなので、倒せないまでも行動の制限はできそうだ。

 決め手に欠けるので、時間稼ぎに徹する。ジェラードたちが来てくれれば、打つ手が増えるし、純粋に火力が増える。


「カイルじゃないが、パワーは力、か。」


 ビームガンのエネルギー残量を見ながら、巨大ムカデを少しでも弱らせていると、ヒューイの目がそれを見つけた。



 おそらく母子連れで逃げていたのだろう。五~六歳くらいの女の子が転んで動けなくなった。母親らしい女性が、すぐに気づいて戻ろうとするが、女の子の背後に巨大ムカデが迫っていた。

 一緒に逃げていた人が、もう助からないと女性の手を引いて止める。


「お母さーん!」


 泣きながら母親を呼ぶ女の子だが、背後の巨大ムカデを見て恐怖に固まる。身体の半分くらいを持ち上げた巨大ムカデが、女の子を潰そうと己の身体を振り下ろした。


 ……なんて光景をのんびり見ている趣味は当然ヒューイには無い。手持ちの戦力を分析している時間もなく、勘に頼って女の子と巨大ムカデの間にホバーバイクごと割り込む。


(そうだ!)


 複雑な操作と体重移動を駆使して、ホバーバイクごと高く跳躍させながらひっくり返り、ホバー面を巨大ムカデの顔面に向ける。


「吹っ飛べ!」


 上下さかさまになったまま、ホバーを全開にすると、放たれた圧縮空気が巨大ムカデを仰け反らせる。


(腹なら多少は柔らかいだろ。)


 両手で拳銃とビームガンを構え、巨大ムカデの真ん中あたりの節を狙って連射する。

 裂けて半分に折れる巨大ムカデ。

 体液とか内臓が降りかかりそうになるが、その間に空中で態勢を立て直して、着地の直前に女の子を拾い上げ、小脇に抱えて一気に離脱する。


「後はよろしく。」


 女の子を母親のそばに下ろすと、面倒を避けるためにそこからも離脱する。


「ヤバいな。全弾使ってしまった。」


 予備の銃弾はあるが、ビームガンはエネルギー切れだ。ホバーバイクからエネルギーを移せばまだ使えるが、さっきの無茶も含めてホバーバイクもガス欠が近い。


「が…… やっと来たか。」


 ヒューイの鋭敏な耳が聞き覚えのある、そしてこの世界では存在しない物音を捉えた。

 暴力的な破裂音がすると、獲物を探していた巨大ムカデの頭が次々と木っ端みじんに吹き飛ばされる。

 黄色のピックアップトラックの荷台で大男が重機関砲を振り回していた。


 待ちに待った援軍の到着であった。

ちょっとヒューイを目立たせようと画策

今回は着の身着のままで出たので、武器が足らずに苦戦でしたが。


お読みいただきありがとうございます。

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